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1. 岡部, 祥太. マウスにおける養育行動発現の神経機構解明.

Degree: 博士(学術), 2014, Azabu University / 麻布大学

【背景】 マウスの養育行動は育仔経験や性経験などの社会経験を獲得することで活性化する(Okabe et al., 2010)。また、ホルモンも養育行動を制御している。しかし、経験の獲得とホルモンがどのように相互作用しながら養育行動を活性化するのか明らかになっておらず、経験による養育行動亢進の神経機構も定かではない。 養育行動を惹起するために幼若個体は様々なシグナルを発する。特に仔マウスの発する聴覚刺激への反応性は養育行動同様、社会経験の獲得により活性化することから(Uematsu et al., 2007; Okabe et al., 2010)、仔マウス刺激の受容認知機構と養育行動制御機構はある程度共通している可能性が高い。しかし、仔マウス刺激の受容認知機構は未解明である。 本研究ではどのような過程・機構を経て親は仔を認知し、養育行動を示すようになるのか、その神経機構を明らかにすることを目的とした。第1章では仔マウスの発するシグナルの受容認知機構の同定を目指し、第2章では養育行動の促進に重要な社会経験とホルモンがどのような関係性で養育行動を制御するのか調査した。第3章では経験による養育行動の促進をもたらす神経科学的メカニズムを調査した。【方法】第1章<実験.1; 仔マウス嗅覚刺激と仔マウス聴覚刺激に対する母マウスの反応性> C57BL/6の母マウスに仔マウス聴覚刺激であるpup USVsと仔マウス嗅覚刺激などを様々な組み合わせで提示した。刺激に対する嗜好性を、二者選択課題を用いて観察し、母マウスが高い反応性を示す仔マウス刺激の同定を試みた。<実験.2; 刺激に対する神経応答メカニズムの観察> 刺激提示により活性化する脳領域をc-fosを指標に観察した。第2章<実験.3; 経験獲得による巣戻し行動亢進に対する性腺由来ホルモンの効果調査> 雌雄マウスに対し性腺除去や性ホルモン投与など様々な処置を施した後、仔マウスへの連続暴露を行い(経験獲得)、養育行動の活性変化を巣戻し行動を指標に観察した。<実験.4; オキシトシン産生細胞の関与調査> 性腺ホルモンと社会経験の獲得の両方に関係があるオキシトシンに着目し、性腺除去、性ホルモン投与処置後にオキシトシン産生領域である視床下部室傍核(PVN)のオキシトシン陽性細胞数を測定した。第3章<実験.5: 経験獲得による巣戻し行動亢進に関与する視床下部内側視索前野(MPOA)局所領域の同定> 育仔経験のない雌マウスを用い仔マウスを6回暴露する群(高感作群)と1回暴露する群(低感作群)、暴露しない群(感作なし群)を作出した。感作4日後に巣戻し行動試験を行い、仔マウス回収潜時を比較した。また、仔マウス暴露時と暴露4日後に仔マウスを再び暴露した際のMPOAの活性をc-fosを指標に比較し、暴露経験による行動亢進に関与する領域を調べた。<実験.6: 経験獲得によるオキシトシン産生細胞の活性調査> 仔マウス連続暴露時のオキシトシン産生細胞の神経活性をc-fosとオキシトシンの二重免疫染色にて調査した。<実験.7: 経験獲得によるオキシトシン分泌量の変化調査> 高感作、低感作、感作なし群を作出し、仔マウス暴露手続き終了後にMPOAの含有オキシトシン濃度をELISA法にて測定した。<実験.8: オキシトシン機能阻害による巣戻し行動亢進への影響調査> 仔マウス暴露前に実験5にて同定した領域にオキシトシン阻害剤(OTA)を局所投与し、4日後の仔マウス回収潜時をsaline投与群と比較した。【結果】第1章 母マウスはpup USVsと仔マウス嗅覚刺激が共提示された時にのみ、 有意に高い反応性を示し、それぞれが個別に提示された時は嗜好性を示さなかった。また、2種類の刺激が共提示された時にのみ、感覚受容野に加え、MPOA・扁桃体中心核・基底核・分界条床核におけるc-fos陽性細胞数が無刺激群よりも有意に多かった。 第2章 仔マウス連続暴露による巣戻し行動の亢進には性差があり、メスでは巣戻し行動の亢進が生じるが、オスでは生じないことが明らかになった。性腺除去の効果はオスにのみ認められ、去勢後に仔マウス連続暴露を施すとメス同様の巣戻し行動の亢進が認められた。雌雄ともにテストステロンを投与することにより経験獲得による巣戻し行動の亢進が阻害された。オキシトシン陽性細胞数を調査したところ、行動と同様、メスと比較してオスの産生細胞数が少なく、去勢することによってメスと同量になった。また、テストステロンの投与により雌雄のオキシトシン産生細胞数が減少した。第3章 仔マウス感作4日後の仔マウス回収潜時は高感作群が低感作群、感作なし群よりも有意に短かった。低感作群と感作なし群間には差が認められなかった。感作時のMPOAにおけるc-fos陽性細胞数は高感作群が他の2群よりも、低感作群が感作なし群よりも有意に多かった。一方、感作4日後の仔マウス再暴露時には高感作群のMPOA、 特に外側部(LPO)のc-fos陽性細胞数が他の2群よりも有意に多く、低感作と感作なし群間には有意差が認められなかった。感作時にc-fos陽性細胞と共染色されるPVNのオキシトシン産生細胞の割合は高感作群が低感作、感作なし群よりも有意に多かった。また、感作直後のMPOAにおける含有オキシトシン濃度は高感作群と低感作群が感作なし群よりも有意に高く、高感作群と低感作群間には差が認められなかった。経験獲得前にLPOへOTAを局所投与したことにより感作4日後の仔マウス回収潜時が対照群よりも有意に長くなった。【考察】 第1章の実験より、C57BL/6の母マウスはpup USVsと仔マウス嗅覚刺激が共提示された時にのみ、これに高い反応性を示すことが明らかとなった。異なる2種の感覚刺激が相加的に養育行動を賦活化していることが示唆された。また、この反応性を制御する領域として扁桃体中心核・基底核・分界条床核が関与することが示唆された。これら領域は嗅覚刺激と聴覚刺激の両方を受容することが報告されており、複数の感覚刺激の統合処理を司っている可能性がある。また、2種類の刺激の共提示により養育行動の制御中枢であるMPOAの高活性化も認められたことから、仔マウス刺激への反応性が養育行動と類似の神経機構により支持されていることも示された。 仔マウス刺激への高い反応性は妊娠や出産に伴うホルモン濃度の変動や社会経験の獲得により発現する。第2章では養育行動亢進におけるホルモンと社会経験に関係性を調査した。その結果、テストステロンにより経験獲得による巣戻し行動の亢進の性差が生じ、 経験獲得の行動亢進効果が阻害されることが明らかとなった。また、行動と同様、オキシトシン産生細胞の数もテストステロンによる抑制を受けた。このことから、社会経験による巣戻し行動の促進にオキシトシン産生細胞が関与すること、テストステロンはオキシトシン産生細胞を介して社会経験による巣戻し行動の促進を阻害する可能性が示された。…

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APA (6th Edition):

岡部, . (2014). マウスにおける養育行動発現の神経機構解明. (Thesis). Azabu University / 麻布大学. Retrieved from http://id.nii.ac.jp/1112/00003919/

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Chicago Manual of Style (16th Edition):

岡部, 祥太. “マウスにおける養育行動発現の神経機構解明.” 2014. Thesis, Azabu University / 麻布大学. Accessed July 17, 2018. http://id.nii.ac.jp/1112/00003919/.

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MLA Handbook (7th Edition):

岡部, 祥太. “マウスにおける養育行動発現の神経機構解明.” 2014. Web. 17 Jul 2018.

Vancouver:

岡部 . マウスにおける養育行動発現の神経機構解明. [Internet] [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2014. [cited 2018 Jul 17]. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003919/.

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Council of Science Editors:

岡部 . マウスにおける養育行動発現の神経機構解明. [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2014. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003919/

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2. 杉山, 和寿. イヌ由来Chaetomium globosumの臨床学的及び分子生物学的特徴に関する研究.

Degree: 博士(獣医学), 2013, Azabu University / 麻布大学

Chaetomium globosumは、環境中に広く分布する常在真菌(糸状菌)の一種であり、最近は、新興真菌感染症の原因真菌の一つであると考えられている。ヒトにおいては、一般に爪、皮膚などの表在部位へ感染して重篤な皮膚炎症状を引き起こすことが知られており、水晶体への感染も報告されている。また、免疫不全のヒトでは肺及び脳などの深部組織への感染も確認されており、死に至る場合もあるといわれている。一方、ヒトと接触することの多いイヌにおいて本菌種は、被毛の常在菌叢に属するとの報告があるものの、皮膚病変から本菌種が分離されたという報告はこれまで知られていない。 今回、著者は脱毛と紅斑の皮膚炎症状を呈し来院したイヌから本菌種の分離に初めて成功した。本症例では、病変部位より本菌種が繰り返し分離できたことから、C. globosumが感染したことによる皮膚疾患と考えられた。ヒトとイヌにおける本菌種の関連や環境株との相違は明らかでない。しかし、C. globosumはヒトに感染すると深部真菌症の原因菌と成り得ることから、本菌種の遺伝的相違による感染性や病原性の有無を明らかにすることは人獣共通感染症の観点からも重要と考えられる。 そこで、本症例から得られたC. globosumの分子系統遺伝学的特徴を明らかにするため、これまでに主に環境から分離され千葉大学真菌医学研究センターに寄託されたC. globosum17株とのDNAレベルでの比較を行った。 また、本菌種の培養初期の形態は愛玩動物の皮膚糸状菌原因菌の9割以上を占めるMicrosporum canisと鑑別がつかないことから、本菌種の皮膚での蔓延状態を調査することが必要である。さらに、本菌種の感染は重篤な深部真菌症になる危険性が示唆されていることから、迅速診断法の開発は前述のM. canisとの鑑別もふまえて急務である。しかし、一般に糸状菌を形態学的に同定するためには胞子の確認が必要であり、特徴的な構造物を観察して同定するために、本菌種ではポテトデキストロース寒天(PDA)培地での培養により4週間を要する。 そこで、実際の臨床材料におけるC. globosum感染のPCRによる迅速な診断法の開発を試みるとともに、イヌやネコなどの愛玩動物に対して表在性皮膚感染症を引き起こす頻度が高く、形態的に本菌種との鑑別が難しい糸状菌であるM. canisとの迅速な鑑別診断法について検討した。第1章 皮膚炎症状を呈するイヌからのChaetomium globosumの分離と同定1)臨床経過 症例は、雑種犬、4カ月齢、雄、体温38.5℃で散歩による外出以外は室内飼育されており、混合ワクチン、狂犬病予防接種などの一般的疾病予防は通常通り行われていた。飼育者は、患犬と一緒に寝るなど非常に接触頻度の高い状況であった。初診の約10日前より左眼下から頬部にかけての脱毛、発赤が見られ、軽度の掻痒があり徐々に病変部が拡大してきたとの主訴で来院した。(1)初診時、頭部から尾根部まで分布する落屑を伴った脱毛が認められた。特に左眼下部病変では、直径約7cmの脱毛、発赤及び皮膚の肥厚が顕著であった。落屑の直接鏡検で有隔性菌糸と思われる構造物が認められ、ウッド燈検査では判定不能であり、3日間のサブロー平板寒天(SDA)培地培養で、中心部が灰白色で全体的にはやや黄色を帯びた白色綿毛状集落の形成が見られた。真菌感染症と仮診断しケトコナゾール(KCZ)の外用を処方した。PDA培地での室温約4週間の培養で、深緑色の集落が認められた。顕微鏡下では縮毛を伴った黒色の子嚢殻が観察され、子嚢殻及び内部の子嚢胞子の形態からChaetomium属菌と推定した。(2)3週間後には初診時よりも病変の発赤及び肥厚は軽快傾向にあった。しかし、掻痒、落屑は継続しており、病変部の拡大及び増加傾向がみられた。落屑を直接鏡検すると菌糸が観察され、ウッド燈検査は判定不明であった。また、落屑の培養検査では、SDAにおいて初診時と同様のコロニー形成が認められた。そこで、外用剤による局所治療を続行するとともに既報における本菌種に対する抗真菌剤の感受性試験結果からKCZの内服投与を併用した。また、本菌の同定後、飼育者にはズーノーシスの観点から飼育方法の改善を指示した。(3)9週間後には病変部は軽快し、発毛も認められた。また、病変部皮膚の直接鏡検で菌糸が観察されなくなり、ウッド燈検査陰性、培養検査も陰転した。(4)12週間後に外用及び内服薬を中止したが、その後の再発及び再感染は認められなかった。2)形態学的同定 初診時分離株をSDA及びPDA平板培地中央に接種し、25℃、37℃及び42℃で4週間培養した。両培地接種後いずれの培養温度においても、十分な真菌増殖が見られた。また、顕微鏡下ではSDAにおける集落は白色菌糸を認めるのみであったが、PDAにおける集落では、スラント培養同様に子嚢殻を認めた。そこで、PDA平板培地培養物を掻き取り、鏡検すると、子嚢殻内部は8個の子嚢胞子を包含する子嚢で満たされていた。成熟した子嚢胞子は褐色で、直径は10-12μmで両端が平板化したレモン型、その一端には出芽孔を持つ構造であった。これらの形態学的特徴により本菌をC. globosumと同定した。3)分子生物学的同定 初回分離株のPDAスラントを用い、25℃で2週間培養したものから常法によりDNAを抽出し、リボゾーム大サブユニットRNA遺伝子のD1/D2領域における約640塩基の塩基配列を解析した。既知真菌の塩基配列との相同性に基づいて分子系統樹を作成したところ、本症例株は既知のC. globosumと同じクラスターに分類され、本分離株は分子生物学的にもC. globosumと同定された。4)抗真菌剤に対する感受性 培養により子嚢胞子を形成させた状態で、本分離菌株に対する抗真菌剤の最小発育阻止濃度(MIC)をNCCLS-38Aに従い判定した。適当な濃度に調製した子嚢胞子に段階希釈した抗真菌剤を加え、30℃にて好気的条件で48時間培養したのち、目視で判定した。その結果、アムホテリシンB(AMCB);4.0μg/ml、KCZ;0.25μg/ml、イトラコナゾール(ITZ);0.5μg/ml、ミコナゾール(MCZ);1.0μg/ml、ミカファンキン;16.0μg/ml以上、フルコナゾール;16.0μg/ml、5-フルオロシトシン;64.0μg/mlとなり、これは、ヒト患者から得られた菌株に対する既報のMICの結果とほぼ一致していた。第2章 イヌ由来Chaetomium globosumの分子生物学的特徴 第1章での症例株と千葉大学真菌医学研究センターより入手したC. globosum17株のDNAを用いてβチューブリン遺伝子領域の一部のPCR増幅産物の塩基配列を比較した。C.…

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APA (6th Edition):

杉山, . (2013). イヌ由来Chaetomium globosumの臨床学的及び分子生物学的特徴に関する研究. (Thesis). Azabu University / 麻布大学. Retrieved from http://id.nii.ac.jp/1112/00003116/

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Chicago Manual of Style (16th Edition):

杉山, 和寿. “イヌ由来Chaetomium globosumの臨床学的及び分子生物学的特徴に関する研究.” 2013. Thesis, Azabu University / 麻布大学. Accessed July 17, 2018. http://id.nii.ac.jp/1112/00003116/.

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MLA Handbook (7th Edition):

杉山, 和寿. “イヌ由来Chaetomium globosumの臨床学的及び分子生物学的特徴に関する研究.” 2013. Web. 17 Jul 2018.

Vancouver:

杉山 . イヌ由来Chaetomium globosumの臨床学的及び分子生物学的特徴に関する研究. [Internet] [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. [cited 2018 Jul 17]. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003116/.

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Council of Science Editors:

杉山 . イヌ由来Chaetomium globosumの臨床学的及び分子生物学的特徴に関する研究. [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003116/

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3. 大石, 元治. オランウータンとチンパンジーの前肢における骨格筋の機能および比較解剖学的研究.

Degree: 博士(獣医学), 2013, Azabu University / 麻布大学

【序論】 オランウータンやチンパンジーなどの大型類入猿は熱帯雨林を主な生活の場とし、果実などの植物を採るために木に登る。彼らは霊長類以外の哺乳類と比較して一般的に木登りが得意な動物として扱われるが、その大きな体のため枝の上でバランスを保つことが難しく、木の幹の側面や枝の下でも活動可能な懸垂型の行動を行うことにより、樹上環境に適応している。これら生活様式は、大型類人猿の前肢の筋骨格系に共通して認められる特徴に現れている。 しかし、大型類人猿間においてもロコモーションの違いがあることが知られている。オランウータンは足を手のように巧みに使う四手移動型の木登りを行い、基本的に熱帯雨林の樹冠を生活の場とし、地上に降りてくることは少ない。また、オランウータンの行動はゆっくりとしていて、かつ慎重な動作が特徴的である。一方、チンパンジーは採食場や寝床となる樹木の間を移動するとき、第二指から第五指の中節骨の背側部のみを地面に着地させるナックル歩行という特有のロコモーションをとり、総移動時間の約90%が地上性ロコモーションである。 このようなオランウータンとチンパンジーのロコモーションの明確な差異は前肢の骨形態に反映されており、それぞれの種としての特徴となる。ロコモーションの特性は骨格系と筋系の両方の形態と機能により決定されることから、オランウータンとチンパンジーのロコモーションの違いは、両種の筋形態にも影響していると考えられる。そこで本研究は、前肢筋の発達の程度の指標となる筋質量を計測し、さらに、最大発揮筋力に比例するといわれている筋の生理学的断面積(以下PCSAと略す)を算出して、それぞれを比較することにより、両種間の筋形態の違いとロコモーションとの関連性を明らかにすることを目的とした。【材料と方法】 3個体のオランウータンと4個体のチンパンジーから得た計8本の前肢の解剖を行った。2個体のオランウータンは死後、アルコール固定された標本である。チンパンジーの全4個体の標本は解剖まで凍結保存されていた。 剥皮後、筋を露出させ、骨から分離した。筋腹の筋質量を電子天秤で計測した。筋腹は10%ホルマリン液にて固定を行った。固定された筋は水に浸漬させた後、筋腹内の異なった部位に存在する3から6本の筋束の長さをノギスで計測し、平均値を算出し筋束長とした。アルコール固定されていたオランウータンの2標本における筋質量は、固定された筋を水に浸漬させた後の筋湿重量によって表した。筋のPCSAは筋の体積を筋束長で割ることにより算出した。筋の体積は筋質量を筋密度で割ることにより算出した。 本研究では、両種間の体サイズを標準化するため、各筋の筋質量とPCSAをそれぞれの前肢筋の総和で割ることにより、各値の比率(筋質量比、PCSA比)を算出した。両種の筋質量比とPCSA比の比較は、個々の筋で行うとともに、筋を機能群に分類して行った。一般的に、前肢筋には、前肢帯筋も含まれるが、標本を入手した段階で前肢帯筋に損傷が認められたので、本研究には含めていない。 両種間の筋質量比とPCSA比の有意差の検証は統計ソフトSPSS 11.0Jを用いてU検定(p<0.05)により行った。【結果】1. 肩部の筋について 肩部の筋群においては、チンパンジーの肩関節の後引筋群の筋質量比が、オランウータンのそれよりも大きい値を示した。さらに、個々の筋においては、オランウータンの三角筋鎖骨部と肩甲下筋のPCSA比の値が、チンパンジーのそれらよりも大きかった。また、チンパンジーの大円筋の筋質量比ならびに棘下筋の筋質量比とPCSA比が、オランウータンのそれらよりも大きい値を示した。2. 上腕部の筋について 上腕部の筋群においては、オランウータンの肘関節のみに作用する屈筋群の筋質量比とPCSA比が、チンパンジーのそれらよりも大きい値を示した。チンパンジーでは、肩関節と肘関節の二つの関節に跨る伸筋群と屈筋群の両方の筋質量比が、オランウータンのそれらよりも大きい値を示した。さらに、個々の筋においては、オランウータンの肘関節のみに作用する屈筋である上腕筋と腕橈骨筋の筋質量比とPCSA比の値が、チンパンジーのそれらよりも大きかった。また、チンパンジーでは肩関節と肘関節の二つの関節に跨る上腕二頭筋短頭と上腕三頭筋長頭の筋質量比が、オランウータンのそれらよりも大きい値を示した。3. 前腕部の筋について 前腕部の筋群においては、オランウータンの指伸筋群のPCSA比がチンパンジーのそれよりも大きい値を示した。さらに、個々の筋においては、オランウータンの尺側手根伸筋、長掌筋および長母指伸筋の筋質量比の値が、チンパンジーのそれらよりも大きく、逆にチンパンジーでは浅指屈筋の筋質量比の値が、オランウータンのそれよりも大きかった。また、オランウータンの長掌筋と総指伸筋のPCSA比の値が、チンパンジーのそれらよりも大きく、逆にチンパンジーでは尺側手根屈筋と方形回内筋のPCSA比の値が、オランウータンのそれよりも大きかった。4. 手部の筋について 手部の筋群においては、オランウータンの骨間筋群の筋質量比ならびに虫様筋群のPCSA比が、チンパンジーのそれらよりも大きい値を示した。さらに、個々の筋においては、オランウータンの短小指屈筋、第一・第二・第四背側骨間筋および第二虫様筋の筋質量比の値が、チンパンジーのそれらよりも大きかった。また、オランウータンの短母指屈筋、短小指屈筋および第二・第四虫様筋のPCSA比が、チンパンジーのそれらよりも大きい値を示した。【考察】1. 肘関節の屈筋群の一関節筋と二関節筋の違いについて オランウータンの肘関節を屈曲させる筋、特に上腕筋と腕橈骨筋は、チンパンジーよりも大きなPCSA比をもつことから、より強力な肘関節の屈筋力を生み出すことが可能と考えられる。肘関節の屈筋群は樹上において体重を支え、かつ推進力を生み出すのに重要であることから、オランウータンにみられる肘関節の屈筋群の発達は、垂直木登りや体幹を垂直にした懸垂運動に起因すると考えられた。…

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APA (6th Edition):

大石, . (2013). オランウータンとチンパンジーの前肢における骨格筋の機能および比較解剖学的研究. (Thesis). Azabu University / 麻布大学. Retrieved from http://id.nii.ac.jp/1112/00003135/

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Chicago Manual of Style (16th Edition):

大石, 元治. “オランウータンとチンパンジーの前肢における骨格筋の機能および比較解剖学的研究.” 2013. Thesis, Azabu University / 麻布大学. Accessed July 17, 2018. http://id.nii.ac.jp/1112/00003135/.

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MLA Handbook (7th Edition):

大石, 元治. “オランウータンとチンパンジーの前肢における骨格筋の機能および比較解剖学的研究.” 2013. Web. 17 Jul 2018.

Vancouver:

大石 . オランウータンとチンパンジーの前肢における骨格筋の機能および比較解剖学的研究. [Internet] [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. [cited 2018 Jul 17]. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003135/.

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Council of Science Editors:

大石 . オランウータンとチンパンジーの前肢における骨格筋の機能および比較解剖学的研究. [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003135/

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4. 杉浦, 陽介. イヌの呼吸器と涙器における炭酸脱水酵素の局在と遺伝子発現の検討.

Degree: 博士(獣医学), 2013, Azabu University / 麻布大学

炭酸脱水酵素(carbonic anhydrase[E.C.4.2.1.1]以下CA)は、亜鉛を含む金属結合酵素で、CO_2+H_2O⇔H^++HCO_3^-の両方向の反応を触媒する。現在までに哺乳類では12種類のアイソザイムと、3種類のCA関連蛋白が報告されている。一般的な細胞質型アイソザイムとしてはCA-I, -II, -IIIなどがあり、唯一の分泌型アイソザイムとしてはCA-VIが知られている。CAの主な機能はpH調節に不可欠なHCO_3^-を供給し体内の酸塩基平衡を維持することである。近年CA-VIは鼻腔における嗅物質やCO_2の感知、細気管支分泌細胞における成長因子としての機能が示唆されるなど、多機能蛋白としての役割も注目されている。体内におけるCA局在は、赤血球、腎臓、骨、消化器系などにおいて多数報告されており、体組織全般においてその局在が明らかにされてきている。一方、このような蓄積されたデータの中で、生命活動に必要な呼吸ガスの交換器官である呼吸器系器官、および鼻涙管を通して気道と機能的な関連を持つことが推察される涙器付属腺におけるCAの局在に関する報告は非常に少ない。そこで本研究ではこれらの器官におけるCAアイソザイムの局在と遺伝子発現を明らかにし、それらの機能的意義を推論することを目的に、イヌの呼吸器系器官として鼻腔領域、喉頭・気管・気管支・肺の領域、涙器付属腺について3章に分けて検討した。検索対象としたアイソザイムは、これまでに呼吸器系に存在しているという報告のあるCA-I, -II、CA阻害剤であるアセタゾラミド抵抗性という特徴を持つCA-III、及び唯一の分泌型であるCA-VIとした。 全てのCAアイソザイムの検索は免疫組織化学染色法を用い、さらに分泌型のCA-VI蛋白の検索ではウェスタンブロット法を併用した。CA遺伝子発現の確認は、CA-IIとCA-VIでは定性的PCRを行い、さらにCA-VIについては定量的PCRと in situ hybridization による検索も行なった。また、涙器付属腺においては、免疫組織化学染色法によるCAの組織局在の観察の他、CAアイソザイム抗血清に反応が見られた第三眼瞼腺および瞼板腺の脂腺細胞の微細構造について透過型電子顕微鏡を用いて観察した。【鼻腔におけるCA-I, -II, -III, -VIの組織局在と遺伝子発現の検索】 免疫組織化学染色法による観察では、粘膜上皮と導管上皮では検索を行った全てのCAアイソザイム抗血清(以下CA抗血清)に対する反応が見られた。鼻前庭腺、嗅腺、鼻腺の各漿液腺房では一部の細胞においてCA抗血清に対する反応が見られたが、外側鼻腺の漿液腺房では全てのCA抗血清に対する反応は見られなかった。粘液腺房や杯細胞では全てのCA抗血清に対して反応は見られなかった。鼻粘膜嗅部では一部の嗅細胞でCA-II, -III, -VI抗血清に対して特に強い反応があった。CA-VI蛋白はウェスタンブロット法によりイヌの鼻腔領域に少量ながら存在することが確認された。定性的PCRでは、CA-II, -VI双方の遺伝子発現が、検索を行った全ての部位で確認された。定量的PCRの結果、外側鼻腺でのCA-VI遺伝子の発現量と比較して、鼻前庭部での発現量は100倍以上、鼻粘膜嗅部や鼻粘膜呼吸部での発現量は約10倍だった。In situ hybridization では、CA-VIの遺伝子発現は確認されず、この結果は下部気道や涙器付属腺においても同様であった。これは、定量的PCRよりCA-VIの遺伝子発現量が低いことが明らかとなっており、検出感度以下であったためと考えられた。 イヌの鼻腔内におけるCAアイソザイムの機能は、その緩衝能によって上部気道粘膜において産生される外因性の酸を中和し粘膜を保護し、鼻前庭部粘膜や鼻粘膜呼吸部では、このようなCAの機能によって上部気道での呼気や吸気に接する粘膜上の酸塩基平衡を維持し、微小環境が保たれていると考えられた。鼻腔粘膜の各漿液腺房や導管上皮では、細胞質型CAは細胞内の酸塩基平衡の維持やイオンの輸送を、また分泌型CAは導管内の分泌物中の酸塩基平衡を維持していると考えられた。鼻粘膜嗅部では既に報告されているモルモット、マウスと同様、イヌにおいても一部の嗅細胞がCA抗血清に対して特に強く反応していた。鼻粘膜嗅部でのCAの存在意義は、粘液層の酸塩基平衡の維持やイオンの輸送による電解質濃度の調節を通して、CO_2や嗅物質の感知という機能に関わることと考えられた。【喉頭及び下部気道におけるCA-I, -II, -III, -VIの組織局在と遺伝子発現の検索】 免疫組織化学染色法による観察では検索を行った全てのCA抗血清に対する反応が、喉頭をはじめとする気道粘膜上皮、漿液腺房とその導管上皮に見られた。一方で、粘液腺房や杯細胞では全てのCA抗血清に対する反応は見られなかった。細気管支分泌細胞では、全てのCA抗血清に対して反応が見られた。肺では、呼吸上皮細胞と大肺胞上皮細胞は、CA-I, -III抗血清に対して反応は見られなかったが、高活性型であるCA-IIと分泌型であるCA-VIに対しては両細胞とも一部の細胞で反応が見られた。CA-VI蛋白はウェスタンブロット法によりイヌの喉頭及び下部気道領域に少量ながら存在することが確認された。定性的PCRでは、検索を行った全ての部位でCA-II, -VI双方の遺伝子発現が見られた。定量的PCRの結果、肺でのCA-VI遺伝子の発現量と比較して、喉頭から気管支での発現量は約10倍、主気管支での発現量はほぼ同量だった。 ヒトにおいて、気道上皮の粘液中の酸が増加することによって細菌の感染性が高くなることが報告されていることから、本研究のイヌにおいて気道上皮のCAアイソザイムの機能は、鼻腔と同様にその緩衝能によって、粘膜上の酸を中和し気道粘膜を保護している可能性が考えられた。気道粘膜上皮のCA局在は、モルモットなどの報告では一部の上皮でのみ見られたとされているが、イヌでは一様に見られた。イヌは体温調節の際に panting を行い、大量の気体が気道を通過する際の気化熱で体温を下げる。そのためイヌの気道上皮は、大気との接触が多く、CAは気道粘膜に広く存在する可能性が考えられた。また本研究ではラットと同様、イヌにおいても細気管支分泌細胞にCAアイソザイムの局在が確認された。この局在の意義についてラットではCAの成長因子としての機能が示唆されていることから、イヌにおいても同様に成長因子としての可能性が考えられたが、本研究では成犬のみ対象としていることから、その意義については今後の検討が必要である。肺胞上皮におけるCAアイソザイムの局在は、一部の細胞でCA-IIとCA-VIが見られたのみであった。肺では、ガス交換においては赤血球に存在するCA-IIが主に働き、血漿中のH^+とHCO_3^-からCO_2を産生する。また肺胞上皮のCA-IIやCA-IV、CA-VIは、肺胞上皮細胞内のH^+とHCO_3^-をCO_2に変換すると考えられた。【涙器付属腺におけるCA-I, -II, -III, -VIの組織局在と遺伝子発現の検索】…

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杉浦, . (2013). イヌの呼吸器と涙器における炭酸脱水酵素の局在と遺伝子発現の検討. (Thesis). Azabu University / 麻布大学. Retrieved from http://id.nii.ac.jp/1112/00003136/

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杉浦, 陽介. “イヌの呼吸器と涙器における炭酸脱水酵素の局在と遺伝子発現の検討.” 2013. Thesis, Azabu University / 麻布大学. Accessed July 17, 2018. http://id.nii.ac.jp/1112/00003136/.

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杉浦, 陽介. “イヌの呼吸器と涙器における炭酸脱水酵素の局在と遺伝子発現の検討.” 2013. Web. 17 Jul 2018.

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杉浦 . イヌの呼吸器と涙器における炭酸脱水酵素の局在と遺伝子発現の検討. [Internet] [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. [cited 2018 Jul 17]. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003136/.

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杉浦 . イヌの呼吸器と涙器における炭酸脱水酵素の局在と遺伝子発現の検討. [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003136/

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5. 内田, 直宏. The study on the expression of angiogenesis-related factors and the angiogenesis in canine mammary tumors : イヌの乳腺腫瘍における血管新生関連因子の発現と血管新生の関連に関する研究.

Degree: 博士(獣医学), 2013, Azabu University / 麻布大学

腫瘍細胞は新生血管により酸素や栄養が供給されるため、血管新生は腫瘍の発達と転移に非常に重要である。血管新生には多くの因子が関与しており、これらの血管新生関連因子は腫瘍の予後因子として研究が行われている。その中でも血管内皮増殖因子vascular endothelial growth factor (VEGF)は、そのレセプターであるflt-1やflk-1と結合することにより血管新生の中心的な役割を担う。ヒトの多くの固形がんにおいては、腫瘍組織内のVEGF発現は予後と関連していることが報告され、抗がん治療における重要なターゲットとされており、近年では抗VEGF薬を用いた併用療法が転移性乳癌に対する第一選択の治療法としてアメリカのFDAに迅速承認されている。 獣医学領域においては、いくつかのイヌの腫瘍で血管新生因子や微小血管密度、腫瘍のグレードの関連について研究が行われているものの、腫瘍におけるVEGFやそのレセプターを含む血管新生因子の発現や血管新生因子間の関連はまだよくわかっていない。ヒトの乳癌では血管新生に関して多くの研究が行われているが、イヌにおいても人と同様、乳腺腫瘍は頻繁に発生する腫瘍であり、良性と悪性の腫瘍が存在する。また、多くの症例で外科摘出時に非腫瘍部の乳頭部も共に摘出するため、同一の症例で腫瘍部と非腫瘍部の乳腺組織を比較することも可能であることから、VEGFや血管新生因子の腫瘍における動態を解析し、抗VEGF療法を適用出来るようになる可能性がある。このような背景から、本研究はイヌの乳腺腫瘍に対して抗血管新生療法を適用するための基礎的研究として、VEGFを中心とした血管新生因子発現の悪性度の指標としての評価と血管新生因子間および血管新生との関連を明らかにすることを目的とし、免疫組織化学的及び分子生物学的検索を行った。第1章:正常イヌ組織におけるVEGFおよびレセプターflt-1、flk-1の発現と分布の検索 近年ではがんに対する治療として抗VEGF薬も用いられ始めているが、副作用も大きな問題となっている。これはVEGFが腫瘍の血管新生以外にも役割を持っていることによると考えられ、正常な組織におけるVEGFの作用が注目されてきている。近年ではイヌの腫瘍においてもVEGFと悪性度や予後との関連が報告されてきているが、正常組織におけるVEGFの発現細胞はわかっていない。そこで本章では正常イヌの組織(6例:肺、腎臓、心臓、副腎、肝臓、皮膚、甲状腺、腸管、膀胱、リンパ節、膵臓、脾臓、4例:乳腺)におけるVEGFおよびレセプターflt-1、flk-1の発現と分布を明らかにすることを目的とした。 VEGF及びflt-1の免疫組織化学的発現は各臓器の様々な部位に陽性細胞がみられた。どの臓器にも存在する血管では、中膜平滑筋がVEGF、flt-1ともに一部で陽性を示したが、内皮細胞に陽性像はみられなかった。また、動・静脈、血管サイズなど血管の種類による違いはみられなかった。RT-PCRにより検索を行ったすべての正常組織でVEGF、flt-1、flk-1の遺伝子発現が確認され、これらが正常な組織でも恒常的に発現していることが示された。VEGFについては、複数のアイソフォームが確認され、その中でも最も生物学的活性が高いといわれるVEGF164の発現量が最も多かった。また、定量的RT-PCRでは各組織におけるVEGF164とflt-1、flk-1遺伝子発現がほぼ同じ傾向を示した。以上の結果から、VEGFとflt-1、flk-1は正常なイヌの組織においても発現していることが確認された。また、VEGF164およびflt-1は、免疫組織化学的にタンパク質が発現している細胞の多かった肺や心臓でmRNAの発現も高く、発現細胞の少なかった脾臓などではmRNAの発現も少なかったことから、VEGFとflt-1は転写レベルで調節が行われていることが示唆された。第2章:イヌの良性乳腺腫瘍における内皮マーカーの評価 第1章の結果から腫瘍組織においてもVEGFの遺伝子発現量が血管新生を反映することが考えられる。この血管新生を評価する方法として、現在では微小血管密度や血管内皮マーカーの発現量が用いられており、多くの腫瘍で血管新生の評価と予後が関連していることが報告されている一方で、それらが関連しないという報告もある。この様な研究結果の不一致は、従来評価に用いられているvon Willebrand factor (vWF)やCD31などが汎血管内皮マーカーであり、新生血管のみならず既存の血管にも発現していることに起因することが考えられる。本研究で対象としている乳腺組織は正常でも血管が豊富に存在する組織であり、汎血管内皮マーカーを用いた評価では巻き込まれただけの既存の血管も評価に含まれ、血管新生の正確な評価が出来ない可能性がある。このような背景から、より正確に腫瘍組織における血管新生を評価し、その生物学的挙動との関連を探ることが必要である。近年では活性化された内皮細胞に強く発現するendoglinが注目されてきているが、イヌにおけるendoglinの有用性は示されていない。そこで本章では、正常イヌの乳腺、良性乳腺腫瘍及び腫瘍罹患イヌの非腫瘍部の乳腺を用いてendoglin mRNAの発現を検索し、endoglinのイヌの乳腺腫瘍における新生血管マーカーとしての可能性を検討した。 RT-PCRにより、endoglin mRNAの発現率は良性乳腺腫瘍では正常乳腺、非腫瘍部乳腺と比較して、有意に高いことが示された。免疫組織化学では、proliferating cell nuclear antigen (PCNA)が陽性となった血管内皮細胞の割合およびVEGFが陽性となった血管の割合が、endoglin mRNAが発現していた組織で有意に高いことが示された。また、VEGF mRNAの発現量はvWF mRNA発現量よりもendoglin mRNA発現量と強い相関を示した。PCNAやVEGFに陽性を示す内皮は新生血管の内皮であると考えられることから、endoglin mRNAの発現量がイヌの乳腺腫瘍において血管新生のマーカーとして有用で、新生血管の程度を反映することが示された。第3章:イヌの乳腺腫瘍におけるVEGFおよびその関連因子の発現 VEGFの発現調節には様々な因子が関与しているが、その中でも腫瘍組織内の低酸素が中心的な役割を担っていると考えられている。イヌの乳腺腫瘍にはしばしば壊死巣がみられ、この壊死巣は低酸素状態になっていると考えられることから、イヌの乳腺腫瘍においても低酸素がVEGFの発現に関与している可能性がある。低酸素誘導因子hypoxia-inducible factor (HIF)-1αは低酸素により細胞内の発現が増加する代表的な因子であり、低酸素条件下ではVEGFの転写を亢進させることが知られている。また、cyclooxygenase-2 (COX-2)の過剰発現は多くの腫瘍でみられるが、COX-2により誘導されるprostaglandinE_2…

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内田, . (2013). The study on the expression of angiogenesis-related factors and the angiogenesis in canine mammary tumors : イヌの乳腺腫瘍における血管新生関連因子の発現と血管新生の関連に関する研究. (Thesis). Azabu University / 麻布大学. Retrieved from http://id.nii.ac.jp/1112/00003142/

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Chicago Manual of Style (16th Edition):

内田, 直宏. “The study on the expression of angiogenesis-related factors and the angiogenesis in canine mammary tumors : イヌの乳腺腫瘍における血管新生関連因子の発現と血管新生の関連に関する研究.” 2013. Thesis, Azabu University / 麻布大学. Accessed July 17, 2018. http://id.nii.ac.jp/1112/00003142/.

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内田, 直宏. “The study on the expression of angiogenesis-related factors and the angiogenesis in canine mammary tumors : イヌの乳腺腫瘍における血管新生関連因子の発現と血管新生の関連に関する研究.” 2013. Web. 17 Jul 2018.

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内田 . The study on the expression of angiogenesis-related factors and the angiogenesis in canine mammary tumors : イヌの乳腺腫瘍における血管新生関連因子の発現と血管新生の関連に関する研究. [Internet] [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. [cited 2018 Jul 17]. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003142/.

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内田 . The study on the expression of angiogenesis-related factors and the angiogenesis in canine mammary tumors : イヌの乳腺腫瘍における血管新生関連因子の発現と血管新生の関連に関する研究. [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003142/

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6. 中島, 幹夫. インジウムの発生毒性に関する研究 : Developmental toxicity of indium.

Degree: 博士(獣医学), 2013, Azabu University / 麻布大学

インジウムは周期律表のIIIbに属する金属で、産業的には金属の表面塗装、合金あるいはガラスの製造等に長期にわたって使用されてきた(Venugopal&Luckey,1978)が、近年ではマイクロエレクトロニクス産業で多用されるようになり(Lewis,1986)、レアメタルであることから液晶パネルの透明電導膜等からのリサイクル技術の開発が求められており、その詳細な安全性評価が必要である。インジウムを含む化合物は、実験動物において血液毒性、肺、肝臓、腎臓および心臓等に炎症性の変化や組織変性をきたすことが報告されている(McCord et al.,1942, Castronovo & Wagner,1971)。しかしながら、インジウムの発生毒性に関する情報は極めて少なく、催奇形性の有無については明確でない。妊娠ハムスターにおいては、妊娠8日に硝酸インジウムを単回静脈内投与した場合、0.5mg/kg以上の投与量において、胚・胎子死亡率および胎子の外表奇形発生率の増加が認められている(Ferm & Carpenter,1970)。一方、妊娠マウスにおいては、妊娠6~15日に塩化インジウムを反復経口投与すると、150mg/kg以上の投与量において、胚・胎子死亡率の増加が認められているが、催奇形性は報告されていない(Chapin et a1., 1995)。ハムスターとマウスにおける実験結果の相違は、動物種差による感受性の違いによるものか、あるいは実験条件の違い(投与経路、投与期間および硝酸インジウムと塩化インジウムの違い)によるものか明らかではない。また、インジウムを含む化合物のラットに対する催奇形性に関する報告は、これまでにない。 そこで、本論文ではインジウムの発生毒性の特徴および毒性発現機序について詳細に検討した。まず、インジウムの発生毒性、特に催奇形性の有無をラットを用いて検討した。次に、ラット全胚培養実験およびトキシコキネティクス実験により、インジウムの曝露濃度、曝露時間と発生毒性発現との関連を調べた。次に、ラットおよびマウスを用いてインジウムの発生毒性、特に催奇形性の動物種差について検討した。さらに、母体へのインジウム投与により誘発されるラット胎子の骨格ならびに尾部奇形の発現機序について検討した。なお、本論文ではインジウムとして塩化インジウム4水和物を使用したが、以下、インジウムと略して記載し、投与量は塩化インジウム重量で記載した。 第1章では、インジウムの発生毒性、特に催奇形性の有無を明らかにするため、妊娠9日のラットにインジウムを静脈内または経口投与して、妊娠20日に胎子の発育ならびに形態を調べた。その結果、インジウムはラットに対して胚・胎子致死作用、胎子発育抑制作用、催奇形性等の発生毒性を示した。筆者の知る限りにおいて、インジウムのラットに対する催奇形性を明らかにした実験は本実験が初めてである。静脈内単回投与により奇形を誘発するインジウムの投与量は0.4mg/kgであり、主に尾部および指の外表奇形が認められた。一方、300mg/kgを経口投与した場合、静脈内投与実験と同一の型の外表奇形が誘発されたが、その数は僅か(低頻度)であった。すなわち、インジウムの経口投与は、静脈内投与に比べ発生毒性が著しく弱いことが明らかとなった。 第2章では、ラット全胚培養実験系およびトキシコキネティクス実験系を用いて、インジウムの発生毒性について調べた。ラット全胚培養実験では、インジウムは25~50μMの濃度での曝露により、胚の日齢、曝露濃度および曝露時間に依存して胚毒性(胚致死作用、胚発育抑制作用)を示した。トキシコキネティクス実験における母体血清中のインジウム濃度は、ラット全胚培養実験で毒性のみられた25~50μMより300mg/kgの経口投与では低く、0.4 mg/kgを静脈内投与した場合の母体最高血清中濃度は55μMであった。すなわち、in vitroで明らかに発生毒性を示す濃度は、発生毒性を示すin vivoの母体血清中濃度とよく一致していた。以上のことから、インジウムの発生毒性は受胎産物(胚あるいは卵黄嚢)に対する直接作用であることが示唆された。総曝露量(曝露濃度×曝露時間)が等しい場合には、高濃度の曝露でより強い胚毒性が認められることから、インジウムの胚毒性は曝露時間に比べて曝露濃度により依存すると判断された。すなわち、インジウムの胚毒性が曝露濃度により強く依存していることから、第1章において明らかにした静脈内投与時と経口投与時のインジウムにおける発生毒性の強度の差は、胚の曝露濃度の差によるものであると推論された。 第3章では、ラットおよびマウスを用いて、インジウムの発生毒性に種差があるか否かについて検討した。ラットでは0.4mg/kgのインジウムを妊娠9、10または11日に単回静脈内投与し、妊娠20日に胎子を観察した。マウスでは0.8および1.6mg/kgのインジウムを妊娠7、8または9日に単回静脈内投与し、妊娠18日に胎子を観察した。その結果、ラットでは胚・胎子死亡が21.2~35.2%、外表奇形(主に尾の奇形)が60.9~99.0%出現し(対照群は4.1および0%)、第1章の実験結果が再現された。一方、マウスでは胚・胎子死亡が0.8mg/kg投与で9.0~19.5%、1.6 mg/kg投与で36.9~100%出現し(対照群は4.8%)、インジウム投与量に依存して胚・胎子死亡が増加したが、胎子外表奇形は殆ど観察されなかった(0~1.5%)。以上の結果から、器官形成期に投与されたインジウムは、ラット及びマウスに対して胚・胎子毒性(胚・胎子致死作用、胎子発育抑制作用)を及ぼすことから、両者はインジウムに対して感受性を有するが、インジウムの催奇形性(胎子の外表奇形誘発作用)に注目すると、マウスはラットに比べ感受性が低いことが明らかになった。 第4章では、インジウムにより誘発されるラット胎子骨格奇形発現機序を検討するために、妊娠10日のラットにインジウムを静脈内投与して、妊娠21日における胎子の骨および軟骨の形態を骨・軟骨二重染色法により調べた。妊娠10日ラットへインジウム0.3mg/kgを投与すると、胎子の骨および軟骨の著しい形態異常が誘発された。中軸骨格の奇形は軟骨の奇形を伴っていた。中軸骨格および四肢の長骨は間葉由来の軟骨からの置換により形成されることを踏まえると、母体へのインジウム投与によって誘発される胎子軟骨の形成異常が胎子骨格奇形発現の一因となっていることが示唆された。 第5章では、in vitroおよびin vivo実験により、インジウムによるラット胎子尾部奇形の病態形成機序を検討した。in vivo実験では0.4mg/kgのインジウムを妊娠10日のラットに静脈内投与し、妊娠11、12または13日に胚を観察した。in vitro実験では妊娠10日のラット胚を50μMのインジウムを含むラット血清で24時間培養あるいは、その後インジウムを含まない血清でさらに24時間培養した。in vivo実験ではインジウム投与群において尾部の低形成が胎齢11日から認められ、また、胎齢11日胚において尾芽にナイルブルー陽性細胞が認められた。この所見はin…

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中島, . (2013). インジウムの発生毒性に関する研究 : Developmental toxicity of indium. (Thesis). Azabu University / 麻布大学. Retrieved from http://id.nii.ac.jp/1112/00003232/

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中島, 幹夫. “インジウムの発生毒性に関する研究 : Developmental toxicity of indium.” 2013. Thesis, Azabu University / 麻布大学. Accessed July 17, 2018. http://id.nii.ac.jp/1112/00003232/.

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中島, 幹夫. “インジウムの発生毒性に関する研究 : Developmental toxicity of indium.” 2013. Web. 17 Jul 2018.

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中島 . インジウムの発生毒性に関する研究 : Developmental toxicity of indium. [Internet] [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. [cited 2018 Jul 17]. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003232/.

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中島 . インジウムの発生毒性に関する研究 : Developmental toxicity of indium. [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003232/

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7. 嶋﨑, 智章. Studies on antigenic and pathogenic characterizations and detection of bovine viral diarrhea virus 2 : 牛ウイルス性下痢ウイルス2の抗原性および病原性並びに検出法に関する研究.

Degree: 博士(獣医学), 2013, Azabu University / 麻布大学

牛ウイルス性下痢症(BVD)は1946年にアメリカで初めて報告され、その後カナダで粘膜病を伴う重篤なBVDが報告された。BVDはその数年後に牛ウイルス性下痢-粘膜病として広く知られるようになった。現在、BVDは牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)の感染による重要な疾病として世界中で報告され畜産経営に甚大な被害を及ぼしている。 BVDVは、フラビウイルス科ペスチウイルス属に属するプラス1本鎖RNAウイルスである。ペスチウイルス属は、BVDV1、BVDV2、ボーダー病ウイルスおよび豚コレラウイルスの4種からなり、その遺伝子の長さは約12.3Kbである。5'末端の非翻訳領域の塩基配列は属内で最も保存され、特異的であるため遺伝子検査に適している。 BVDVには2つのバイオタイプがあり、1つは培養細胞に細胞変性効果(CPE)を引き起こす細胞病原性株で、もう1つはCPEを引き起こさない非細胞病原性株である。一般的に非細胞病原性株のみが牛に持続感染し、その持続感染牛に細胞病原性株が重感染すると粘膜病を発症するとされている。 1980年代後半、北米で食用子牛に出血を主徴とする高病原性を呈するBVDV感染が頻繁に発生した。その分離株について遺伝子の系統樹解析を行ったところ、従来の野外流行株、ワクチン株、診断用抗原、若しくは研究材料として一般的に用いられていた株とは異なるグループであることが判明した。このグループは新しい種とされBVDV2と命名され、既知の株が属するグループはBVDV1と命名された。その後、BVDV2の流行は北米だけにとどまらず欧州や南米にも拡がった。したがって、我が国においても早急にBVDVを型別し、BVDV2の抗原性状、病原性について検討する必要が生じた。また、BVDV1を製造用株とする現行ワクチンはBVDV2感染を予防できないとする報告があったことから、ワクチンの製造用株にBVDV2を加えることが言及されるようになった。そこで、著者は我が国で使われているBVDV1を製造用株としているワクチンがBVDV2感染症の予防に対して有効かどうかを明らかにする必要があると考えた。 一方、1970年代から細胞培養に使用していた牛胎子血清にBVDVが混入するケースが増加傾向にあり、培地および培養細胞への汚染が目立つようになった。このため、BVDVが迷入していないワクチンの製造を確保するためには、ワクチンの各製造工程における適切な検査の実施が効果的な品質の確保に必要不可欠であると思われた。 上述のように、BVDV、とりわけ新たなBVDV2は家畜衛生およびワクチンの晶質管理において重要な病原因子である。そこで、我が国におけるBVDV2の確認およびBVDV2に対する現行ワクチンの効果について究明し、並びにRT-PCRによる牛用ワクチン中に迷入する活性BVDV検出法の確立を目的として以下の研究を行った。 本論文は3章から構成される。第1章において我が国で分離されたBVDVを遺伝子型別した。第2章では、我が国で使用されているBVDワクチンのBVDV2に対する効果を評価した。第3章では、BVDVの複製過程で生成されるマイナス鎖RNAをRT-PCRにより検出する方法を確立し、牛用生ウイルスワクチン中に迷入する活性BVDVの検出に有用か検証した。第1章 我が国で分離された牛ウイルス性下痢ウイルスの遺伝子型別 BVDV2の5'末端非翻訳領域にはBVDV1に存在するPstIサイトがない。このことを指標にBVDVは容易にBVDV1とBVDV2に型別できる。そこで、著者は我が国で分離されたBVDVをBVDV1若しくはBVDV2に型別し、検出されたBVDV2の病原性および抗原性を検討した。 その結果、野外の持続感染牛から分離された3株の5'末端非翻訳領域にPstIサイトがなかったことから、これら3株はBVDV2と型別された。これら3株を牛に実験感染させたところ、発熱およびロイコペニーと共にBVDV2に特徴的な血小板減少が認められた。以上の結果から、これらの3株は、我が国において初めて確認されたBVDV2であった。また、実験感染牛の血清中和抗体価を測定したところ、ホモの株に対する抗体価とBVDV1である既知株に対する抗体価に差が認められ、抗原性の相違が明らかとなった。第2章 牛ウイルス性下痢ウイルス2-890株に対する我が国で使用されている牛ウイルス性下痢症ワクチンの有効性 前章においてBVDV2であることが明らかとなった3株の抗原性はワクチン株であるNo.12-43株のそれと異なることを示した。このことから、BVDV2がワクチン抗体をすり抜けることで既存のワクチンが無効となることが危惧された。そこで、BVDV1を製造用株とし我が国で汎用されているBVDワクチンのBVDV2の代表株かつ強毒株である890株に対する有効性を調べた。ワクチン接種牛および未接種牛に890株を攻撃したところ、ワクチン接種牛には未接種牛に診られた臨床症状や血液学的変化が観察されず、攻撃株も分離されなかった。我が国のBVDワクチンはBVDV2感染に対しても有効であることが示唆された。第3章 牛用ウイルスワクチンに迷入する活性牛ウイルス性下痢ウイルスの迅速検出法の検証 多くのウイルスワクチンは細胞や牛胎子血清などの生物由来原料を使って培養したウイルスをワクチン株として製造されている。しかし、それは生物由来原料を介して感染因子が迷入するリスクを常に持っているということを意味するものである。BVDVは牛血清や細胞に混入することがよく知られている。活性BVDVに汚染された生物由来原料を使ってワクチンを製造した場合、それは家畜衛生上、非常に重篤な問題が生じることになるかもしれない。 従来用いられたRT-PCRは、血清や培養細胞、シードウイルス、ワクチンからBVDVを検出できる非常に感度の高い方法であるが、これまでのRT-PCRはランダムプライマー若しくは特異的なアンチセンスプライマーを用いるため、その混入しているBVDVが活性を有しても有していなくてもPCR産物が増幅される。そこで、BVDVが感染細胞で複製する際に生じるマイナス鎖RNAに対するセンスプライマーを用いて増幅することで活性を有するBVDVのみを検出するRT-PCR法を開発し、この新しいRP-PCR法を用いて牛用生ウイルスワクチン中に迷入する活性BVDVの検出について試験した。 その結果、新たに開発したRT-PCR法は、動物用生物学的製剤基準において採用されている干渉法に比べ簡便かつ迅速で、同程度の感度であることが確認された。さらに、供試した全ての非細胞病原性BVDVを検出することができ、牛用ウイルス生ワクチン中に含まれる成分の干渉を受けなかった。このRTP-CR法は牛用ウイルス生ワクチンの品質管理法として有用であると考えられた。…

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嶋﨑, . (2013). Studies on antigenic and pathogenic characterizations and detection of bovine viral diarrhea virus 2 : 牛ウイルス性下痢ウイルス2の抗原性および病原性並びに検出法に関する研究. (Thesis). Azabu University / 麻布大学. Retrieved from http://id.nii.ac.jp/1112/00003233/

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嶋﨑, 智章. “Studies on antigenic and pathogenic characterizations and detection of bovine viral diarrhea virus 2 : 牛ウイルス性下痢ウイルス2の抗原性および病原性並びに検出法に関する研究.” 2013. Thesis, Azabu University / 麻布大学. Accessed July 17, 2018. http://id.nii.ac.jp/1112/00003233/.

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嶋﨑, 智章. “Studies on antigenic and pathogenic characterizations and detection of bovine viral diarrhea virus 2 : 牛ウイルス性下痢ウイルス2の抗原性および病原性並びに検出法に関する研究.” 2013. Web. 17 Jul 2018.

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嶋﨑 . Studies on antigenic and pathogenic characterizations and detection of bovine viral diarrhea virus 2 : 牛ウイルス性下痢ウイルス2の抗原性および病原性並びに検出法に関する研究. [Internet] [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. [cited 2018 Jul 17]. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003233/.

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嶋﨑 . Studies on antigenic and pathogenic characterizations and detection of bovine viral diarrhea virus 2 : 牛ウイルス性下痢ウイルス2の抗原性および病原性並びに検出法に関する研究. [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003233/

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8. 新村, 毅. Study on welfare of laying hens in various housing systems : developments of overall welfare assessment and new modified cage system : 産卵鶏の福祉的飼育システムに関する研究 : 総合福祉評価法および新型システムの開発.

Degree: 博士(学術), 2013, Azabu University / 麻布大学

近年、動物福祉は思想から法律への具現化を急激に始めており、OIEの世界家畜福祉基準を始めとして、世界各国で法律・ガイドラインが制定されている。EUでは、2012年から産卵鶏のバタリーケージを廃止とする指令が法律として施行され、様々な代替システムが考案されつつある。このような状況において必要とされるのは、各システムの長短所を明瞭化することであり、その短所を解決する改良型飼育システムを開発することである。同時に、高福祉畜産物の差別化のために、各種の飼育システムを現場レベルで評価する福祉評価法を開発することも必須であると言えよう。本研究では、コンベンショナルなケージシステムから最も開放的な放牧まで、代表的な6つの異なる飼育システム(小型・大型バタリーケージ、小型・大型福祉ケージ、平飼い、放牧)を同一機関内に設置して、1年半にわたり約300羽の産卵鶏を継続的に飼育し、各システムの長短所を明瞭化すると同時に、その知見に基づいた福祉評価法および新型飼育システムを開発することを目的とし、以下の5つの実験を実施した。(1)6システムにおけるPecking behaviourの比較[1,2]:まず各システムにおける鶏の行動を詳細に比較検討し、産卵鶏が嘴を使用する合計頻度は、いずれのシステムでも一定であることを見いだした。この結果は、先行研究[3]から立てられた仮説、鶏は何かをつつくという強い動機づけを内在的に保有しているということを強く支持するものであった。すなわち、ケージの産卵鶏は、食草・敷料床つつきを発現できないことによるPecking behaviourの不足分を、餌・自身の羽毛・ケージワイヤーをつつくことで補っている、言い換えればこれらの元となる動機づけは共通していることが明らかとなった。(2)6システムの総合評価[4]:福祉レベル、生産性、免疫反応の評価により、6システムを多面的に評価し、Five freedoms(飢えと渇きからの自由、苦痛・傷害および疾病からの自由、恐怖および苦悩からの自由、物理的不快からの自由、正常行動発現の自由)の観点から長短所を明瞭化した。(1)の結果を考慮して、敷料床つつきなどのPecking behaviourの発現量は、評価指標から除外した。非ケージシステム、特に放牧は、正常行動発現の自由についての評価が高くなる一方で、苦痛・傷害および疾病からの自由についての評価は低くなり、また生産面では卵殻色が薄くなる傾向にあった。小型福祉ケージの総合的な福祉レベルおよび免疫反応は、平飼い・放牧と同等に高かった一方で、大型福祉ケージは、バタリーケージと同様の低い評価であった。(3)福祉評価法の開発[5]:評価の確実性の向上および評価法の推敲・維持の容易さを達成するため、世界中の産卵鶏の福祉研究1000件以上をデータベース化し、それを基に新たな福祉評価法を開発した。さらに、代表的な評価法であるAnimal Needs Index(ANI)との比較および(2)で得られた動物ベースの評価値との関係から、本モデルを評価した。本モデルおよびANI、いずれの評価法も動物ベースの評価値と強い相関関係にあったが、本モデルは、ANIと比較して福祉レベルの検出力が高く、有用性がより高いことが示唆された。(4)新型福祉ケージにおける社会的順位と資源利用の関係[6]:(2)・(3)は、いずれも福祉ケージの高い潜在価値を示していたが、大型福祉ケージにおいては、活動量が増加する一方で、グループサイズの増加により資源競争が激化することを示唆していた。これらの知見と先行研究[7-13]を基に、資源競争を緩和させる資源分散型の中型福祉ケージを新たに考案した。従来型の資源集中型福祉ケージでは、上位個体が砂浴び場を優先利用する一方で、資源分散型では、いずれの順位の個体も同等に利用していた。(5)新型福祉ケージの総合評価[14]:(5)ではさらに、行動・健康状態・生産性からの多面的測定により、資源分散型の中型福祉ケージを総合的に評価した。資源分散型福祉ケージは、行動の多様化・健康状態の改善という福祉ケージの利点を保持しつつも、運動量が増加するという中型ケージの利点を示していた。また、資源集中型福祉ケージと比較すると、砂浴び場への競争が緩和されており、それにより敵対行動が減少し、生産性が高く維持されていた。これらのことから、資源分散型福祉ケージの高い有用性が示された。 以上の実験から、各種飼育システムの長短所を明らかにすると同時に、有用性の高い評価法を開発した。これらの研究は、福祉ケージの高い潜在価値およびケージデザインの重要性を示していた。大型福祉ケージでは、資源競争が激化する短所が見受けられたが、それは資源を分散することで解決されうることが示された。これらの成果は、システムを採用する生産者サイドへ多くの示唆を与えるのみならず、今後の家畜福祉学の発展においても大きく貢献するものと考えられる。発表論文[1]Shimmura et al. Applied Animal Behaviour Science 115,44-54 (2008).[2]Shimmura et al. British Poultry Science 49,396-401 (2008).[3]Shimmura et al. Animal… (more)

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新村, . (2013). Study on welfare of laying hens in various housing systems : developments of overall welfare assessment and new modified cage system : 産卵鶏の福祉的飼育システムに関する研究 : 総合福祉評価法および新型システムの開発. (Thesis). Azabu University / 麻布大学. Retrieved from http://id.nii.ac.jp/1112/00003267/

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新村, 毅. “Study on welfare of laying hens in various housing systems : developments of overall welfare assessment and new modified cage system : 産卵鶏の福祉的飼育システムに関する研究 : 総合福祉評価法および新型システムの開発.” 2013. Thesis, Azabu University / 麻布大学. Accessed July 17, 2018. http://id.nii.ac.jp/1112/00003267/.

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新村, 毅. “Study on welfare of laying hens in various housing systems : developments of overall welfare assessment and new modified cage system : 産卵鶏の福祉的飼育システムに関する研究 : 総合福祉評価法および新型システムの開発.” 2013. Web. 17 Jul 2018.

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新村 . Study on welfare of laying hens in various housing systems : developments of overall welfare assessment and new modified cage system : 産卵鶏の福祉的飼育システムに関する研究 : 総合福祉評価法および新型システムの開発. [Internet] [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. [cited 2018 Jul 17]. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003267/.

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新村 . Study on welfare of laying hens in various housing systems : developments of overall welfare assessment and new modified cage system : 産卵鶏の福祉的飼育システムに関する研究 : 総合福祉評価法および新型システムの開発. [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003267/

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9. 宮地, 一樹. 鯨類遊離アミノ酸動態の特異性とその意義に関する研究.

Degree: 博士(学術), 2013, Azabu University / 麻布大学

鯨類はきわめて特殊な進化を遂げた哺乳類の一種であり、一般の人の人気も高い。このため、水族館などの施設において多くが飼育されている。本来、動物を人工的な環境下で適切に飼育管理するには、生理学的・栄養学的知見は必要不可欠であるが、鯨類におけるこれらの知見は少ない。また、血液検査と行動観察では、特に異常の見られなかった個体の死亡が頻繁に報告されており、既存の方法による健康評価だけでは限界があり、さらなる検査方法の導入が必要である。 遊離アミノ酸は血漿と組織中に存在し、腎臓において再吸収もしくは排泄されることにより、生体内で動的平衡を保っているが、生理的状態や病的状態により、そのバランスに変化が生じることが知られている。また、この動的平衡状態には種差があり、代謝の違いによりもたらされると考えられている。血漿、尿中、組織中遊離アミノ酸の解析は、生理学的特徴を明らかにする大きな手がかりとなると考えられる。さらに、生体内遊離アミノ酸のモニタリングおよびコントロールは人・動物を問わず、健康管理にきわめて重要であり、鯨類の飼育管理への応用も可能であると考えられる。本研究の目的は、鯨類のなかでも一般的に飼育されているハクジラ亜目の生体内遊離アミノ酸(カルノシン含む)を解析することにより、鯨類の生理学的・栄養学的知見を得ること、および飼育管理等への応用の可能性を検討することも目的とした。第1章では、バンドウイルカ(Tursiops truncatus)、カマイルカ(Lagenorhynchus obliquidens)、ハナゴンドウ(Grampus griseus)、オキゴンドウ(Pseudorca crassidens)の血漿遊離アミノ酸(以下、血漿アミノ酸)の解析を行った。第2章では、バンドウイルカの尿を用いて尿中遊離アミノ酸(以下、尿中アミノ酸)の解析を行った。第3章ではバンドウイルカとハナゴンドウの骨格筋、皮膚、およびハナゴンドウの腸管中遊離アミノ酸(以下、骨格筋、皮膚、腸管中アミノ酸)の解析を行った。各章では、比較対照として陸棲哺乳類であるマウスのアミノ酸解析も同時に行うことにより、鯨類でのアミノ酸に係る生理学的特徴を考察した。第1章 鯨類の血漿遊離アミノ酸の解析1)血漿アミノ酸解析の結果、それぞれの鯨類間比較において25アミノ酸中4-8アミノ酸に有意差が見られ、種差があることが明らかになった。マウスと鯨類との比較においては、25アミノ酸中11-12アミノ酸に有意差が認められた。種間における血漿アミノ酸組成の違いは、代謝の違いによりもたらされることが知られており、本研究でもそれが確認された。そのため、鯨類においても血漿アミノ酸は生理状態をよく反映しており、飼育管理を行ううえで、有用な指標となり得ると考えられる。2)バンドウイルカの血漿アミノ酸濃度において、メスよりもオス、生簀よりもプール飼育の方が高値を示した。性別や飼育環境が異なれば、ホメオスタシスも一様ではなく、アミノ酸必要量に違いが生じ、血漿アミノ酸組成に反映したと考えられる。そのため、血漿アミノ酸を指標とした栄養評価・管理を行うことは、鯨類の健康維持・増進にとって重要であると考えられる。3)鯨類では血漿3-メチルヒスチジンが、マウスの約50倍以上の高値を示した。また、マウス血漿では検出されなかったカルノシンが、鯨類の血漿中には含まれていた。これらが高値を示す要因として餌の影響の可能性が考えられた。そのため、給餌後の血漿3-メチルヒスチジン、カルノシン濃度を測定したが、どちらも有意な上昇は見られず、餌由来でないことが示された。4)血液検査と行動評価により、健康であると見なされた個体のフィッシャー比を測定した結果、100サンプル中12サンプルが2.4以下を示した。これは、人において肝機能低下が疑われる値であった。このことは、フィッシャー比を用いることにより、血液検査や行動評価では検出されなかった肝機能の低下を検知したことを示唆する。そのような個体はフィッシャー比を是正することにより、より適切な飼育管理が可能になると考えられる。第2章 バンドウイルカの尿中遊離アミノ酸の解析1)比較を行った25アミノ酸全てにおいて、バンドウイルカとマウスの尿中アミノ酸濃度に有意差が見られた。従来、鯨類と陸棲哺乳類の排泄能に大きな違いはないとされてきたが、アミノ酸の再吸収・排泄に関しては大きな違いがあることが明らかとなった。2)バンドウイルカの尿中3-メチルヒスチジン濃度(3.51×10^-2μmol/mg creatinine)はマウス尿中(16.69×10^-2μmol/mg creatinine)と比較して低値を示し、その再吸収が示唆される。3)マウス尿中と比較して、バンドウイルカ尿中にはカルノシンが約30倍高濃度で検出された。バンドウイルカにおいて、尿中にもカルノシンが高濃度で検出されたことは、3-メチルヒスチジンとは異なるカルノシンの多彩な生理作用に起因すると考えられる。4)バンドウイルカとマウスにおいて、尿中分岐鎖アミノ酸(尿中BCAA)濃度はそれぞれ5.68、48.86×10^-2μmol/mg creatinineであり、マウスが10倍近い高値を示した。このことは、バンドウイルカはBCAAの再吸収を積極的に行っていることを示唆する。第3章 鯨類の骨格筋、皮膚、腸管中遊離アミノ酸の解析1)バンドウイルカとハナゴンドウの骨格筋中カルノシン濃度(それぞれ66.91、69.58μmol/g tissue)は、マウス(1.35μmol/g tissue)と比較して高値を示した。基質であるβ-アラニンとヒスチジンも高濃度で含まれており、カルノシンは骨格筋で盛んに合成され、抗疲労作用や抗酸化作用によって、鯨類の高い運動能力に寄与していると考えられた。2)バンドウイルカとハナゴンドウの骨格筋、皮膚、腸管には、3-メチルヒスチジンが豊富に含まれていることが示された。そのため、鯨類における血漿3-メチルヒスチジンは骨格筋、皮膚、腸管の由来であることが示唆された。3)マウスの骨格筋中BCAA(1.34μmol/g tissue)と比較して、バンドウイルカとハナゴンドウの骨格筋中BCAA(それぞれ10.37、5.44μmol/g tissue)は、約10倍高濃度に含まれていた。本結果と尿中BCAA濃度の結果から、鯨類は骨格筋中にBCAAを積極的に取り込んでいると考えられた。骨格筋中BCAAは筋タンパク質分解の抑制、およびエネルギー源として、鯨類における持久的な筋運動を可能にする要因のひとつとして、寄与していると考えられる。第4章 総合考察 本研究では、鯨類における血漿、尿、骨格筋、皮膚、腸管中アミノ酸濃度を明らかにした。そのなかでも、血漿アミノ酸は、生体の生理的状態の変化をよく反映しており、鯨類の飼育管理にも応用できる可能性は高いと考えられる。例えば、各施設で定期的に行っている血液検査に加え、血漿アミノ酸濃度の測定はさらなる健康状態評価法として有用であると考えられる。また、そのバランスに変化が生じた場合、アミノ酸投与により、アンバランスを是正することで、病的状態の改善を試みることも可能である。…

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宮地, . (2013). 鯨類遊離アミノ酸動態の特異性とその意義に関する研究. (Thesis). Azabu University / 麻布大学. Retrieved from http://id.nii.ac.jp/1112/00003268/

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宮地, 一樹. “鯨類遊離アミノ酸動態の特異性とその意義に関する研究.” 2013. Thesis, Azabu University / 麻布大学. Accessed July 17, 2018. http://id.nii.ac.jp/1112/00003268/.

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宮地, 一樹. “鯨類遊離アミノ酸動態の特異性とその意義に関する研究.” 2013. Web. 17 Jul 2018.

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宮地 . 鯨類遊離アミノ酸動態の特異性とその意義に関する研究. [Internet] [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. [cited 2018 Jul 17]. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003268/.

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宮地 . 鯨類遊離アミノ酸動態の特異性とその意義に関する研究. [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003268/

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10. 中村, 進一. サル類のエルシニア症の発生と予防に関する病理学的および免疫学的研究.

Degree: 博士(獣医学), 2013, Azabu University / 麻布大学

本邦の動物展示施設では、サル類に人獣共通感染症であるエルシニア症が多発しており、動物飼育管理上および公衆衛生上の重要な問題となっているが、従来、我が国の動物展示施設において、死亡個体の詳細な病理学的および微生物学的検索が不十分なため、サル類のエルシニア症の病態および発生状況の把握が進んでおらず、適切な対策が立てられていないのが現状である。 本研究は、動物展示施設におけるサル類のエルシニア症の予防に資する研究の一環として、サル類のエルシニア症について病理学的および疫学的に検索し、その特徴と実態を明らかにするとともに、エルシニア症予防対策を図る目的で、動物実験および野外臨床実験によってワクチンの開発を試み、以下の成績を得た。1. 我が国の動物園におけるサル類のエルシニア症の発生状況と病理学的特徴 我が国の動物展示施設におけるサル類のエルシニア症の発生状況と病理学的特徴を明らかにするために、2000年1月~2008年9月の間に21施設で死亡したサル類390頭を供試検体として、エルシニア症の発生状況調査と病理学的検索を行った。その結果、この期間内に14施設で58頭のサル類がエルシニア症で死亡し、そのうち48頭はリスザル Saimiri spp.であり、これは感染症により死亡したリスザル105頭の45.7%を占め、エルシニア症がリスザルの主たる死因となっていることを明らかにした。特異的な臨床症状はなかったが、1歳未満の若齢個体は感受性が高く、ほとんどが突然死していた。 病理解剖学的には、エルシニア症で死亡したサル類に共通して腸間膜リンパ節の腫大がみられ、特にリスザルではさらに脾臓、肝臓において針頭大白色結節の形成がみられること、小腸ではパイエル板に病変が主座することを示した。また、病理組織学的には、これらの臓器において、菌塊を伴う壊死巣の形成が特徴的病変であることを指摘した。 また、遡及的研究として、分離菌種、血清型およびスーパー抗原YPM (Yersinia pseudotuberculosisderived mitogen)の解析が実施されている症例を対象として、それぞれの因子と病理学的所見との関連を調べたところ、Yersinia pseudotuberculosis 血清型1b、2b、3、4b、6、7および Y. enterocolitica O3 などの菌種と血清型で病変が異なることはなかったが、Y. enterocolitica O8 感染個体では化膿性変化がより強く、特定の菌種と血清型で病変に差があることを明らかにした。また、スーパー抗原YPMをコードするypmA遺伝子を保有する Y. pseudotuberculosis 15株と保有しない2株で病変を比較したが差がなかった。Yersiniaの病原性は様々な病原因子が複雑に関与しており、さらに感受性の差は、サルの種類や年齢、個体の状態によっても左右されるため、その病理像は多様であると考えられた。2. 病原性Yersiniaの感染防御抗原に関する研究 第2章では、エルシニア症に対するワクチン抗原の探索のため、病原性Yersiniaが共通して産生する病原因子 Yersinia Adhesin A (YadA) および Yersinia Outer membrane Proteins (Yops)に着目し、動物実験によってこれらが病原性Yersiniaの感染防御抗原と成りうるかを検討した。 供試菌株として Y. pseudotuberculosis 4bを用い、免疫原として、YadAを強発現した死菌 [YadA群]、精製Yops [Yop群]、YadAを発現する37℃培養死菌[37℃群]と、YadAを発現しない25℃培養死菌[25℃群]をマウスに皮下あるいは経口接種し、陰性対照群にはPBS を投与した。その後 Y. pseudotuberculosis 4bの生菌を経口感染させた。その結果、生存率は、YadA群(皮下)100%、YadA群(経口)60%、37℃群(皮下)40%で、YadA死菌に対する血清IgG値は、YadA群(皮下)で最も高く、次いで37℃群(皮下)が高く、Yop群や陰性対照群では検出されなかった。一方、Yopsに対する血清IgGは、Yop群(皮下)でのみ検出された。この実験でYadA死菌の感染防御抗原としての有効性が示唆されたことから、効果的な接種法と量を検討し、作用機序を明らかにするために、マウスを用いて、YadA死菌単回皮下接種群、YadA2回皮下接種群、YadA2回経口接種群、陰性対照群 (PBS投与) を設定し、免疫原を接種後、同じく生菌を経口感染させた。その結果、YadA単回皮下接種群の10匹中1匹を除く、いずれの免疫賦与群においても、死亡する動物はいなかったものの、体重減少、糞便中への排菌および病理組織学的病変がみられ、その程度は、YadA2回皮下接種群において最も軽度であった。 以上の結果から、マウスにおいてYadA死菌を皮下接種することで、Y. pseudotuberculosis 4bの経口感染による死亡を阻止できることを明らかにした。この機序として、YadAは接着因子としての機能の他、補体や貧食細胞に対する抵抗性などにも関与する多機能を有する病原因子であることから、YadA死菌の皮下接種による全身免疫が賦与され、肝臓、脾臓、腸間膜リンパ節およびパイエル板などの臓器から、より早期に菌を排除することで、死亡に至る重篤な感染を阻止できたものと考察した。しかしながら、生存個体において、菌接種後に糞便中に排菌し、臨床症状や病変がみられたことから、今回用いた接種方法と量では、腸管感染を完全に阻止する十分な腸管局所免疫を賦与できないことがわかった。3. 飼育下リスザルに対するYersinia pseudotuberculosisワクチンの臨床実験に関する研究 第3章では、前章の動物実験によりYadA死菌の感染防御抗原としての有効性が示唆されたことから、YadA死菌をワクチンとして用いて、リスザルを対象に臨床実験を行った。すなわち、2004年~2009年の間に、エルシニア症の発生経験をもつ7施設(流行群)と発生のない4施設(非流行群)のリスザル、延べ1092頭にワクチンを皮下接種し、エルシニア症の発生状況と血清抗体の推移を観察した。その結果、ワクチン接種後、7流行群のうち4施設と全ての非流行群でエルシニア症の発生がみられず、その他の3流行群でも、発生回数および罹患頭数が激減した。血清調査の結果、Yersinia感染を広く検出するYop抗体は、流行群では陽性率が高く(67.6~100%)、非流行群では低かった(0~36,4%)。さらに、流行群であるE施設と非流行群のP施設において、YadAならびにYop抗体の推移を比較した結果、YadA抗体はいずれの施設でも、ワクチン接種の翌年から陽転した。Yop抗体は、E施設では1歳以上の個体で保有率が高い(85.9%)が、P施設では、成体を含めて多くの個体が陰性であった。 以上の野外飼育施設における臨床実験により、リスザルへのYadA死菌を用いたY.…

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中村, . (2013). サル類のエルシニア症の発生と予防に関する病理学的および免疫学的研究. (Thesis). Azabu University / 麻布大学. Retrieved from http://id.nii.ac.jp/1112/00003137/

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中村, 進一. “サル類のエルシニア症の発生と予防に関する病理学的および免疫学的研究.” 2013. Thesis, Azabu University / 麻布大学. Accessed July 17, 2018. http://id.nii.ac.jp/1112/00003137/.

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中村, 進一. “サル類のエルシニア症の発生と予防に関する病理学的および免疫学的研究.” 2013. Web. 17 Jul 2018.

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中村 . サル類のエルシニア症の発生と予防に関する病理学的および免疫学的研究. [Internet] [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. [cited 2018 Jul 17]. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003137/.

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中村 . サル類のエルシニア症の発生と予防に関する病理学的および免疫学的研究. [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003137/

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11. 林元, 展人. 実験動物のマウスから分離されたBordetella hinziiの生物学的性状と病原性に関する研究 : Studies on the biological features and pathogenicity of bordetella hinzii derived from laboratory mice.

Degree: 博士(獣医学), 2013, Azabu University / 麻布大学

「第I章 マウスからのBordetella hinzii分離例と分離株の生物学的性状」 著者は呼吸器症状(小鳥が鳴くような異常呼吸音)を示す1匹のC57BL/6マウスの気管ならびに肺から、オキシダーゼ陽性、カタラーゼ陽性のグラム陰性桿菌を純培養の状態で分離した。このマウスは既知の病原体の検査は全て陰性であった。症状を示したマウスの肺副葉は赤色肝変化していたが、その他の臓器に肉眼的な著変は認められなかった。また、このマウスに対し病理組織学的検査を実施した結果、鼻炎、気管炎ならびに気管支肺炎が認められた。16S rRNA遺伝子の塩基配列の解析を実施した結果、分離株はデータベース上のB.hinziiのデータと高い相同性(99.9%)を示した。続いて実施したBordetella属他種菌との16S rRNA遺伝子の塩基配列系統樹解析の結果、分離株はB.hinzii LMG 13501T株とともに独立したクラスターを形成した。以上の結果からマウスからB.hinziiを分離・同定し、本菌がマウスの呼吸器病変に関与している可能性を示した。「第II章 B.hinziiマウス由来株のマウスに対する病原性の解明」 B.hinzii分離株のマウスへの病原性を明らかにするために、免疫機能が正常なマウス(ICRマウス)ならびに免疫機能不全マウス(NOD-scidマウス)を用い感染実験を実施した。接種菌液濃度が異なる2群(1群5匹、高濃度群: 107CFU/ml、低濃度群: 103CFU/ml)を設定した。菌液接種後、NOD-scidマウスでは3日目までに、ICRマウスでは10日目までに、全匹において小鳥の鳴くような異常呼吸音が観察された。また、NOD-scidマウスでは軽度の呼吸困難も観察された。これらの症状は実験期間中継続したが、ICRの症状は時間とともに軽微になっていった。実験期間中に高濃度菌液接種群ならびに低濃度菌液接種群のNOD-scidマウスそれぞれ1匹が死亡した。また、高濃度接種群のNOD-scidマウス2匹に重度の呼吸困難が観察されたため、安楽死を実施した。実験期間終了後の剖検ではマウス全例において、肉眼的な著変は観察されなかったものの、病理組織学的検査ではICRマウスとNOD-scidマウスに鼻炎ならびに気管支肺炎が観察された。この病像に加えNOD-scidマウスでは、全例において間質性肺炎も観察された。菌分離では菌液を接種したマウス全例の鼻腔、気管、盲腸から菌が分離された。また低濃度菌液接種群のICRマウス1例を除く全例の肺から菌が分離された。これらの結果から、B.hinziiがマウスに呼吸器感染症を引き起こすことを証明した。「第III章 わが国のマウス実験動物施設におけるB.hinziiの流行様態調査と感染マウスの病態」 わが国におけるB.hinziiの流行様態を調査するために、延べ1020施設由来の6040匹のマウスに対し、気管からの菌分離を行った。また、自然感染下でのB.hinziiの病態を調査するために、任意のマウスにおいて、鼻腔、肺からの菌分離を実施すると同時に、病理組織学的検査を実施した。調査の結果、24施設の大学・研究所実験動物施設由来の88匹のマウスがB.hinziiを保有していた。製薬会社の実験動物施設由来のマウスに、B.hinziiを保有しているものはいなかった。調査した890の大学・研究所の施設のB.hinzii陽性率は2.7%と、同時期に実施した調査における蟯虫(Aspiculuris spp.またはSyphacia spp.、3.0%)、Mouse hepatiUs virus(2.9%)と同程度であった。88匹のB.hinzii保菌マウスのうち、既知の病原体との混合感染が認められなかった59匹から任意で選んだ14匹のマウスに対して、鼻腔、肺からの菌分離と病理組織学的検査を実施した。その結果、全例において、気管だけではなく鼻腔からもB.hinziiが分離されたが、肺からは分離されなかった。これらのマウスでは、14匹全例において病理組織学的検査で鼻炎が確認されたが、肺には病変は確認されなかった。本結果から、わが国のマウス飼育実験動物施設にB.hinziiが広く存在していることを明らかにした。また、B.hinziiが自然感染下においてマウスの鼻腔に病変を形成することも明らかにした。「第IV章 B.hinziiの分子生物学的同定法の確立」 次にB.hinziiを迅速に同定することが可能なPolymerase Chain Reaction(PCR)同定法の確立を目指し、特異的なPCRプライマーの設計を行い、その評価を実施した。PCRプライマーの標的としたDNAジャイレースサブユニットB(gyrB)遺伝子の配列を決定するために、B.hinziiマウス由来株3株を用い、塩基配列を決定した。その塩基配列を基に1組のプライマーセット、CZO7ならびにNJO5を設計した。これらプライマーのB.hinziiの特異性を確認するために、データベース上の全塩基配列と比較した。そして、B.hinziiマウス由来株88株、B.hinzii ATCC 51783株、B.hinzii以外のBordetella 属菌7株ならびに既知のマウス呼吸器病原菌(Corynebacterium kutscheri、Pasteurella pneumotoropica、mycoplasma pulmonis)の3株に対してPCRを実施した。その結果、PCRプライマーCZO7ならびにNJO5と完全に一致する配列はデータベース上には見つからなかった。また、本プライマーセットを用いたPCRではB.hinziiマウス由来株88株とB.hinzii ATCC 51783株からは推定された大きさ(774 bp)のPCR産物が確認され、それ以外の菌種からは遺伝子の増幅は確認されなかった。これらの結果から、B.hinzii特異的なPCRプライマーセットの特異性が確認され、本菌の迅速な同定が可能なPCR同定法を確立できた。「総括」 本研究により、B.hinziiがマウスの呼吸器病原体であること、そして、わが国の実験動物施設に広く流布していることが明らかになった。また、本菌を迅速に同定することが可能な特異的プライマーセットを用いたPCR同定法を確立した。本研究はB.hinziiをマウスから分離し、病原体として証明した初めての報告である。今後、本菌は実験動物のマウスの微生物学的統御の対象として、継続的に検査を実施する必要があると考えられる。本菌に関するこれらの研究結果は、今後の実験動物の微生物学的コントロールに有用な多くの資料と示唆を提示できたと考える。

Bordetella hinzii… (more)

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林元, . (2013). 実験動物のマウスから分離されたBordetella hinziiの生物学的性状と病原性に関する研究 : Studies on the biological features and pathogenicity of bordetella hinzii derived from laboratory mice. (Thesis). Azabu University / 麻布大学. Retrieved from http://id.nii.ac.jp/1112/00003234/

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林元, 展人. “実験動物のマウスから分離されたBordetella hinziiの生物学的性状と病原性に関する研究 : Studies on the biological features and pathogenicity of bordetella hinzii derived from laboratory mice.” 2013. Thesis, Azabu University / 麻布大学. Accessed July 17, 2018. http://id.nii.ac.jp/1112/00003234/.

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林元, 展人. “実験動物のマウスから分離されたBordetella hinziiの生物学的性状と病原性に関する研究 : Studies on the biological features and pathogenicity of bordetella hinzii derived from laboratory mice.” 2013. Web. 17 Jul 2018.

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林元 . 実験動物のマウスから分離されたBordetella hinziiの生物学的性状と病原性に関する研究 : Studies on the biological features and pathogenicity of bordetella hinzii derived from laboratory mice. [Internet] [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. [cited 2018 Jul 17]. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003234/.

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林元 . 実験動物のマウスから分離されたBordetella hinziiの生物学的性状と病原性に関する研究 : Studies on the biological features and pathogenicity of bordetella hinzii derived from laboratory mice. [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003234/

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12. 田中, 豊人. マウスを用いたピペロニルブトキシドの後世代に及ぼす影響に関する研究 : Study of influences of piperonyl butoxide on the next generations in mice.

Degree: 博士(獣医学), 2013, Azabu University / 麻布大学

ピペロニルブトキシドはピレスリンなどの殺虫剤の効果を高めるために用いられる農薬の共力剤であり、日本では食品添加物の防虫剤として登録され、諸外国では、果実・野菜・穀類などの貯蔵や保存のためにポストハーベスト農薬として用いられている。日本ではピペロニルブトキシドは、食品添加物として穀類1kgに対して0.024g(24ppm)以下で使用が認められている。また、WHOが定める1日あたりの許容摂取量(ADI)は、体重1kg当たり0.20mgとなっている。 ピペロニルブトキシドの毒性についてはSarlesとVandegrift(1952)がラットを用いて第2世代及び第3世代に対して特に影響がなく、肝臓に対する発ガン性も認められないと報告している。生殖発生毒性についてはKennedyら(1977)がピペロニルブトキシドはラットに対して催奇形性を示さないと報告し、Kheraら(1979)も同様にラットに対して催奇形性及び母体毒性を示さないと報告している。 一方、ピペロニルブトキシドの神経行動毒性に関してAterら(1984)が雄マウスにおいて神経毒性と抗痙攣活性を示すことを見いだしている。ピペロニルブトキシドは主食である穀類を保存の目的で混入することが認められており、非意図的に食品から摂取される可能性が高いことから、潜在的な健康被害のリスクが高い化学物質と考えられる。また、東京都の輸入食品の残留農薬調査でベビーフードから少量ながらピペロニルブトキシドが検出されたこともあり、市販のピレスロイド系防虫シートに共力剤としてピペロニルブトキシドが添加されている製品も見つかっている。そこで、本研究ではマウスを用いて、ピペロニルブトキシドの潜在的なリスクがより大きいと考えられる母体内及び授乳期曝露による後世代に及ぼす影響を検討するため、以下に掲げる5つの実験研究を行ない、ピペロニルブトキシドがマウスの後世代に及ぼす影響について考察した。 第1章では、ピペロニルブトキシドが後世代に及ぼす影響について、まず2世代の行動発達毒性研究を行ない、生殖と行動発達に及ぼす影響について検討した。ピペロニルブトキシドを、0(対照群)、0.15、0.30、0.60%の濃度で、マウスF_0世代の5週齢からF_1世代の9週齢まで2世代にわたって投与した。その結果、オープンフィールド試験において親マウスの8週齢の移動量と立ち上がり回数、子マウスの3週齢の移動量が雄の投与群で用量依存的に抑制された。また、授乳期間中の子マウスの体重は投与群で有意に抑制された。子マウスの行動発達では7日齢の正向反射と4日齢の背地走性、及び14日齢の嗅覚性指向反応が投与群で用量依存的に抑制された。4日齢の遊泳試験では方向、頭角度、四肢の動きが投与群で用量依存的に抑制された。以上の結果から、本章で用いられた用量のピペロニルブトキシドは、親動物の一般状態にはあまり影響を及ぼさないが、生殖と行動発達に対しては抑制的に影響することが確認された。 第2章では、第1章で実施した2世代の行動発達毒性研究の結果を受けて、より低濃度のピペロニルブトキシドを含む投与量による3世代毒性研究を行ない、生殖と行動発達に及ぼす影響の再現性と複数世代を経た影響について検討した。ピペロニルブトキシドを、0(対照群)、0.1、0.2、0.4、0.8%の濃度で、マウスF_0世代の5週齢からF_2世代の離乳時まで3世代にわたって投与した。その結果、産子数と一腹子の重さが各世代とも0.8%投与群で減少した。授乳期間中の子マウスの体重は各世代とも投与群で有意に抑制され、3週齢の生存率は0.8%投与群で減少した。0.4%投与群の93匹の子マウスの中で、四肢全ての第5指が欠損している雌子マウスが1匹確認された。子マウスの行動発達ではF_1世代の7日齢の正向反射及び背地走性、14日齢の嗅覚性指向反応が投与群で用量依存的に抑制され、遊泳試験での14日齢の頭角度及び四肢の動きが0.8%投与群で抑制された。F_2世代では4日齢及び7日齢の正向反射、4日齢の背地走性、7日齢の断崖回避及び14日齢の嗅覚性指向反応が投与群で用量依存的に抑制された。以上の結果から、本章で用いられた用量のピペロニルブトキシドは、生殖と行動発達に対しては複数世代にわたって抑制的に影響することと、その影響の再現性が確認された。 第3章では、第2章で実施した3世代の行動発達毒性研究において、ピペロニルブトキシド0.4%投与群において四肢の奇形を有する雌子マウスが確認されたことから、マウスの発生に対する影響について、特に四肢の奇形に重点を置いて検討した。ピペロニルブトキシドを、0(対照群)、1065、1385、1800mg/kg bwの濃度で、マウスに妊娠9日目に単回投与し、胎子の発生に及ぼす影響について観察した。その結果、早期死胚数及び後期死胚数が用量依存的に増加し、胎子体重増加は雌雄ともに用量依存的に抑制された。また、外表奇形では前肢の欠指症が投与群で用量依存的に増加した。以上の結果から、本章で用いた高い用量のピペロニルブトキシドは、マウス胎子の成長を抑制し、四肢に対する催奇形性を有することが確認された。 第4章では、第1章及び第2章で実施した2世代及び3世代毒性研究の結果を受けて、これまで用いた投与量より低濃度のピペロニルブトキシドによる行動発達毒性研究を行ない、ピペロニルブトキシドの生殖と行動発達に及ぼす影響が、より低濃度においても再現されるかについて検討した。ピペロニルブトキシドを、0(対照群)、0.01、0.03、0.09%の濃度で、マウスF_0世代の5週齢からF_1世代の9週齢まで2世代にわたって投与した。その結果、ピペロニルブトキシドは出生時における産子数、一腹子の重さ及び性比に影響を及ぼさず、行動発達では雄子マウスの7日齢の正向反射と14日齢の嗅覚性指向反応が投与群で用量依存的に抑制された。また、小動物運動解析装置ANIMATE AT-420による探査行動の測定では、F_1世代の雄成体マウスで総移動距離・平均移動距離及び平均移動速度が用量依存的に増加した。以上の結果から、本章で用いられた用量のピペロニルブトキシドは、雄子マウスの正向反射と嗅覚性指向反応を用量依存的に抑制し、さらに0.03%という低い濃度のピペロニルブトキシドは行動発達に影響することが確認された。また、ピペロニルブトキシドはF_1世代の成体雄マウスの探査行動の活動性を高める作用を示した。 第5章では、第4章において行動発達毒性研究を実施し、低濃度のピペロニルブトキシドの投与が行動発達と探査行動に対して影響を及ぼしたことから、自発行動の測定を含む行動発達毒性研究を行ない、ピペロニルブトキシドの行動発達と探査行動に及ぼす影響の再現性と自発行動に及ぼす影響について検討した。ピペロニルブトキシドを、0(対照群)、0.02、0.06、0.18%の濃度で、マウスにF_0世代の5週齢からF_1世代の12週齢まで2世代にわたって投与した。その結果、小動物運動解析装置による探査行動ではF_0世代の雌成体マウスの立ち上がり時間が用量依存的に増加した。また、子マウスの行動発達では雄子マウスの断崖回避と雌子マウスの正向反射が投与群で用量依存的に抑制された。また、ANIMATE…

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田中, . (2013). マウスを用いたピペロニルブトキシドの後世代に及ぼす影響に関する研究 : Study of influences of piperonyl butoxide on the next generations in mice. (Thesis). Azabu University / 麻布大学. Retrieved from http://id.nii.ac.jp/1112/00003319/

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田中, 豊人. “マウスを用いたピペロニルブトキシドの後世代に及ぼす影響に関する研究 : Study of influences of piperonyl butoxide on the next generations in mice.” 2013. Thesis, Azabu University / 麻布大学. Accessed July 17, 2018. http://id.nii.ac.jp/1112/00003319/.

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田中, 豊人. “マウスを用いたピペロニルブトキシドの後世代に及ぼす影響に関する研究 : Study of influences of piperonyl butoxide on the next generations in mice.” 2013. Web. 17 Jul 2018.

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田中 . マウスを用いたピペロニルブトキシドの後世代に及ぼす影響に関する研究 : Study of influences of piperonyl butoxide on the next generations in mice. [Internet] [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. [cited 2018 Jul 17]. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003319/.

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田中 . マウスを用いたピペロニルブトキシドの後世代に及ぼす影響に関する研究 : Study of influences of piperonyl butoxide on the next generations in mice. [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003319/

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13. 豊田, 英人. ハクビシンの繁殖特性に関する行動学的・生理学的研究.

Degree: 博士(学術), 2013, Azabu University / 麻布大学

ハクビシン(Paguma larvata)は食肉目(ネコ目)ジャコウネコ科に属し、東南アジアや中国南東部、台湾などに生息している。我が国に生息するハクビシンは、海外から持ち込まれた外来種であるという説が有力であるが、2004年に環境省から公布された「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」(外来生物法)では、生態系や人の生活に影響を及ぼす可能性のある特定外来生物には指定されていない。日本における本種の生息域は、1940年代には局地的であったが、現在では全国に広がりをみせており、今なお拡大し続けている。生息域の拡大に伴い、近年では、ハクビシンによって引き起こされる農作物被害や生活環境被害が日本各地で問題視されている。ハクビシン被害への対策として、被害地域では比較的捕獲が容易などの理由から、捕獲による個体数管理が第一手段として実施されており、2009年には全国で6,835頭が有害鳥獣として捕獲されている。捕獲による個体数管理は、対象動物の繁殖特性に応じて実施することが推奨されており、繁殖能力の高い動物種では、実施が困難とみなされる場合もある。しかしながら、我が国におけるハクビシンの繁殖特性に関する知見は、これまでにほとんど報告がなく、捕獲による個体数管理の効果が不明なまま実施されている現状がある。そこで本研究では、ハクビシン被害に対しての適切な管理を検討するための基礎知見を得るため、雌ハクビシンを対象に繁殖特性に関する調査を実施した。 第1章では、埼玉県と神奈川県で有害鳥獣として捕獲された成獣雌ハクビシン150頭を対象に、繁殖季節と受胎数について調査を行った。繁殖季節は、妊娠個体から得られた胎子の胎齢から推定した。その結果、ハクビシンは1月~9月にかけて繁殖可能であり、10月~12月にかけては繁殖を休止していることが示唆された。また、胎子数と胎盤痕数から求めた受胎数は1頭~4頭で、平均して2.8±0.9頭であり、過去に報告された産子数と同様の結果が得られた。さらに、本調査から、ハクビシンの受胎数を求める指標として胎盤痕の評価が有用であることが示された。 第2章では、捕獲された成獣雌ハクビシン6頭を飼育下におき、個体レベルでの発情周期と発情持続期間を調査した。実験は2009年7月から2011年5月の約2年間継続して実施した。発情周期は糞中の性ステロイドホルモン含量の動態により判定した。糞は、隔日採取し、-20℃で凍結保存した。その後、熱乾燥した糞からメタノール抽出法によりステロイドホルモンを抽出し、酵素免疫測定法により乾燥糞1g当たりのエストラジオール17β(E_2)含量を測定した。また、発情評価の補足手段として、外陰部の観察と膣垢検査も並行して隔日実施した。さらに、行動観察についても、上記期間中、隔日実施し、1日の活動割合と糞採取前夜の21:00~3:00における各行動(身繕い、陰部舐め、マーキング、排尿)の頻度(/h)を記録した。実験の結果、6頭中5頭において糞中エストラジオール17β含量に周期的変動が認められ、発情周期は18.9±1.5(n=5)日間隔で推移することが示された。発情周期を示した期間は個体により様々であったが、全体として、10月~1月には発情を停止している傾向が認められた。この発情停止期間は、第1章でハクビシンが繁殖を休止していると推定した期間とほぼ一致しており、第1章で得られたハクビシンの繁殖可能期間の妥当性を示すとともに、この繁殖可能期間中に周期的な発情を持続することが明らかとなった。 台湾では、ハクビシンは周年繁殖動物とされている。日本に生息するハクビシンは台湾由来とされているが、本研究の結果から、日本の気候に順応し、環境の厳しい冬期には繁殖を停止しているものと考えられた。しかしながら、1個体で周年発情が認められたことから、潜在的には周年繁殖が可能な能力を有していることが示唆された。糞中エストラジオール17β含量の周期的変動を認めた期間において、外陰部の持続的な腫脹と膣垢検査での角化上皮細胞の増加が認められた。これらは、いずれもエストラジオール17βに依存した変化であるため、外陰部観察と膣垢検査がハクビシンの発情状況を調査する際に、簡易で有効な方法として利用可能なことが示された。また、発情周期を認めた期間において、糞中エストラジオール17β含量が最高値を示した日(高値日)とその後最低値を示した日(低値日)の各行動を比較すると、活動割合が高値日に増加し(P<0.05)、マーキングは低値日に増加した(P<0.05)。このことから、ハクビシンは雄を誘引する手段としてマーキングを行い、排卵間近に活動を活発にすることで交尾成功に導くという繁殖戦略を有している可能性が示唆された。 本研究の結果により、これまで不明確であった我が国におけるハクビシンの繁殖季節、受胎数、発情周期などの繁殖特性に関する多くの新たな知見が得られた。これらの結果をふまえると、日本に生息するハクビシンの繁殖能力は、日本の気候に順応しつつも、多くの繁殖機会に恵まれている南方系動物としての名残を留めていることが示唆された。この繁殖特性が、日本におけるハクビシンの急激な生息域拡大の一因となり、それに伴う様々な問題を助長していると考えられた。 このような繁殖能力を有するハクビシンの被害管理を考えた場合、個体数管理のみによる被害防除の効果を期待することは、困難であると考えられる。よって、今後のハクビシン被害管理の方策には、繁殖能力の高い動物種に推奨されている、被害地周辺の環境整備や柵の設置など物理的防除を取り入れた総合的被害対策が必要であると考えられる。 以上、本研究の結果は、ハクビシンの繁殖学的基礎知見に留まらず、我が国におけるハクビシンの被害管理を計画する際の実用的な情報を提供するものとして貢献することが期待される。

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豊田, . (2013). ハクビシンの繁殖特性に関する行動学的・生理学的研究. (Thesis). Azabu University / 麻布大学. Retrieved from http://id.nii.ac.jp/1112/00003320/

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Chicago Manual of Style (16th Edition):

豊田, 英人. “ハクビシンの繁殖特性に関する行動学的・生理学的研究.” 2013. Thesis, Azabu University / 麻布大学. Accessed July 17, 2018. http://id.nii.ac.jp/1112/00003320/.

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豊田, 英人. “ハクビシンの繁殖特性に関する行動学的・生理学的研究.” 2013. Web. 17 Jul 2018.

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豊田 . ハクビシンの繁殖特性に関する行動学的・生理学的研究. [Internet] [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. [cited 2018 Jul 17]. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003320/.

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豊田 . ハクビシンの繁殖特性に関する行動学的・生理学的研究. [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003320/

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14. 荒井, さと. 子どもたちの発達と学習環境に求められる介在犬の適性に関する研究.

Degree: 博士(学術), 2013, Azabu University / 麻布大学

1980年代以降、動物がもたらす子どもの社会的、情緒的発達や、より良い学習環境への効果が多く報告されている。動物の中でも、身近な存在である犬を子どもの情操教育のために飼育する家庭も少なくない。さらに、犬の新たな役割として、動物介在療法や動物介在活動とともに、動物介在教育(animal-assisted education: AAE)への介入も注目されはじめ、犬が小学校などを訪問する機会も増えている。AAEとは、学習環境に動物を導入し、子どもが動物との関わりの中で動物愛護や動物福祉の精神を学ぶと同時に、動物を動機付けとした非言語コミュニケーションの発達や学習意欲の向上などを目的とした教育である。IAHAIO(International Association of Human-Animal Interaction Organizations)のリオ宣言(2001年)でも掲げられているように、子どもと犬との関係構築には、相互の安全や健康が保障されるべきである。しかし、AAEに介入する動物の明確な基準や具体的な提言がないのが現状であり、適性のある介在犬を事前にスクリーニングする必要がある。そこで、本研究では早い段階でのAAEの介在犬のスクリーニング法や、適性が認められない犬の簡易的なスクリーニング法を、犬の行動学的および生理学的評価によって検討した。同時に、犬が子どもと接するトレーニングをすることの有用性も評価し、これらによってより多くの介在犬を見出すことを目的とした。そして、犬による子どもたちの発達や学習環境への支援を広め、犬と子どものより良い関係を構築することを最終目標とする。第1章:犬の社会化期における、人、特に子どもとの関わりの重要性の検証 社会化期(生後3~12週齢)に犬が他の動物や人との接触をすることの重要性に関する研究は過去にいくつか行われているが、犬と子どもとの関わりに焦点をしぼった研究は行われていない。そこで第1章では、犬が子どもと接した経験が、成犬になった時の子どもに対する反応にどのような影響を与えるかを明らかにすることを第一の目的とした。また、AAEのより良い効果を得るために、本研究で得られた結果を適性ある介在犬のスクリーニングの一助とすることを第二の目的とした。 子どもに対する犬の反応の評価は、行動評価と同時に、心拍数の測定をおこなった。結果として、犬が社会化期から子どもと接する経験をすることで、子どもに対してより親和性の高い行動を示し(p<0.05)、攻撃性や興奮性行動などの不適切な行動を示さなかった。さらに、最も強い刺激と考えられる、犬の周りを子どもが走る状況においても心拍数が有意に減少していた(p<0.05)。一方、社会化期に子どもと接する経験をしていない犬は子どもに対して攻撃性や興奮性の行動を示すことがあり、実験中の心拍数は安静時よりも高いまま、ほぼ一定であった。これらの結果から、社会化期に子どもと接する経験をしていた犬は、AAEの介在犬の必要条件を満たしていることが示唆された。第2章:介在犬の適性評価に関する研究 100名の一般の飼い主にアンケート調査を実施したところ、社会化期から子どもと接する経験をしている犬は37%であり、そのうち子どもがいない家庭の犬(n=69)で社会化期から子どもと接する経験をしているのはわずか10%であった。そこで、今後より多くの介在犬を効率よく見出すために、社会化期に子どもと接する経験をしていない犬や、特定の子どもとの関わりしか持たない犬を対象として、介在犬として適性がない犬の簡易的なスクリーニング法を検討した。子どもに対する犬の反応を、行動、心拍変動、尿中カテコールアミン濃度によって評価し、クラスター解析を行った結果、2つのグループ(グループ1およびグループ2)が抽出された。グループ1と比較してグループ2の犬は、子どもに対して有意に高い攻撃性/興奮性行動を示し(p<0.05)、逃避性行動も高い割合で示す傾向があった(p=0.05)。また、実験前から尿中カテコールアミン濃度が有意に高く(p<0.05)、日常的に交感神経活性が高いことが示唆された。これらの結果から、グループ2の犬を介在犬として適性がない犬とし、これらの犬の簡易的なスクリーニング法としてC-BARQと心拍数による評価を検討した。その結果、C-BARQでは「見知らぬ人に対する攻撃性」と「興奮性」について、グループ1に比べてグループ2が有意に高いスコアを示した(p<0.05)。さらに、グループ1の心拍数は、子どもの存在下でも心拍数がほぼ一定だったのに対して、グループ2は子どもの存在下で有意に心拍数の上昇がみられた(p<0.05)。これらのことから、C-BARQの「見知らぬ人に対する攻撃性」と「興奮性」のスコアに注目した行動の評価だけでなく、子どもの存在下での心拍数にも注目することで、介在犬として適性がない犬のより正確で簡易的なスクリーニング方法となることが示唆された。第3章:介在犬のトレーニングの効果に関する研究 第二章で適性がないと評価された犬を除き、社会化期に子どもと接していない、もしくは限られた子どもとの接触しかなかった犬も、子どもと接する機会を持ち、トレーニングを重ねることで介在犬となり得るかを検証した。週に1回、全4回のプログラムで、陽性強化法を用いた子どもによる基本トレーニングなどを実施すると同時に、AAEを実施する際に予想されるフラフープや長い棒といった視覚刺激や、厚い本を落とした音といった聴覚刺激に対する反応、手や器からフードを与えた時の食べ方を評価した。対象犬が逃避性行動や興奮性行動を示した刺激に対する馴致やトレーニングを行った。そして、トレーニング中やトレーニング前後での犬の行動学的および生理学的評価をした。結果として子どもからのコマンドに従う割合は有意ではないが、わずかに増えると同時に、犬が子どもに対して注目する割合も、やや増加することが示された。さらに、逃避性行動や興奮性行動を示した刺激に対して反応する頻度も減少した。トレーニング前後の行動を比較すると、9頭中7頭が子どもに対して攻撃性/興奮性行動や逃避性行動を全く示さなかった。心拍変動解析の結果、統計的に有意ではないが、トレーニング前には子どもの存在で交感神経活性が安静時よりやや上昇していた。しかし、トレーニング後は子どもの存在下でも安静時より低い交感神経活性を示した。これらの結果から、社会化期以降であっても子どもと接する機会を与え、トレーニングを積むことは、有用であることが示唆された。…

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荒井, . (2013). 子どもたちの発達と学習環境に求められる介在犬の適性に関する研究. (Thesis). Azabu University / 麻布大学. Retrieved from http://id.nii.ac.jp/1112/00003325/

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荒井, さと. “子どもたちの発達と学習環境に求められる介在犬の適性に関する研究.” 2013. Thesis, Azabu University / 麻布大学. Accessed July 17, 2018. http://id.nii.ac.jp/1112/00003325/.

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荒井, さと. “子どもたちの発達と学習環境に求められる介在犬の適性に関する研究.” 2013. Web. 17 Jul 2018.

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荒井 . 子どもたちの発達と学習環境に求められる介在犬の適性に関する研究. [Internet] [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. [cited 2018 Jul 17]. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003325/.

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荒井 . 子どもたちの発達と学習環境に求められる介在犬の適性に関する研究. [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003325/

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15. 堂山, 宗一郎. 迷路実験におけるイノシシの学習および空間認知能力に関する行動学的研究.

Degree: 博士(学術), 2013, Azabu University / 麻布大学

動物の学習能力を、その行動から評価する方法の1つとして、迷路を用いた実験が多く行なわれている。供試動物は、現在までそのほとんどが、実験動物として確立されたラットとマウスであり、それ以外では、中・大型の家畜を中心にいくつかの研究が報告されているに過ぎない。さらに、中・大型の野生哺乳類では、迷路を用いた研究は世界的にほとんど行なわれていない。野生哺乳類において迷路実験を行なうことは、学習能力に関する新たな知見を得られる可能性がある。また、家畜における学習能力に関する知見が、飼育管理等に関する問題の解決に貢献しており、野生哺乳類における知見も、彼らが関わる問題の解決に繋がる糸口になることも考えられる。 そこで本研究では、イノシシにおける迷路実験の手法を検討することおよび学習能力に関する基礎的知見を得るために、様々な迷路により学習実験を行なった。 第1章では、イノシシを迷路実験に供試するための馴致、訓練方法の確立および実験を行なうための適切な実験施設の設計、構築を行なった。野生哺乳類における迷路学習実験が、これまでにほとんど行われていないため、家畜における研究を参考に迷路実験場を設計した。実験場は、屋外に構築し、面積は121m2(11m×11m)であり、周囲を高さ2mの障壁で囲った。警戒心が強く、扱いにくいイノシシを供試動物とするため、人および実験施設に対する馴致を長期間行なった。供試イノシシは生後約1ヵ月の野生個体を捕獲し迷路実験場に近接する飼育施設に導入した。導入後、実験者が毎日接することによって人に対しての警戒心が低くなるまでに7~10ヵ月を要した。次いで、実験施設までの移動に使用する檻への導入訓練を供試個体が自発的に檻に入るようになるまで行なった。この訓練には2~6週間を要した。移動檻への導入訓練終了後、迷路実験場への移動訓練および実験場に対する馴致を行なった。移動中および実験場において、移動檻内で供試個体が警戒行動や驚愕反応を示さなくなるまで馴致を続けた。この馴致には4~6週間の期間を要した。イノシシは、実験施設に導入するまでに家畜や実験動物よりも長期間の馴致や訓練を必要とするものの、これらの期間を十分に設けることにより、イノシシを実験に供試できる状態にすることが可能であった。以上の結果、実験施設と訓練および馴致法が確立でき、第2章以降の実験を実施した。 第2章では、迷路実験を開始する前に、新奇環境や迷路のような障壁で囲まれた実験装置にイノシシを導入した場合の行動変化をオープンフィールド(OF)実験により調査した。3m×3mのOFを作成し、その中に供試個体を導入した。OFの中央には飼料を置き、1日5分間、3日連続で観察を行なった。実験1日目にはOF内を歩き回る移動が多くみられたが、2日目には減少した(P<0.01)。それとは逆に、摂食は、実験2日目以降に1日目と比較して増加した(P<0.01)。家畜における実験では、OF内での移動の減少が新奇環境に対する慣れの指標とされているが、イノシシも同様に実験装置に対して慣れたため移動が減少し、それと対応して摂食が増加したと考えられた。警戒行動の発現回数には個体差が見られ(P<0.01)、多く発現した個体は、実験装置から脱出を試みる行動も発現した。新奇環境に対する警戒や実験装置へ閉じ込められることに対する恐怖には個体により違いがあり、OFでの警戒行動が、迷路実験における訓練期間や供試個体としての適正を判断する指標になる可能性が示唆された。 第3章では、T字迷路を2つ組み合わせた複合迷路により、イノシシの学習能力を調査した。迷路内の一部を利用した馴致および訓練の後、本試験を行なった。本試験はゴール地点に報酬を置き、6試行/セッション、1セッション/日とし、連続4日間行なった。ゴールに到達するまでの時間は、セッション1と比較してセッション3、4において短縮した(P<0.05)。エラー回数もセッション1と比較してセッション2、3において減少し(P<0.01)、セッション4ではエラーが無くなった。これらの結果を家畜における迷路実験と比較すると、イノシシが家畜と同等もしくはそれ以上の学習能力を持つことが示された。そして、イノシシにおいても到達時間とエラー回数が、警歯類の迷路実験と同様に学習能力を評価する指標として有用であることも示唆された。スタート方向への逆走回数は、セッション1と比較してセッション2、3、4において減少した(P<0.01)。供試個体の2頭が、迷路の壁を飛び越えようとする等、迷路装置に慣れなかったため、実験から除外した。この2頭はOF実験において警戒行動を多く発現した個体であり、このような警戒心が特別強い個体は、実験装置に対して慣れづらく、迷路実験の供試個体として適切でないことが示唆されたことから、前章のOF実験の有用性が示された。 第4章では、実験動物やウシ等の大型家畜において学習能力評価に用いられているT字迷路より複雑なHebb-Williams迷路によりイノシシの迷路学習能力を調査した。6m四方のHebb-Williams迷路を作成し、そこに対する10日間の馴致終了後に訓練課題(6課題)を行なった。訓練課題の学習基準に達した4頭の供試個体で、引き続き12課題ある試験課題を行なった。試験課題は1日1課題、8試行/課題を行なった。供試個体の移動経路から、超過侵入スコア(TEES)、学習速度スコア(%R)、視覚能力スコア(%P)を算出し解析した。課題12のTEESが他の課題よりも有意に高かった(P<0.05)。TEESが高いほど難易度が高いため、課題12が最も難しく、続いて課題8が難しいという結果となった。課題8および12の難易度が高いことは、ウシとウマにおける実験でも同様の結果が示されており両課題が中・大型の哺乳類に共通して難しい課題であることが考えられた。%Rは78.7となり、イノシシが各課題の試行の早い段階でゴールまでの経路を学習したことが示された。また、この結果は他の動物種と比較しても最も高い値となり、イノシシの学習速度が非常に速いことも明らかとなった。%Pは24.2となり、イノシシが迷路の形状を認識するために視覚的情報を重要としていることが示唆された。 第5章では、迷路内の手掛かりによりゴール位置が変化する条件に対するイノシシの学習能力をT字迷路により調査した。迷路のアーム始点には、迷路内刺激として白および黒のパネルをランダムな位置に配置した。4頭の供試個体の内、2頭は正刺激を白、もう2頭は正刺激を黒と設定し、正刺激を選択した場合は報酬を得ることができた。実験は、16試行/セッション、1セッション/日として12セッション行なった。16試行中14試行以上の正選択が連続3セッション確認できた場合を学習基準とした。その結果、2個体が9セッションおよび12セッションで学習基準に達した。これにより、イノシシが迷路内刺激を手掛かりとして報酬と刺激の関連を学習できることが明らかとなった。本結果を家畜における研究と比較すると、イノシシが同程度の迷路内手掛かり学習能力を有していることが示唆された。…

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堂山, . (2013). 迷路実験におけるイノシシの学習および空間認知能力に関する行動学的研究. (Thesis). Azabu University / 麻布大学. Retrieved from http://id.nii.ac.jp/1112/00003326/

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堂山, 宗一郎. “迷路実験におけるイノシシの学習および空間認知能力に関する行動学的研究.” 2013. Thesis, Azabu University / 麻布大学. Accessed July 17, 2018. http://id.nii.ac.jp/1112/00003326/.

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堂山, 宗一郎. “迷路実験におけるイノシシの学習および空間認知能力に関する行動学的研究.” 2013. Web. 17 Jul 2018.

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堂山 . 迷路実験におけるイノシシの学習および空間認知能力に関する行動学的研究. [Internet] [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. [cited 2018 Jul 17]. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003326/.

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堂山 . 迷路実験におけるイノシシの学習および空間認知能力に関する行動学的研究. [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003326/

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16. 山本, 真理子. 人と犬のより良い関係構築に基づく補助犬の新たな普及に関する研究.

Degree: 博士(学術), 2013, Azabu University / 麻布大学

身体障害者補助犬(以下、補助犬)は、障がい者の自立や社会参加を促進するために、特別な訓練を受けた犬である。2002年の身体障害者補助犬法の施行以降、補助犬は社会に広く認識されるようになった。しかし、その実働数は、盲導犬1,070頭(平成22年3月31日現在)、介助犬53頭、聴導犬27頭(23年2月1日現在)であり、普及しているとは言い難い。これまで、補助犬の普及には、補助犬の育成頭数の増加や社会の受け入れ体制の改善に力が注がれてきた。しかし、障がい者が補助犬に対してどのような意識を持っているかは十分に把握されておらず、補助犬の希望者が抱える不安や補助犬と生活する障がい者が現実に抱えている問題に対する対策も講じられていない。つまり、補助犬の普及が進まないのは、障がい者主体の体制になっていないためである可能性が考えられる。 本研究では、障がい者の補助犬に対する意識を調べ、補助犬と生活する障がい者が抱える問題を把握し、わが国の現状に即した補助犬の普及体制を考えることを目的とした。第1章では、補助犬に対するニーズや意識から補助犬の普及に向けた課題を見出すために、新たに聴覚障がい者の意識を調査し、先行研究で行った肢体不自由者対象の調査結果と合わせて考察した。第2章では、障がい者が補助犬との生活で抱える問題に着目し、障がい者との生活に向けて育成された補助犬でも障がい者がスムーズに扱えない要因を、人の注目の度合によって行動を変化させるという犬の特性から検証した。第3章では、補助犬ユーザーの補助犬の扱いに関する困難を最小限にするために、犬が人の指示に良く従い、人も犬も負担がない状態を「良い関係」としたときに、両者のより良い関係構築に影響する要因について検証した。第4章では、第3章までの結果を受けて実施した、犬との触れ合いを通して、犬及び補助犬を知ることのできる場の有用性を検証し、新しい補助犬の普及に向けた方策について考察した。第1章 聴覚障がい者の補助犬に対する意識調査 第1章では、障がい者の意識から補助犬の普及に向けた課題を見出すために、これまでに調査の行われていない聴覚障がい者の補助犬に対する意識調査を行った。また、過去に行った肢体不自由者対象の調査と合わせ、補助犬の普及に向けた課題を考察した。回答者(n=548)のうち、聴導犬との生活を希望すると答えた者は158人(28.8%)であり、多くの希望者の存在が示された。また、補助犬の希望には、「犬の飼育経験」、「犬に対するイメージ」、「補助犬の理解度」、そして、「犬からもたらされる精神的な恩恵」などの項目に強く関係していた。また、聴導犬の所有を希望している回答者は、「育成の遅れ」、「情報不足」、犬の世話など補助犬との生活に向けて「障がい者自身が抱える問題」などから所有に踏み切れない現状が示された。第2章 人の注目を読み取る犬の能力:注目に頼らない盲導犬の訓練の影響 第1章では、希望者が補助犬の所有に至らないいくつかの理由が示され、その中には犬の世話など補助犬との生活への不安があった。補助犬を自分で世話して扱うことは希望者の不安にとどまらず、現実にユーザーが抱えている問題でもある。しかし、このような問題を改善するための対策は講じられていない。第2章では、障がい者との生活に向けて訓練を受けた補助犬でも、その扱いにユーザーが問題を抱える要因について、人の注目の度合により行動を変化させるという犬の特性から検証した。家庭犬を用いた先行研究では、人の注目の度合が犬のコマンドに対する反応に影響を与えることが示されている。本実験では、視線や顔の向きが犬に向いていない状態でもコマンドに従うように訓練された盲導犬候補犬と盲導犬(盲導犬群15頭)と、それ以外の犬(非盲導犬群14頭)を用いて、人の視線、顔、体の向きをそれぞれ変化させた状態で犬にコマンドを呈示し、その時のコマンドに対する反応を記録した。その結果、人の顔が犬に向いていない状態で犬のコマンドに対する反応は有意に低下し、これは盲導犬群も同様の結果であった。以上のことから、1)コマンドに従う際に人の顔の向きが重要であること、また、2)人の注目の度合によりコマンドに対する反応を変えるという犬の特性は、人の視線や顔の向きに関係なくコマンドに従うように訓練された犬にも同様に見られることが示された。第3章 人と犬の関係構築に影響する要因について 第2章では、人の接し方は犬の行動に影響し、それは訓練だけでは十分に補うことはできないことが示された。そこで、第3章では、訓練士のようには犬を扱えないユーザーでも犬の扱いに問題を抱えないように、犬が人の指示に良く従い、人も犬も負担がない状態を「良い関係」としたときに、両者のより良い関係構築に影響する要因を検証した。人と犬が関係を構築する上で重要な要因として、(1)世話をしていること、(2)顔見知りであること、(3)犬の扱いを身につけていることの3つを調べた。実験には、家庭犬20頭を用いて、前述の3要因がそれぞれ異なる実験者(n=41, 1頭につき5人ずつ)が犬を扱い(交流プログラム)、その時の犬のコマンドに対する反応と尿中カテコールアミン、実験者の心理・気分の状態、犬に対する愛着、唾液中コルチゾール、両者の尿中オキシトシンを測定した。その結果、生理学的な指標にはいずれも実験者の違いによる差は見られなかった。また、人は犬がコマンドにより良く従うほど強く愛着を感じることが示された。一方、犬は犬の扱いを身に付けた実験者との交流プログラムで、犬の扱いを身につけてない実験者のときよりも有意にコマンドに対する反応が高かった。両者の結果から、人が将来のパートナーになる犬との生活を始める前に、一般的な犬について知り犬の扱いを身につけていることが、両者のより良い関係構築に重要であると示唆された。第4章 日本に合った新しい補助犬の普及に向けて 第3章までの結果より、障がい者が補助犬との生活に踏み切るまでの疑問や不安を解消し、実際に補助犬との生活を開始してからの問題点を最小限にするためには、補助犬についての情報を正しく得ること、一般的な犬について知り犬の扱いを身につけることが重要であると示された。これらの結果を受けて第4章では、犬との触れ合いを通して犬や補助犬について知ることができる場(『イヌと触れ合う五つの輪』:以下、五輪)を実施し、その有用性について肢体不自由児・者3名のケーススタディ、ならびに対象者の評価から検証した。対象者3名は障がいの度合、自身のニーズから介助犬をスムーズに所有できない状態であったが、五輪への参加を通して犬と触れ合い、犬や補助犬に対する情報を得たことで、3名のうち2名が介助犬、もしくはそれに近い存在の犬との生活を決意し、現在育成を待っているところである。3名の対象者は、いずれも補助犬と生活する(しない)という決定に五輪が役立った述べ、補助犬との生活に興味を持つ人にとって五輪が有用であると評価した。しかし、補助犬との生活に関する不安や疑問については、必ずしも五輪だけで解消されるものではなく、補助犬を希望する初期の段階から希望者が育成団体とより密な関係を持てることが必要であると示唆された。…

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山本, . (2013). 人と犬のより良い関係構築に基づく補助犬の新たな普及に関する研究. (Thesis). Azabu University / 麻布大学. Retrieved from http://id.nii.ac.jp/1112/00003327/

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山本, 真理子. “人と犬のより良い関係構築に基づく補助犬の新たな普及に関する研究.” 2013. Thesis, Azabu University / 麻布大学. Accessed July 17, 2018. http://id.nii.ac.jp/1112/00003327/.

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山本, 真理子. “人と犬のより良い関係構築に基づく補助犬の新たな普及に関する研究.” 2013. Web. 17 Jul 2018.

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山本 . 人と犬のより良い関係構築に基づく補助犬の新たな普及に関する研究. [Internet] [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. [cited 2018 Jul 17]. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003327/.

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山本 . 人と犬のより良い関係構築に基づく補助犬の新たな普及に関する研究. [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003327/

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17. 加瀬, ちひろ. ハクビシンにおける侵入行動の解明および家屋侵入防止技術への応用に関する行動学的研究.

Degree: 博士(学術), 2013, Azabu University / 麻布大学

日本においてハクビシンは全国的に分布しており、里山や農地周辺だけでなく市街地にも生息している。人家周辺では、民家や神社仏閣などの天井裏を休息や出産、子育ての場として利用することがあり、家屋侵入被害として問題となっている。このようなハクビシンによる家屋の利用は、騒音や排泄物による悪臭などの直接的な被害だけでなく、休息や出産、子育ての場を提供することにより個体数増加を助長し、周辺地域での農作物被害を深刻化させるなどの間接的な被害要因ともなり得る。ハクビシンに関する研究は、野外における生態研究がほとんどであり、種特有の運動能力や行動特性を実験的に研究した例は極めて少ない。しかし近年、野生動物に係る問題を考える上で、行動学的手法により得られた知見は現場での汎用性が高く、具体的な解決方法の提案に役立つことから、生態学的研究だけでなく行動学的研究の重要性も認識されてきた。そこで本研究では、ハクビシンの侵入行動について、水平方向および垂直方向での移動能力をはじめとする行動特性を明らかにし、侵入防止技術への応用を検討した。 第1章では、ハクビシンが侵入可能な入口の大きさおよび形状を検討するため、著者による先行研究(修士論文)の追加実験として、侵入可能な最小の長方形入口の検討を行った。先行研究では、ハクビシンはH6×W20cmの横長の長方形、H20×W6cmの縦長の長方形、一辺8cmの正方形、直径9cmの円形入口から侵入することを明らかにした。長方形の入ロは長辺を20cmに固定して提示したため、さらに詳細な研究として、本実験では横長および縦長の長方形入口の短辺と長辺を1cm間隔で段階的に短くしていき、ハクビシンの侵入可能な最小の長方形入口を決定した。実験の結果、侵入した最小の長方形入口はH6×W12cmの横長の長方形、H11×W7cmの縦長の長方形であった。縦長の長方形入口では、横幅が顔幅よりも小さい入口に対して頭部を90度ひねり侵入を試みたことから、ハクビシンは入口の形状に合わせて体の向きを変え、侵入方法を変化させていることが示唆された。 先行研究においてハクビシンが入口に対して行った探査のうち、視覚的探査が占める割合が高く、視覚情報が侵入の可否を判断する一つの要因になっていることが示唆された。野生動物による被害対策の一つとして、視覚を利用して加害動物の行動を制御できる可能性があり、ハクビシンにおいても、視覚的要因により侵入行動に影響が現れる可能性がある。 そこで第2章では、ヒトにおける錯視効果を応用して、物理的には同じ大きさであるが大きさが異なって見える入口(デルブーフの大きさ錯視条件)や、侵入部の入口直径は同じであるが入口の形状が異なることで、実際よりも大きく見える入口(スパイクの本数・長さ変化条件)を提示し、視覚的要因が入口への訪問や侵入の可否に及ぼす影響について検討した。実験の結果、錯視条件では錯視の有無にかかわらず、侵入できる直径の入口では全て侵入し、スパイクの本数および長さ変化条件では、入口面積の広がったスパイクのある入口から侵入した。また、各入口に対する総探査持続時間は条件間で差は認められなかった。これらの結果から、視覚的要因がハクビシンの侵入行動に及ぼす影響はわずかであり、視覚的要因のみで侵入行動を制御できないことが示唆された。通常ハクビシンは巣作りを行わず、既存の空間を休息や繁殖の場として利用する。より小さな隙間から侵入することは、利用可能な空間を多様にし、捕食者や異種動物の侵入を制限することが可能である。また、ハクビシンは空間内に外部から巣材を持ち込まないため、視覚的要因のみで侵入の可否を判断するのではなく、隙間に接触し、体が入る大きさであれば侵入すると考えられる。 ハクビシンは移動経路や休息場所として樹上も頻繁に利用することが報告されており、空間を立体的に利用することが可能である。形態学的にも幅広い運動が可能な四肢や肩関節を有しており、さらに四肢はパッド状の滑り止め構造をしていることから、樹の幹を前肢で左右から抱え込んで登ることや、形状が多彩な樹上でも歩行ができる。これらのことから、ハクビシンは家屋侵入被害現場においても、様々な構造物を移動経路として利用し、家屋内では天井裏への移動経路として中空構造をした壁体内を利用している可能性がある。 そこで第3章では、二枚の板で形成した垂直な隙間をもつ実験装置を用い、地上から高さ170cmの位置に設置した報酬飼料をハクビシンに摂取させることで、侵入可能な垂直隙間幅を調査した。実験の結果、ハクビシンは背中と四肢で板を押しながら、幅6cmから25cmの垂直な隙間を登った。登るまでの潜時および報酬までの到達時間は、隙間幅の増減に伴い変動が一致し、ハクビシンは隙間幅9cmから17cmにおいて比較的容易に侵入できることが示唆された。隙間幅12cm以上では、隙間内で体重を支えることが困難になるため、跳躍するなど、各個体で登り始めの行動を様々に変化させた。家屋の壁は、同じ家屋内でも外壁や間仕切り壁などにより壁体内の厚みや幅が異なることが予想され、これらの特徴はハクビシンの侵入行動に影響を及ぼす可能性がある。しかし本実験の結果より、ハクビシンは家屋の壁体内の垂直な隙間を移動経路として利用できるだけの身体能力を有していることが明らかになった。また、幅6cmの隙間に侵入したことから、ハクビシンの垂直方向での移動能力は、水平方向での移動能力と同等であることが示唆された。 著者による先行研究および第1章より、ハクビシンが侵入可能な最小の入口はH6×W12cmの横長の長方形、H11×W7cmの縦長の長方形、一辺8cmの正方形、直径9cmの円形であることを明らかにし、これらよりも小さい目合の障害物であれば、隙間へのハクビシンの侵入を防ぐことが可能であると考えられる。しかし障害物の目合の大きさや形状、線径により、侵入への執着度や障害物に対する行動が異なることが予想される。…

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加瀬, . (2013). ハクビシンにおける侵入行動の解明および家屋侵入防止技術への応用に関する行動学的研究. (Thesis). Azabu University / 麻布大学. Retrieved from http://id.nii.ac.jp/1112/00003328/

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加瀬, ちひろ. “ハクビシンにおける侵入行動の解明および家屋侵入防止技術への応用に関する行動学的研究.” 2013. Thesis, Azabu University / 麻布大学. Accessed July 17, 2018. http://id.nii.ac.jp/1112/00003328/.

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加瀬, ちひろ. “ハクビシンにおける侵入行動の解明および家屋侵入防止技術への応用に関する行動学的研究.” 2013. Web. 17 Jul 2018.

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加瀬 . ハクビシンにおける侵入行動の解明および家屋侵入防止技術への応用に関する行動学的研究. [Internet] [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. [cited 2018 Jul 17]. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003328/.

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加瀬 . ハクビシンにおける侵入行動の解明および家屋侵入防止技術への応用に関する行動学的研究. [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003328/

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18. 加藤, 真紀. 攻撃行動などの問題行動を呈する犬の神経機構 : 食餌療法と新たな行動修正療法の有効性.

Degree: 博士(学術), 2013, Azabu University / 麻布大学

近年、犬は単なるペットから伴侶動物に変化し、家族の一員として室内で飼育されることが主流となった。その結果,人と動物は必然的により密度の濃い時間をともに過ごすことになり、無駄吠え、分離不安、攻撃行動、不安症などといった問題行動が飼い主にとって深刻な問題として表面化してきた。日本における犬の年間咬傷事故数は4000件以上にも上り、攻撃行動により放棄される犬の数は多く、安楽死に至る犬の数も少なくない。 行動は神経および液性調節機構の相互作用によって制御されており、問題行動の背景には神経伝達物質の変化が報告されている。末梢および中枢において、神経伝達物質の一つであるセロトニン(以下5-HT)濃度と攻撃性には相関があることが犬を含む多くの動物種において知られている。また、視床下部のセロトニン受容体が活性化することによってHPA軸が刺激されると報告されている。攻撃的な犬は、社会刺激に対して高いHPA軸活性を有することから、高い血漿中コルチゾール濃度を有することが報告されている。以上のように、攻撃行動とストレスとの密接な関係が報告されている。ゆえに、本研究では、末梢からのアプローチによって、ストレスがおよぼす犬の攻撃行動への影響を検証し、攻撃行動緩和の方法を構築することを目的とした。第1章 攻撃行動を呈する犬と問題行動を呈さない犬の血漿中セロトニン濃度の比較 5-HTには日内変動があることがラットやヒトなどで報告されているが、犬を用いた研究はない。夜間、5-HT濃度が低くなるため攻撃的になりやすい、とされるジキル&ハイド症候群が逸話的に語られているが、科学的検証はされていない。本章では、犬の5-HT濃度の日内変動について、攻撃行動を呈する犬と呈さない犬における血漿中の変動を比較した。投薬中ではない1歳以上の犬10頭(実験群:攻撃行動を呈する犬5頭、コントロール群:問題行動を呈さない犬5頭)を用い、午前8時から午後8時まで2時間おきに撓側皮静脈から1.5mlの採血を行った。食餌および運動刺激の影響を制御するため、食餌、運動時間を設定し、排泄以外の時間はケージ内にて安静を保たせた。血漿中5-HT濃度の測定は、高速液体クロマトグラフィーによって行った。また、行動指標としてC-BARQ(Hsu and Serpell, 2003)を用いた。両群において、犬の血漿中5-HT濃度には有意な日内変動があり、さらに、攻撃行動を呈する犬は血漿中5-HT濃度が有意に高いことが明らかとなった。鬱病患者、統合失調症患者、自閉症患者において、日内変動の異常があることが多くの研究で報告されているが、攻撃行動を呈する犬の血漿中5-HT濃度には日内変動の異常は見られなかった。不安関連の問題行動を呈する犬も血漿中5-HT濃度が高いことが知られている。さらに、ストレス負荷によって、セロトニン濃度が高くなることが知られていることから、攻撃行動を呈する犬はストレス状態にある可能性が示唆される結果となった。第2章 食餌療法による攻撃行動および不安関連問題行動への効果の検証 第1章の結果より、攻撃とストレスとの関連が示唆された。先行研究より、攻撃行動や不安関連の問題行動はストレスが持続することによっても生じることが知られている。そこで、第2章では、ストレスに対する耐性を強めるための療法食を用いて、攻撃行動緩和の効果を給与試験によって検証した。飼料栄養組成は犬の行動に影響を与えることが知られており、一定の栄養素の摂取によってストレスに対する脆弱性に影響を与えることが知られている。高トリプトファン/LNAA比とαカソゼピンを配合した療法食を実験食として用いた。トリプトファンは5-HTの前駆物質であり、αカソゼピンは不安症やストレス障害に阻害効果があるガンマアミノ酪酸と親和性を有することが知られている。不安レベルの高い犬28頭に実験食およびコントロール食を8週間づつ給与し、各フード給与7週後、飼い主によるC-BARQへの回答およびストレッサー負荷前後の採尿が行われた。動物病院での爪切りをストレッサーとして用い、ストレスに対する脆弱性への実験食の効果を尿中コルチゾール/クレアチニン比(UCCR)によって検証した。ストレス後UCCRは、基礎UCCRに比べて有意に高い値を示し、動物病院での爪切りがストレスをもたらすことが分かった。ストレスによるUCCRの増加は、コントロール食給与中に比べて、実験食給与中に有意に低い値を示したことから、実験食によるストレス緩和の効果が明らかとなった。また、C-BARQを行動学的指標として用いた結果、「見知らぬ人への攻撃」、「見知らぬ人への恐怖」、「非社会的恐怖」および「接触過敏性」には有意な改善を示したが、「飼い主への攻撃」は改善を示したが、有意差は見られなかった。実験食はストレス耐性を改善することが明らかになり、攻撃行動および不安関連問題行動の改善策となることが示唆された。第3章 ハンドリングとホールディングを用いた行動修正療法の有効性の検討 第2章の結果より、「飼い主への攻撃」に対して改善効果のある新たな行動修正療法の構築が必要であると考えられた。そこで第3章では、ハンドリングとホールディングからなる新たな行動修正療法による攻撃行動緩和の効果を検証した。近年、正の強化のみを用いるトレーニングが主流となり、嫌悪刺激の使用は適切ではないとされる傾向が強くなってきた。ハンドリング中(人に触られることに馴化させるための行動修正方法)に犬が抵抗する場合、ホールディング(体を拘束することによって犬の抵抗や咬みつきを抑制する行動修正方法)を用いることは、威圧的な嫌悪刺激であると考えるトレーナーが多い一方で、正しい主従関係を築くためにホールディングは有効であると考えるトレーナーも多い。第1章で明らかになった攻撃行動を呈する犬の血漿中5-HT濃度の傾向をもとに、実験開始前後の血漿中5-HT濃度を比較した。また、ストレス状態を評価するため、行動修正前後の血漿中ノルアドレナリン(NA)およびアドレナリン(AD)を比較した。一般家庭で飼育されている攻撃行動を呈する犬10頭が参加し、9頭(雌2頭、雄7頭、平均年齢2.2±2.5)が5週間の行動修正プログラムを完了した。プログラムではGazzanoらの方法を参考にして、飼い主がハンドリングおよびホールディングを犬に行った。犬がハンドリングに抵抗する場合、飼い主がホールディングを行い、強制的に遂行させた。プログラムを飼い主が確実に遂行するため、開始日から1週毎に個人指導を行った。各家庭においても飼い主は、1日2回、1回15分間の行動修正を行った。プログラムの実施は同一の飼い主によって5週間行われた。飼い主によって評価を行う間接方法と、アグレッションテストのように動物の行動を直接観察して評価を行う直接法では、スコアに差異が生じる、との報告があることから、行動修正療法の有効性を間接法であるC-BARQおよび直説法であるAggression testを実験開始日および終了日に実施した。C-BARQおよびAggression…

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加藤, . (2013). 攻撃行動などの問題行動を呈する犬の神経機構 : 食餌療法と新たな行動修正療法の有効性. (Thesis). Azabu University / 麻布大学. Retrieved from http://id.nii.ac.jp/1112/00003329/

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加藤, 真紀. “攻撃行動などの問題行動を呈する犬の神経機構 : 食餌療法と新たな行動修正療法の有効性.” 2013. Thesis, Azabu University / 麻布大学. Accessed July 17, 2018. http://id.nii.ac.jp/1112/00003329/.

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加藤, 真紀. “攻撃行動などの問題行動を呈する犬の神経機構 : 食餌療法と新たな行動修正療法の有効性.” 2013. Web. 17 Jul 2018.

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加藤 . 攻撃行動などの問題行動を呈する犬の神経機構 : 食餌療法と新たな行動修正療法の有効性. [Internet] [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. [cited 2018 Jul 17]. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003329/.

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加藤 . 攻撃行動などの問題行動を呈する犬の神経機構 : 食餌療法と新たな行動修正療法の有効性. [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003329/

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19. 久津見, 愛. イヌの行動発達におけるパピートレーニングの有効性に関する研究.

Degree: 博士(学術), 2013, Azabu University / 麻布大学

日本でもイヌが伴侶動物として室内飼育される割合が増加している。一方でイヌを飼育する上で、攻撃性や咆哮による問題など、行動面でのトラブルは日本だけでなく欧米諸国をはじめとした世界各国で起きている。アメリカ合衆国では、イヌによる咬傷事故件数が年間38万件にもおよび(Gilchrist et al., 2003)、日本における咬傷事故件数は年間4,940件である(環境省、2010)。 イヌの問題行動の中でも、人や他のイヌに対する恐怖や攻撃性に関する問題の発生については、イヌの社会化期における飼育環境およびハンドリングが影響を与えることが明らかにされている(Scott & Fuller, 1965; Serpell, 1995; Appleby et al, 2002)。 子犬期に、問題行動についての予防および初期修正を目的とした「パピートレーニング」を行うことは、イヌが現代社会に受け入れられる上で効果が期待できる方法であると考えられている(Dunbar, 1991)。一般の家庭犬および飼い主がこのようなパピートレーニングを受ける機会として「パピークラス」と呼ばれる子犬向けしつけ教室が約30年前から欧米で始まり、近年、日本でも徐々に広がりを見せている。しかしながら、パピークラスの有効性を明らかにした研究はまだない。そこで本研究では日本におけるイヌの飼育状況およびイヌの行動特性を調査し、日本におけるイヌの問題行動の傾向を把握した上で、パピークラスという形式が、イヌの問題行動の予防に関して何らかの効果があるかどうかを検討した。第1章 日本におけるイヌの飼育状況と行動特性に関する質問紙調査-アメリカ合衆国における質問紙調査との比較-【目的・方法】 日本におけるイヌの飼育状況およびイヌの行動特性を把握するため、首都圏および関西圏において質問紙調査を行った。質問紙では、イヌの基本情報、飼育状況および行動特性を聞いた。行動特性については、HsuとSerpellによるCanine Behavioral Assessment & Research Questionnaire(以下C-BARQ)(2003)を日本語に翻訳したものを用いた。C-BARQでは、11の行動特性についてスコアが算出された。また、アメリカ合衆国(以下アメリカ)でも同様のインターネットによる同様の調査を行い、日米間の行動特性の比較を行った。【結果・考察】 日本において、質問紙は1,024部配布し、734部(回答率71.68%)が回収された。条件に合う有効回答数は425(41.5%)であった。アメリカでは、得られた回答数11,410部のうち、条件に合う回答は3,288部(28.8%)であった。 行動特性については、11項目中9項目において日米間で有意な差が見られ、特に「見知らぬ人に対する攻撃性」(F(1)=19.28, p<0.01)、「飼い主に対する攻撃性」(F(1)=79.41, p<0.01)、「非社会性による恐怖」(F(1)=52.5, p<0.05)、「見知らぬ人に対する恐怖」(F(1)=23.89, p<0.01)、「犬に対する攻撃性」(F(1)=14.61, p<0.01)および「犬に対する恐怖」(F(1)=37.94, p<0.01)の6項目について日本がUSAよりも有意に高い結果になった。これらの攻撃性や恐怖に関する行動特性は、犬種による違いや血統、個体差の他に、子犬期におけるイヌや人などとの接触や馴化といった飼育環境や経験などの要因が影響を与えている可能性が考えられる。有意な差が見られた9つの行動特性について、性別・入手先・入手時期・犬種グループの4つにおいて多変量分散分析および多重比較を行ったが、2国間の行動特性の違いに影響を与える要因を説明できる結果は得られなかった。第2章 イヌの社会性に関する行動テストの開発と妥当性の検証【目的・方法】 第1章で実施した質問紙調査は、飼い主に対して飼い犬の行動について質問する形式だったため、飼い主の主観的な評価が結果に影響を与えていないとはいえない。そこで第2章以降では直接イヌに対して行動テストを行い、飼い主および見知らぬ人に対するイヌの行動を客観的に評価したいと考えた。家庭犬の気質を評価する行動テストについては、過去にいくつかのテストが実施されているが、評価項目やテスト条件の面で、本研究で採用できる行動テストがなかった。そこで過去の行動テストを参考にしながら、家庭犬の社会性が評価できる新しい行動テストを開発し、その妥当性を検証した。 12項目43変数の行動テストを作成し、実験者および実験協力者が飼い主宅に訪問して実施する形式で128頭のイヌに対して行動テストを実施した。行動テストの各項目において得られた43変数についてSPSS(v.19.0)を用いた探索的因子分析を行い、得られた因子についてAMOS(v.19.0)を用いた確認的因子分析を行った。【結果・考察】 探索的因子分析の結果から、最終的に17項目において明確な4つの因子が得られた。4因子によって全分散を説明する割合は、76.9%であった。4因子についてはそれぞれ、「コマンドへの反応」、「分離に関する反応」、「新奇刺激への友好反応」、「見知らぬ人への友好反応」と命名した。この4因子について、AMOSを用いた確認的因子分析を行った結果、採用した適合度指標は、AGFIが0.890と0.90に近く、採用できる数値であると判断した。したがって、本章で開発した行動テストは、17項目のテストにより、コマンドへの反応、分離に関する反応、新奇刺激への反応、見知らぬ人への反応を評価するのに妥当性のある行動テストであると判断した。第3章 パピートレーニングの実践とその有効性に関する研究【目的・方法】 第3章では、第2章で開発した行動テストを用い、パピークラスという限定された時期におけるトレーニングの提供が、イヌの問題行動の予防に影響を与えるかどうかを検討した。以下に挙げる4つのトレーニング経験のうちいずれか該当する家庭犬を募集し、集まった142頭において行動テストおよび質問紙調査(C-BARQ)を行い行動を評価した:1)パピークラスグループ(PC)(n=44):週1回・全6回の子犬向けトレーニングクラス(パピークラス)を受講したイヌ、2)パピーパーティーグループ(PP)(n=39):1回1時間のみの子犬向けトレーニングクラスだけを受講したイヌ、3)成犬クラスグループ(AC)(n=27):週1回・全6回の成犬向けトレーニングクラスだけを受講したイヌ、4)コントロールグループ(NC)(n=32):トレーニングクラス受講経験の無いイヌ。行動テストで得られた4つの因子のスコア、およびC-BARQで得られた11項目の行動特性のスコアについて、4つのトレーニンググループ、犬種グループおよび性別について多変量分散分析および多重比較を行った。【結果・考察】 行動テストにおけるトレーニンググループ間での比較から、「コマンドへの反応」(F(3)=4.06, p<0.01)と「見知らぬ人への友好反応」(F(3)=3.05, p<0.03)のスコアについて有意な差が見られた。「コマンドへの反応」はPCとACがPPとNCよりも有意に高い結果となった(PC vs. PP, p<0.01, PC vs. NC,…

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久津見, . (2013). イヌの行動発達におけるパピートレーニングの有効性に関する研究. (Thesis). Azabu University / 麻布大学. Retrieved from http://id.nii.ac.jp/1112/00003330/

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久津見, 愛. “イヌの行動発達におけるパピートレーニングの有効性に関する研究.” 2013. Thesis, Azabu University / 麻布大学. Accessed July 17, 2018. http://id.nii.ac.jp/1112/00003330/.

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久津見, 愛. “イヌの行動発達におけるパピートレーニングの有効性に関する研究.” 2013. Web. 17 Jul 2018.

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久津見 . イヌの行動発達におけるパピートレーニングの有効性に関する研究. [Internet] [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. [cited 2018 Jul 17]. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003330/.

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久津見 . イヌの行動発達におけるパピートレーニングの有効性に関する研究. [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003330/

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20. 橋本, 一浩. タバコシバンムシLasioderma serricorneとマイコトキシン産生真菌の関係に関する研究 : Relationship between the cigarette beetle (Lasioderma serricorne) and the mycotoxin-producing fungi.

Degree: 博士(学術), 2013, Azabu University / 麻布大学

タバコシバンムシは食品工場や一般住宅で発生し、乾燥動植物質を食害する微小甲虫である。これまでの研究により、一般住宅の屋内およびその周辺環境でごく普通に捕獲されること、また多くの真菌や病原細菌を保持していることが明らかにされ、シバンムシがこれらの微生物を伝搬している可能性が指摘されている。筆者は、シバンムシからオクラトキシン産生能を有するAspergillus ochraceusが高頻度に分離されることをこれまでに報告してきた。 シバンムシに関する研究報告は多く見られるが、シバンムシの生態については解明されていない点が多々ある。特に日常における棲息場所については最大の謎であり、自然界での繁殖場所等はもちろん、主要な棲息場所が屋内であるのか屋外であるのかも不明である。本研究では、住宅において捕獲された虫体における真菌相と、その住宅の周辺環境の真菌相を比較することで、シバンムシの棲息場所が屋内に依存するのか、それとも屋外に依存するのかを突きとめることを目的とした。また、過去の研究によりシバンムシから多数分離されているA. ochraceusに焦点を当て、その毒性およびDNAタイプを明らかにすることにより、シバンムシと真菌の共生・寄生の関係について調べた。 シバンムシの捕獲は2010年7月中旬から同年9月中旬の間に、東京都小平市の戸建A宅および埼玉県上尾市の戸建B宅の一般住宅2軒を対象として行った。捕獲されたシバンムシから真菌の分離を試みたところ、供試した294個体中278個体(94.6%)から真菌が分離され、黒色真菌グループ(Exophiala属、Fonsecaea属、Phialophora属など)がA宅で114個体中65個体(57.0%)、B宅で180個体中120個体(66.7%)と高率に分離され、A. ochraceusがA宅で6個体(5.3%)、B宅で27個体(15.0%)と特異的に分離された。 シバンムシの捕獲を行った住宅の空中浮遊真菌を捕集し、環境中の真菌相を調べたところ、Aspergillus section RestrictiがA宅屋内で43.3CFU/m3(I/O比=6.8)、B宅屋内で229.4CFU/m3(I/O比=98.3)と高濃度であり、シバンムシから高率に分離された黒色真菌グループやA. ochraceusの空気中濃度は低かった。また、調査住宅の周辺土壌を採取し、真菌の分離を試みたところ、A宅の土壌からは、5箇所中1箇所(20%)から分離され、B宅では5箇所中4箇所(80%)から分離された。 シバンムシの体表面から多く分離された黒色真菌グループやA. ochraceusは土壌中や腐朽植物など屋外に多い点、また、屋内環境中で多く見られたA. section Restrictiのシバンムシからの分離率が低いことから、シバンムシは生活の大部分を屋外、特に黒色真菌グループが分布する腐朽植物や腐葉土などで過ごしていると考えられる。シバンムシは長期間に渡って屋内に定着しているわけではなく、あくまでも外部から侵入してきて、餌や繁殖場所の探索のために屋内を通過しているに過ぎないことが示唆された。 以上の調査で分離されたA. ochraceus60株について、オクラトキシンA(OTA)およびオクラトキシンB(OTB)の産生量をLC/MS/MSにて定量した。さらに、これらA. ochraceusのミトコンドリア・チトクロームb(Cytb)遺伝子および26SrRNA遺伝子D1/D2領域の塩基配列を解析し、DNAタイプを分類した。 分析したA. ochraceus60株のうちOTAが検出されたのは46株(76.7%)で平均産生量は大麦5gあたり1463μgであった。また、OTBは37株(61.7%)から検出され、平均産生量は大麦5gあたり118μgであった。OTAはオクラトキシン類の中でも特に強い腎発癌性を示し、IARCではOTAの発癌性をグループ2B(ヒトに対する発癌の可能性有り)に指定している。OTA産生種はA. ochraceusの他にA. carbonarius、Penicillium verrucosumなどが知られている。ヨーロッパではA. carbonariusやP. verrucosumが食品中のOTA汚染の主な原因菌とされるが、これらは日本国内における分布は少なく、OTA産生量も100ppmに満たない菌株がほとんどである。この結果から、国内におけるOTA汚染の主要な原因菌はA. ochraceusであると考えられる。A. ochraceusのCytb遺伝子のタイプはAO-1、AO-2、AO-3、AO-3-2およびAO-4に分類され、26SrRNA遺伝子D1/D2領域では、D1D2-1、D1D2-2およびD1D2-3に分類された。Cytb遺伝子でAO-1、AO-2、AO-3およびAO・3-2に分類される菌株は、D1/D2領域ではD1D2-1に分類された。また、Cytb遺伝子でAO-4に分類される菌株は、D1/D2領域でD1D2-2およびD1D2-3のいずれかに分類された。多量のOTAを産生するA. ochraceusは、AO-4(ミトコンドリアCytb遺伝子による分類)、D1D2-2およびD1D2-3(26SrRNA遺伝子D1/D2領域による分類)に属し、分離菌株の多くがこれらのタイプに分類されることが明らかとなった。それ以外の遺伝子タイプに分類された菌株のOTA産生量はいずれも検出下限を下回った。 食品害虫のシバンムシからはA. ochraceusが特異的に分離されており、これらの分離株の多くはAO-4に分類され、OTA産生株であった。貯蔵穀類など食品におけるOTA汚染に関して、シバンムシがトキシン産生株を運搬している可能性が明らかとなった。 また、シバンムシから分離されたA. ochraceus(AO-4)の平均OTA量は1564μg/5g(n=34)であったのに対し、空中から分離されたA. ochraceus(AO-4)の平均OTA量は2266μg/5g(n=11)と虫体由来株のOTA産生量の方が有意に低かった(Mann-Whitney-U検定 ; Z=107、p<0.05)。これは、次のような原因が考えられる。(1)虫体に多量のOTAを産生するA. ochraceus分生子が付着すると、比較的早期に死亡する傾向にある。つまり、強毒株を保有する個体はトラップに辿り着く前に息絶えてしまうものが多く、結果的に強毒株の回収率は減少する。(2)多量のOTAを産生するA. ochraceusをシバンムシが避ける傾向にある。 真菌がマイコトキシンを産生する理由は解明されていないが、(1)の場合、キャリアーを殺して、キャリアーを「培地」として発育するために、マイコトキシンを利用していることが考えられる。(2)の場合、OTAの代謝量に比例して、シバンムシに対し忌避効果を有するMVOC(微生物有機揮発性化合物)を発生させていることが考えられる。 本研究により、タバコシバンムシの主な棲息場所が屋外であること、シバンムシから分離されるA. ochraceus(AO-4)のOTA産生量が低い傾向にあることなどの新事実が明らかにされた。

Lasioderma serricorne, commonly known also as…

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橋本, . (2013). タバコシバンムシLasioderma serricorneとマイコトキシン産生真菌の関係に関する研究 : Relationship between the cigarette beetle (Lasioderma serricorne) and the mycotoxin-producing fungi. (Thesis). Azabu University / 麻布大学. Retrieved from http://id.nii.ac.jp/1112/00003338/

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橋本, 一浩. “タバコシバンムシLasioderma serricorneとマイコトキシン産生真菌の関係に関する研究 : Relationship between the cigarette beetle (Lasioderma serricorne) and the mycotoxin-producing fungi.” 2013. Thesis, Azabu University / 麻布大学. Accessed July 17, 2018. http://id.nii.ac.jp/1112/00003338/.

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橋本, 一浩. “タバコシバンムシLasioderma serricorneとマイコトキシン産生真菌の関係に関する研究 : Relationship between the cigarette beetle (Lasioderma serricorne) and the mycotoxin-producing fungi.” 2013. Web. 17 Jul 2018.

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橋本 . タバコシバンムシLasioderma serricorneとマイコトキシン産生真菌の関係に関する研究 : Relationship between the cigarette beetle (Lasioderma serricorne) and the mycotoxin-producing fungi. [Internet] [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. [cited 2018 Jul 17]. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003338/.

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橋本 . タバコシバンムシLasioderma serricorneとマイコトキシン産生真菌の関係に関する研究 : Relationship between the cigarette beetle (Lasioderma serricorne) and the mycotoxin-producing fungi. [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003338/

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21. 加藤, 千恵. 補体依存性細胞傷害を作用機序とするラット抗Thy-1抗体投与モデルを用いた抗体医薬の薬効及び毒性発現予測要因に関する病理学的研究 : Pathological study of factors that can predict efficacy and toxicity of therapeutic antibody using rats treated with anti-Thy-1 antibody to induce complement-dependent cytotoxicity.

Degree: 博士(獣医学), 2013, Azabu University / 麻布大学

抗体医薬は標的分子に対して高い特異性に基づく治療効果が期待できることや、抗体工学の発展を背景として、近年開発が活発に行われている。抗体医薬品は、標的分子の中和作用、生体内の免疫機構を利用したcomplement-dependent cytotoxicity (CDC)や antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity (ADCC)などによる標的分子発現細胞傷害作用、drug delivery carrierとして標的分子発現細胞を傷害する作用などにより、その薬理作用を発揮する。抗体医薬品を含むバイオテクノロジー応用医薬品の開発については、日米EU医薬品規制調和国際会議 (ICH)における合意に基づくガイドラインが定められ、それに基づき非臨床試験における安全性評価を遂行することが定められている。その中でも、モノクローナル抗体を本体とする抗体医薬では、ヒト組織パネルを用いた免疫組織化学的染色(IHC)による組織交差反応性試験によって、抗体と組織中の標的抗原の結合を評価することが求められている。抗体医薬品では標的抗原の生体内分布と投与抗体による傷害臓器が一致すると考えられており、組織交差反応性試験はヒト初回投与臨床試験以前に標的臓器を予測し、安全性を担保する重要な試験と位置付けられている。しかし、抗原の分布や発現量と抗体に誘導される傷害臓器が一致しないとの報告もあり、抗体医薬の有効性・安全性をより正確に予測することが、抗体医薬の開発において緊急課題となっている。標的抗原以外の生体反応を規定する要因の研究は現在までほとんど行われておらず、また、IHCによる抗原分布解析と抗体投与によるin vivoでの生体反応を比較解析することのできる動物モデルの探索も行われていない。そこで本研究では、CDCを作用機序とする抗Thy-1.1抗体投与ラットモデルに着目し、この実験モデルがCDC誘導において標的抗原発現以外の生体反応を規定する要因を解析するために有用である事を示し、投与抗体の分布や膜補体制御因子 (mCRPs)の評価を加えた新たな抗体医薬の有効性・安全性予測方法について新しい知見を提示した。第1章 正常ラットにおけるThy-1.1抗原の分布及び抗Thy-1.1抗体投与ラットにおけるCDCの誘導抗Thy-1.1抗体投与ラットが本研究目的に適していることを評価する目的で、正常ラットにおけるThy-1.1抗原の分布及び抗Thy-1.1抗体投与ラットにおけるCDC誘導臓器を検索した。今モデルにおける標的抗原であるThy-1.1抗原は、IHCによって胸腺及び脾臓リンパ球を含む免疫系、腎糸球体メサンギウム(Mes)細胞を含む泌尿器系、副腎髄質細胞を含む神経内分泌系、間葉系の細胞など全身に広く分布していることが確認された。また、胸腺、副腎、脳組織を用いたRT-PCRおよびWestern blotにおいても、Thy-1.1抗原の発現を確認した。これらの結果より、ラットへ抗Thy-1.1抗体を投与すると、Thy-1.1抗原を発現する様々な臓器に組織傷害が起こると予測されたが、実際には組織傷害は腎臓のみに認められた。病理組織学的には、腎臓において抗体投与後0.5h及び1hより、Mes領域におけるKaryolysis(核融解)及び好中球の浸潤が認められ、続いて抗体投与後8hよりMes細胞の減数及び糸球体毛細血管の拡張が、抗体投与後24h及び48hではMes領域の減少が認められた。IHCでは、CDCの補体反応カスケードの要であるC3の沈着も腎臓メサンギウム領域でのみ認められた。これら腎臓における病理組織学的所見及びC3沈着は、抗Thy-1.1抗体投与に起因するCDCによる変化として報告されている所見と一致しており、Mes細胞の細胞死は抗Thy-1.1抗体投与に起因するCDCにより誘導されたものと判断された。一方、その他の抗原発現臓器では、病理組織学的変化並びにC3沈着は認められず、標的抗原の分布とCDCにより誘導される生体反応が一致しないことが明らかとなり、抗Thy-1.1抗体投与ラットがCDC誘導における生体反応を規定する抗原発現量以外の要因を解析する有用なモデルとなることが明らかにした。第2章 抗Thy-1.1抗体投与ラットにおける投与抗体分布と膜補体制御因子抗Thy-1.1抗体投与ラットにおける標的抗原分布と生体反応の不一致の理由として、1) 投与抗体が標的抗原発現部位に到達・結合していない、2) 抗体と抗原が結合した後、mCRPsがCDC誘導を抑制していること、という2つの要因を想定し、抗Thy-1.1抗体投与ラットにおける投与抗体の分布並びに正常ラットにおけるmCRPs (CrryおよびCD55)の分布を免疫組織学的に解析した。その結果、投与抗体は標的抗原の分布と必ずしも一致せず、腎糸球体Mes細胞、胸腺皮質リンパ球、脾臓赤脾髄リンパ球、副腎髄質細胞のみに分布していた。胸腺皮質リンパ球及び副腎髄質細胞については、胸腺の血管周囲や、副腎の皮髄境界部など、抗原発現細胞のごく一部にのみ投与抗体が限局して分布していた。それ以外の標的抗原発現臓器には投与抗体は分布していなかった。mCRPsについては、胸腺皮質リンパ球にCrryがmoderateに、副腎髄質細胞にはCrryがweak及びCD55がstrongに発現していた。副腎および胸腺についてはこれらmCRPsのタンパク質発現をWestern blotにより確認し、相対的な発現量も免疫組織学的な染色性と一致する事を確認した。これらの臓器においては、投与抗体は到達したが、mCRPsが抗Thy-1.1抗体投与によるC3沈着に抑制的に働き、補体活性化が起こらないものと考えられた。いっぽう、腎糸球体Mes細胞にはCrryがweakに認められた。これらの結果から、抗Thy-1.1抗体投与ラットにおいては、投与抗体の分布、及び一定以上発現したmCRPsによるC3沈着抑制が、CDC生体反応を規定する要因となると考えられた。以上の結果から、標的抗原発現臓器についてCDC誘導の段階を抗体の分布、mCRPsの発現、C3の沈着、及び組織傷害の発現をもとに3つに分類した。すなわち、抗Thy-1.1抗体投与ラットにおいて、標的抗原発現臓器は、A) 抗原抗体反応が起き、CDC活性化が起き、細胞死が誘導されるもの (腎糸球体Mes細胞)、B) 抗原抗体反応が起きるが、mCRPsの抑制作用によりCDCが活性化せず、細胞死も誘導されないもの (胸腺皮質リンパ球及び副腎髄質細胞)、C) 抗原抗体反応が起こらず、CDC活性化も細胞死も誘導されないもの (その他の抗原発現臓器)、の3つに分類された。AとBの間にはC3沈着の有無という明確な差が認められ、C3沈着を抑制するmCRPsがCDC誘導に深く関わっていることが示唆された。第3章 CDCを作用機序とする抗体医薬品の標的臓器予測における補体制御因子解析の有用性第1章,2章において、抗Thy-1.1抗体投与ラットでは、抗原分布のみではなく、1) 投与抗体の抗原部位への到達・結合の有無、2) 抗体と抗原が結合した後CDCを制御するmCRPsの発現が、CDC生体反応を規定する要因となることが明らかとなった。そこで本章では、mCRPs…

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加藤, . (2013). 補体依存性細胞傷害を作用機序とするラット抗Thy-1抗体投与モデルを用いた抗体医薬の薬効及び毒性発現予測要因に関する病理学的研究 : Pathological study of factors that can predict efficacy and toxicity of therapeutic antibody using rats treated with anti-Thy-1 antibody to induce complement-dependent cytotoxicity. (Thesis). Azabu University / 麻布大学. Retrieved from http://id.nii.ac.jp/1112/00003407/ ; http://dx.doi.org/10.14944/00003407

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加藤, 千恵. “補体依存性細胞傷害を作用機序とするラット抗Thy-1抗体投与モデルを用いた抗体医薬の薬効及び毒性発現予測要因に関する病理学的研究 : Pathological study of factors that can predict efficacy and toxicity of therapeutic antibody using rats treated with anti-Thy-1 antibody to induce complement-dependent cytotoxicity.” 2013. Thesis, Azabu University / 麻布大学. Accessed July 17, 2018. http://id.nii.ac.jp/1112/00003407/ ; http://dx.doi.org/10.14944/00003407.

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加藤, 千恵. “補体依存性細胞傷害を作用機序とするラット抗Thy-1抗体投与モデルを用いた抗体医薬の薬効及び毒性発現予測要因に関する病理学的研究 : Pathological study of factors that can predict efficacy and toxicity of therapeutic antibody using rats treated with anti-Thy-1 antibody to induce complement-dependent cytotoxicity.” 2013. Web. 17 Jul 2018.

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加藤 . 補体依存性細胞傷害を作用機序とするラット抗Thy-1抗体投与モデルを用いた抗体医薬の薬効及び毒性発現予測要因に関する病理学的研究 : Pathological study of factors that can predict efficacy and toxicity of therapeutic antibody using rats treated with anti-Thy-1 antibody to induce complement-dependent cytotoxicity. [Internet] [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. [cited 2018 Jul 17]. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003407/ ; http://dx.doi.org/10.14944/00003407.

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加藤 . 補体依存性細胞傷害を作用機序とするラット抗Thy-1抗体投与モデルを用いた抗体医薬の薬効及び毒性発現予測要因に関する病理学的研究 : Pathological study of factors that can predict efficacy and toxicity of therapeutic antibody using rats treated with anti-Thy-1 antibody to induce complement-dependent cytotoxicity. [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2013. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003407/ ; http://dx.doi.org/10.14944/00003407

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22. 馬場, 智成. Osborne-Mendelラットの尿細管間質障害の発生機序に関する研究.

Degree: 博士(獣医学), 2014, Azabu University / 麻布大学

慢性糸球体疾患では、腎機能の低下やその予後は糸球体障害よりも尿細管間質障害(TII)と強く相関することが示唆されており、TIIの抑制が腎機能保護にとって重要な治療戦略と考えられている。TIIは組織学的に尿細管の萎縮、間質への単核細胞浸潤、間質の線維化を包含し、腎組織の退行性変化とともに浸潤細胞、尿細管上皮細胞(TEC)、筋線維芽細胞の相互作用によって間質線維化が進行する。糸球体病変に伴うTIIは、従来糸球体の機能廃絶の結果、付随する尿細管が萎縮し、周囲に二次的な炎症が引き起こされると考えられてきたが、近年では蛋白尿自体がTIIの原因または悪化因子として腎不全進行を促進させることが示唆されており、病理生物学的に重要な因子として蛋白尿が注目されている。 Osborne-Mendel系ラット(OM)は、若齢より大量の蛋白尿を伴う糸球体障害を発症し、他のラットに認める自然発症性慢性腎症に比べて進行がかなり早く、進行すると慢性腎不全となることから、ヒトのネフローゼ症候群の慢性腎不全進行モデルとして期待されているが、現在のところ尿細管間質病変の病理発生に関する研究は行われていない。 本研究は、OMの糸球体病変に続くTIIの進行メカニズムと、糸球体病変および尿細管間質病変の進展と蛋白尿との関連を探求することを目的とし、OMの進行性腎障害の病理学的検索を行った。また、OMのTIIの発生・進展には蛋白尿が関連していると仮定し、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEi)、ウシ血清アルブミン(BSA)の投与により蛋白尿を軽減ないし増悪させ、尿細管間質障害の変化について考察した。第1章 OMにおける進行性腎障害の病理学的検索 OMの病変の糸球体病変および尿細管間質病変は、進行の早いオスの5週齢から20週齢を用いて病理学的に検索した。 24時間蓄尿による尿検査では、総蛋白質量(TP)は7週齢以降、同週齢のメスよりも有意に上昇した。尿のSDS-PAGEでは、5週齢からアルブミン(Alb)の分子量と一致したバンドを認め、10週齢でバンドは明らかに太くなり、またAlbよりも高分子のバンドを形成し、その後これらのバンドは加齢性に太さを増した。血清クレアチニン(Cre)値は20週齢で雌雄間に有意差を認めた。組織学的に、糸球体は5週齢から足細胞の細胞質内に硝子滴の沈着が認められた。また、ボーマン嚢と血管係蹄との癒着、糸球体硬化といった硬化性病変は7週齢頃から観察され、その後加齢性に増加した。なお、糸球体に炎症反応は認められなかった。尿細管間質では5週齢からTECの細胞質内に硝子滴が認められ、13週齢で大小の硝子滴が大量に沈着してTECが膨化するほか、空胞変性などの重度の病変が散見された。間質には5週齢から単核細胞が確認されたが、著明な細胞浸潤は、10週齢より観察された。その後、これらの病変は間質の線維化を伴いながら加齢性に進展し、20週齢でびまん性に病変を形成した。免疫組織化学的に検索したところ、尿細管は形態学的な変化に先行して10週齢よりマクロファージ(mφ)の誘導因子であるとともに、TECの障害マーカーとして知られるosteopontin(OPN)に陽性を示し、13週齢でOPN陽性の尿細管数は有意に増加した。また、糸球体では肥厚したボーマン嚢上皮細胞が陽性を示したが、足細胞、メサンギウム細胞は陰性であった。浸潤細胞は5週齢からmφ、T細胞、B細胞のすべてが散在性に浸潤しており、浸潤した細胞の主体はT細胞で、10週齢以降顕著に増加した。また、間質線維化の際に線維芽細胞から形質転換する筋線維芽細胞について、α-smooth muscle actin(α-SMA)の抗体を用いて検索したところ、陽性細胞は13週齢から拡張した尿細管、ボーマン嚢周囲に認められた。次に、TEC障害と間質に浸潤した単核細胞の関連を検索するために、最も強力な単核細胞のケモカインである monocyte chemoattractant protein 1 (MCP-1)と、mφを誘導するサイトカインであるOPNについて、Laser microdissection 法を用いて切片から尿細管間質領域のみを採取し、リアルタイムPRCによりOPN、MCP-1のmRNA発現の定量解析を行ったところ、OPNmRNAは5週齢、MCP-1mRNAは10週齢から発現を認め、これらは加齢性に増加した。 以上の結果をまとめると、OMは観察を開始した5週齢で蛋白尿を発症しており、間質にはT細胞を主体とした単核細胞の浸潤が起こっていることが確認された。尿細管間質領域ではこれらの単核細胞を誘導するOPNmRNAが5週齢で発現しており、明らかに細胞浸潤が増加した10週齢ではOPN陽性TECを認め、さらにMCP-1mRNAも発現していた。TECにおけるOPN発現はTECの形質転換を意味し、これは硝子滴の存在から尿蛋白質の過剰な再吸収によることが示唆された。形質転換したTECからはOPNやMCP-1のほかに、OPNの発現との関連が報告されているinterleukin 1 (IL-1)や腫瘍壊死因子(TNF-α)、また主要組織適合抗原(MHC-II)などが発現することがin vitroの実験によって示されており、これらも単核細胞浸潤に関連していることが推察された。以上のことより、OMのTIIの発症・進展には、蛋白尿によるTECの刺激が関連している可能性が示唆された。第2章 ACEi投与による蛋白尿抑制時における尿細管間質の変化 第1章の結果から、蛋白尿を抑制すると尿細管間質病変は軽減されるという仮説を立て、OMにACEi (Lisinopril)を3週齢より飲水に混ぜて投与し、13、20週齢の糸球体および尿細管間質病変を検索した。 ACEi投与により糸球体高血圧ないし過剰濾過の抑制を期待したところ、OMの収縮期血圧は低下し、尿中のTPが有意に低下した。尿のSDS-PAGEではAlbの分子量にバンドが認められたが、それ以上の高分子蛋白質のバンドは形成されず、未処置群に比べて有意に抑制された。投与群の血清Cre値は未処置群に比べて有意に減少した。組織学的に、ACEiの投与によって未処置群にみられた足細胞における硝子滴の高度な沈着、ボーマン嚢上皮細胞への癒着は有意に抑制された。また、TECの細胞質内に硝子滴が認められたが、著明な形態学変化はなくOPN抗体にも陰性であったが、間質にはmφ、T細胞がわずかに浸潤していた。尿細管間質領域におけるOPNmRNAの発現は未処置群に比べて有意に抑制されたが、13、20週齢ともわずかに発現していた。また、20週齢ではMCP-1mRNAが発現していた。糸球体では、投与群はどちらの週齢もOPNmRNA、MCP-1mRNAの発現はなかった。 以上、蛋白尿の抑制によるTIIの変化から、尿細管間質領域におけるOPN、MCP-1といったサイトカインの発現が蛋白尿によって誘導され、間質への細胞浸潤を惹起することが予想された。第3章 BSA投与による蛋白質負荷下における尿細管間質の変化…

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馬場, . (2014). Osborne-Mendelラットの尿細管間質障害の発生機序に関する研究. (Thesis). Azabu University / 麻布大学. Retrieved from http://id.nii.ac.jp/1112/00003775/

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馬場, 智成. “Osborne-Mendelラットの尿細管間質障害の発生機序に関する研究.” 2014. Thesis, Azabu University / 麻布大学. Accessed July 17, 2018. http://id.nii.ac.jp/1112/00003775/.

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馬場, 智成. “Osborne-Mendelラットの尿細管間質障害の発生機序に関する研究.” 2014. Web. 17 Jul 2018.

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馬場 . Osborne-Mendelラットの尿細管間質障害の発生機序に関する研究. [Internet] [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2014. [cited 2018 Jul 17]. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003775/.

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馬場 . Osborne-Mendelラットの尿細管間質障害の発生機序に関する研究. [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2014. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003775/

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23. 崔, 詠一. 犬の椎間板ヘルニアに対するPercutaneous laser disc decompression (PLDD法)の基礎的・臨床的研究.

Degree: 博士(獣医学), 2014, Azabu University / 麻布大学

従来、医学、獣医学領域における椎間板ヘルニアに対する治療法は、内科的な保存療法あるいは造窓減圧術を主体とした外科的治療法が選択されてきた。しかしながら、その病態が複雑多岐にわたることから治療法の選択が困難であり、さらには治療に対する反応が乏しい症例や治療適応外となる症例も少なくない現状にある。近年、医学領域では椎間板ヘルニアに対して低侵襲手術を望む声が多くなり、その中で最も低侵襲とされている経皮的レーザー椎間板減圧術(Percutaneous Laser Disc Decompression、PLDD法)が注目を集めている。しかし獣医学領域では、Dickeyら(1996年)、Bartelsら(2003年)による報告が2報あるのみであり、これらの報告もその手技ならびにレーザー照射条件が確立されておらず、施術に当たっては基礎的データが乏しい現状にある。 そこで本研究では、現在、最も低侵襲性の外科的治療法とされているPLDD法の小動物臨床への応用を目的として、基礎的ならびに臨床的研究を実施した。I. 各椎体に対するガイド針の穿刺方法の検討 第1章では、安全にガイド針を髄核内に穿刺することを目的として、正常ビーグル成犬6例を使用し、解剖学的に形態の異なる頚椎、胸腰椎、腰仙椎の髄核内への穿刺方法について検討した。ガイド針は21G、90㎜のスパイナル針を使用し、全身麻酔下にてX線透視装置を用いて行った。 その結果、頸椎においては、犬を仰臥位保定とし、頚部腹側から頚部大血管、気管、食道を手指で圧迫した後にガイド針を椎体まで刺入し、さらに椎間板腔の中央までガイド針を進入させる方法が最適と判断された。その際のガイド針の刺入角度は、椎体腹側の正中を基準として、左右0°~50°が最適と判断された。胸腰椎においては、犬を横臥位保定とし、X線透視下にてガイド針を棘突起に対し左右45°~60°の角度で穿刺する方法が最適と判断された。腰仙椎においては、犬を横臥位保定とし、椎体背側よりガイド針を穿刺し、脊柱管を貫通させ椎間板腔まで刺入する方法が最適と判断された。 以上の結果から、ガイド針の刺入は、頸椎、胸腰椎、腰仙椎の3部位に分けて、それぞれ異なる刺入角度から穿刺することにより可能であることが判明した。II. レーザーの至適照射条件の検討 第2章では、レーザー照射の至適条件を設定するために、正常ビーグル成犬6例を使用し、ファイバーの先端出力により3W群(3例)と5W群(3例)の2群に分けて実施した。レーザーの照射条件は、照射時間を0.5秒、レーザー休止時間を2秒とし、1例につき7椎間(T11-12~L4-5)へ頭側部から順に40、50、70、100、150、200、300Jで実施した。 評価方法は、術中の肉眼的所見、術後の神経学的検査所見と臨床症状、術後のX線、CT、MRIの各画像検査所見ならびに病理検査所見について検討した。各画像検査は術前、術直後、術後24時間、術後10日目に実施した。 その結果、術中の肉眼的所見としてレーザーファイバーの先端部の炭化が認められたが、レーザー照射熱量との関連性は認められなかった。また、X線ならびにCT検査においては、3W群、5W群の全例において、いずれのレーザー照射熱量においても画像上に変化は認められなかった。また術前と術後における椎間幅にも有意差は認められなかった。MRI検査では、術後24時間から10日目までに3W群の100~300J、5W群の70~300Jにおいて、椎体終板から椎体骨髄にかけてT2強調画像で高信号、T1強調画像で低信号の変化が認められ、照射条件の設定上、不適切と判断された。病理組織学検査では、1部位を除くほぼ全部位の椎体骨髄に器質化が認められ、一部で線維性骨化が認められた。しかし、この変化に起因する臨床症状の変化は認められなかった。したがって、照射条件の設定上、考慮する必要性はないものと判断された。 術後の臨床症状の変化では、5W・300Jを照射した3例中1例において患部(L4-5)の圧痛、右後肢の跛行および右膝蓋腱反射の消失が認められた。同部位の病理組織学検査では、線維輪外側、椎体終板軟骨ならびに神経根の損傷が認められ、照射条件の設定上、不適切と判断された。 以上の結果からレーザー至適照射条件の設定は、MR画像上ならびに病理組織学的に何らかの変化が認められた照射条件を不適切と判断した。また病理組織学的では変化が認められたが、MR画像上では変化が認められず、さらに臨床所見上でも異常が認められなかった条件を適正照射条件と判断した。その結果、今回設定したレーザー至適照射条件は、3W・70J~5W・50Jが望ましいと判断された。III. 考案したPLDD法の臨床例に対する応用 第3章では、考案したガイド針の穿刺手技ならびに照射条件を基に実際の臨床例に応用し、その有効性について検討した。 対象とした症例は椎間板ヘルニアと診断された犬21例で、犬種はミニチュアダックスフンド14例、ウェルシュコーギー2例、シーズー、ペキニーズ、ミニチュアピンシャー、ゴールデンレトリバー、ジャーマンシェパード各1例であった。症例の年齢は3~12歳(6.9±2.8歳)であり、雌雄差は雄10例、雌4例、去勢雄4例、避妊雌3例であった。ヘルニアのHansen分類では、Hansen typeIが9例、Hansen typeIIが12例であった。脊髄損傷のグレード分類はグレード(G)II~IVであった。また脊髄の圧迫部位は1例につき1~6カ所であった。 術後の評価方法は、獣医師とオーナーによって行い、獣医師によるスコア評価は、臨床症状ならびに神経学的検査等を観察し、顕著な改善が認められたものを3点、顕著ではないが改善傾向が認められたものを2点、変化なしを1点、悪化を0点の4段階とした。そして、オーナーによる評価方法は、歩行状態の評価で、歩行に問題なしを2点、問題はあるが歩行可能を1点、不可能を0点とした。その他9項目を設定し、総合点を20点満点として評価した。 獣医師による評価結果では、3点が8例、2点が10例、1点が1例、0点が2例であった。オーナーによる評価結果では、術前の平均が3.0点であったものが術後1週間では平均が11.5点と上昇の傾向が認められた。また獣医師による評価を基準に改善率を算出したところ、85.7%であった。そして、脊髄損傷のグレード分類ごとの改善率は、GIIで100%、GIIIで88.9%、GIVで33.3%であった。さらにHansen typeIとtypeIIに分けてスコア評価の検討を行った結果Hansen typeIの改善率は77.7%であり、Hansen typeIIの改善率は91.7%であった。IV. 結論 犬の椎間板ヘルニアに対するPLDD法の応用性について検討した結果、ガイド針の穿刺方法は、頸椎、胸腰椎、腰仙椎の3部位に分け、各部位ごとに適応した穿刺方法を用いることにより十分に可能で有ることが判明した。また基準となるレーザー至適照射条件は、3W・70J~5W・50Jと判断された。 上記の条件に基づいて21例の臨床例へ応用した結果、いずれの犬種においても、その安全性と治療効果が確認された。またPLDD法の適応症例は、これまでHansen typeIIの症例とされてきたが、Hansen…

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崔, . (2014). 犬の椎間板ヘルニアに対するPercutaneous laser disc decompression (PLDD法)の基礎的・臨床的研究. (Thesis). Azabu University / 麻布大学. Retrieved from http://id.nii.ac.jp/1112/00003776/

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崔, 詠一. “犬の椎間板ヘルニアに対するPercutaneous laser disc decompression (PLDD法)の基礎的・臨床的研究.” 2014. Thesis, Azabu University / 麻布大学. Accessed July 17, 2018. http://id.nii.ac.jp/1112/00003776/.

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崔, 詠一. “犬の椎間板ヘルニアに対するPercutaneous laser disc decompression (PLDD法)の基礎的・臨床的研究.” 2014. Web. 17 Jul 2018.

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崔 . 犬の椎間板ヘルニアに対するPercutaneous laser disc decompression (PLDD法)の基礎的・臨床的研究. [Internet] [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2014. [cited 2018 Jul 17]. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003776/.

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崔 . 犬の椎間板ヘルニアに対するPercutaneous laser disc decompression (PLDD法)の基礎的・臨床的研究. [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2014. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003776/

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24. 小林, 亮介. The study on podocyte injury and altered expression of podocyte-associated molecules in canine glomerular diseases : イヌの腎糸球体疾患における足細胞傷害と足細胞関連分子の発現変化に関する研究.

Degree: 博士(獣医学), 2014, Azabu University / 麻布大学

【緒言】 足細胞は腎糸球体の表面を覆う上皮細胞で、基底膜、内皮細胞と共に糸球体血管係蹄における選択的濾過機能に重要な役割を果たしている。特に高分子蛋白質に対するバリアとして機能しており、糸球体疾患の臨床徴候であるタンパク尿の発現には足細胞傷害が密接に関連している。近年、ヒトでは先天性ネフローゼ症候群の原因分子として同定されたnephrinをはじめとし、足細胞に発現する様々な分子(足細胞関連分子)がその機能ならびに足突起、スリット膜などの特殊な形態を維持していることが明らかになってきた。すなわち、正常な足細胞の機能と構造はスリット膜を中心とした足細胞関連分子の相互作用により維持されていることになるが、何らかの要因により分子発現が変化すると形態学的な足突起のアクチン細胞骨格の改変や糸球体基底膜との接着能の低下などにつながり、蛋白が漏出する。このため現在医学領域では、足細胞を標的とした治療や、尿中に排泄された足細胞を糸球体傷害マーカーとして用いるための研究も進められている。 獣医学領域では、タンパク尿に伴ない足細胞傷害が電顕的に観察されることはわかっていたが、分子の変化についてはほとんど研究されていない。イヌの腎疾患では糸球体疾患が多く、ヒトと同様に足細胞および糸球体傷害の早期診断、治療が臨床的に重要であると考えられる。また、ヒトの糸球体疾患とイヌのそれには類似点が多く、比較医学的に興味深い。本研究の目的はイヌの糸球体疾患において足細胞の傷害とその関連分子の発現変化を解析し、病態との関連を明らかにすることである。第一章 正常イヌ糸球体における足細胞関連分子の発現と局在 従来、イヌにおける足細胞傷害の評価には超微形態学的観察が行われてきたが、機能的評価には足細胞関連分子の発現解析が重要である。本章ではその基盤として、これまでに明らかでなかった正常なイヌ糸球体における足細胞関連分子の発現と局在を調べた。【材料と方法】正常なビーグル犬5頭から採材した腎皮質組織と、皮質組織よりシービング法により単離した単離糸球体を用いた。ウエスタンブロット法(WB)と蛍光抗体法(IF)にてタンパク発現と局在を、RT-PCRにて遺伝子発現を検索し、透過型電顕で足細胞の構造の観察とスリット膜の長さの計測をおこなった。検索した分子はスリット膜に発現するnephrin、スリット膜基部細胞内に局在するpodocin、足突起のアクチン細胞骨格に関連するα-actinin-4、足突起と糸球体基底膜との接着に関与するα3-integrinである。抗体は作製した抗イヌnephrinポリクローナル抗体及び市販抗体を用い、プライマーは各分子の予測配列より設計した。【結果と考察】IFにおいてnephrinとpodocinは糸球体表面を覆うび漫性線状の足細胞パターンを示し、α-actinin-4及びα3-integrinは足細胞に加えメサンギウム細胞にも発現していた。また、WB、RT-PCRにより、予測された分子量のバンドが得られた。これらの結果よりイヌにおける4分子の発現と局在がヒト、ラット、マウスと同様であることが明らかになった。また、電顕観察によりイヌのスリット膜の長さは約379±24.4Åで、マウスとほぼ同等であった。(Kobayashi, R., et al. J. Comp. Pathol. 145:220-225. 2011.)第二章 イヌの糸球体疾患における足細胞関連分子の発現および局在変化 第一章において明らかにした正常イヌ腎糸球体における足細胞関連分子の発現と局在を基に、イヌの糸球体疾患における足細胞傷害と関連分子の発現変化を明らかにし、タンパク尿、糸球体傷害との関連を明らかにするため、腎生検症例を用いた解析をおこなった。【材料と方法】持続的タンパク尿を伴う糸球体疾患(16例)および非糸球体疾患(5例)、計21例のTru-cut腎生検ならびに4頭の正常ビーグル犬腎組織を材料として用いた。糸球体疾患は膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)、メサンギウム増殖性糸球体腎炎(MePGN)、膜性腎症(MN)、糸球体アミロイドーシス(GA)、微小糸球体病変(MGA)、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)を含み、これらをさらに免疫介在性糸球体疾患(IMGD、n=11)、非免疫介在性糸球体疾患(NIMGD、n=5)に分け、非糸球体疾患(non-GD、n=5)と正常ビーグル犬(Normal、n=4)を対照群として解析をおこなった。また透過型電顕を用い足細胞の観察をおこなった。IFではnephrin、podocin、α-actinin-4、α3-integrinの発現・局在変化を観察し、半定量的にスコア化し、グループ間での比較とタンパク尿(Urinary protein/creatinine ratio)との相関関係を解析した。また、足細胞の核に特異的に発現するWT1の免疫染色により、各症例の糸球体におけるWT1陽性足細胞数を計測した。さらに、蛋白レベルで最も発現低下の著しかったnephrinの遺伝子発現を定量的に解析するため、laser microdissection(LMD)法にて凍結切片より糸球体を各症例100個切り抜き、real-time RT-PCRにより解析した。【結果】電顕観察では、検索した糸球体疾患全例において様々な程度の足細胞傷害(細胞体の腫大、足突起の扁平化、スリット膜の消失、細胞表面微絨毛の増加)が確認された。一方、非糸球体疾患では足細胞はほぼ正常であった。IFにおいては、足細胞傷害に伴うnephrinの顆粒状化、α-actinin-4の染色パターンの変化がみられた。また、スコアリングによる比較では糸球体疾患のいずれにおいてもnephrinが最も高度に発現が低下していた。NIMGDではIMGDと比較し4分子ともに発現低下が高度であり、NIMGDとIMGDにおけるnephrin、podocinの発現はnon-GD、Normalと比較し有意に低下していた。タンパク尿と発現スコアの相関解析では、特にnephrin、podocinで高い負の相関を示した。また、疾患ごとの差を見てみると、最も症例数の多いMNの比較では形態学的変化の重篤なものほど分子の発現低下は著しく、MGAとFSGSではそれぞれの病態を反映した局在の変化を示していた。WT1陽性足細胞数はNIMGDで最も高度に減少し、IMGDと共にNormalに比較して有意に減少していた。また、一部の糸球体疾患では傷害足細胞においてWT1発現の低下がみられた。nephrin…

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小林, . (2014). The study on podocyte injury and altered expression of podocyte-associated molecules in canine glomerular diseases : イヌの腎糸球体疾患における足細胞傷害と足細胞関連分子の発現変化に関する研究. (Thesis). Azabu University / 麻布大学. Retrieved from http://id.nii.ac.jp/1112/00003777/

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Chicago Manual of Style (16th Edition):

小林, 亮介. “The study on podocyte injury and altered expression of podocyte-associated molecules in canine glomerular diseases : イヌの腎糸球体疾患における足細胞傷害と足細胞関連分子の発現変化に関する研究.” 2014. Thesis, Azabu University / 麻布大学. Accessed July 17, 2018. http://id.nii.ac.jp/1112/00003777/.

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小林, 亮介. “The study on podocyte injury and altered expression of podocyte-associated molecules in canine glomerular diseases : イヌの腎糸球体疾患における足細胞傷害と足細胞関連分子の発現変化に関する研究.” 2014. Web. 17 Jul 2018.

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小林 . The study on podocyte injury and altered expression of podocyte-associated molecules in canine glomerular diseases : イヌの腎糸球体疾患における足細胞傷害と足細胞関連分子の発現変化に関する研究. [Internet] [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2014. [cited 2018 Jul 17]. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003777/.

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Council of Science Editors:

小林 . The study on podocyte injury and altered expression of podocyte-associated molecules in canine glomerular diseases : イヌの腎糸球体疾患における足細胞傷害と足細胞関連分子の発現変化に関する研究. [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2014. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003777/

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25. 小山, 奈穂. 日本のゾウ飼育における福祉的管理法の検討.

Degree: 博士(学術), 2014, Azabu University / 麻布大学

近年、飼育下におけるゾウは野生個体に比べ、寿命が短く繁殖成功率も低いことが明らかにされており、動物園では飼育環境の福祉的改善が求められている。しかし、日本ではこれまでゾウの飼育環境に関する福祉評価はほとんど行なわれてこなかったため、飼育環境における改善点の抽出や長期的な繁殖計画を立てるために必要な基本的知見が不足している。そこで本研究では、国内のゾウの飼育状況を把握し、飼育下における社会的環境、物理的環境および人的環境からどのような影響を受けているのか行動学的に明らかにすることによって、福祉に配慮したより持続可能なゾウの飼育管理法について検討した。 第1章では、国内のゾウの社会環境、飼育施設および飼育管理に関する基礎的情報の収集を目的として、全国のゾウの飼育施設を対象にアンケート調査を行なった。その結果、国内47ヵ所のうち40ヵ所の飼育施設で飼育されている87個体のデータが得られた。アジアゾウは50頭(オス10頭、メス40頭〉、アフリカゾウは37頭(オス8頭、メス29頭)であった。繁殖歴のある成熟個体は7頭で、飼育下で生まれた個体は5頭であった。各施設における飼育個体数は、単独または2頭規模が大半を占め、特にメスを単独で飼育している施設は全体の3分の1に達した。また、高齢になるほど社会的規模が小さく単純になることが明らかとなった。屋内展示室の床面積は種間で差がなく、中央値は約45m2であった。屋外放飼場の床面積は、アフリカゾウ舎(中央値340m2)の方が、アジアゾウ舎(中央値270m2)に比べて有意に広く設計されていた(P<0.05)。放飼場における地面の材質には、主にコンクリートや土が採用されていた。放飼場内の複雑性は、地面の材質と有意な関連性が見られ、プールや砂浴び場、泥浴び場は、コンタリートのみの放飼場よりも人工物と自然物からなる放飼場に設置される傾向が見られた(P<0.01)。取り扱い方法に関しては、メスは直接飼育、オスは間接飼育で管理されることが多く、性別により有意な違いが見られた(P<0.05)。また、夜間の繋留や一日3回以下の給餌が行なわれている個体は、全体の4~5割を占めた。9割以上の個体に対して日常的にトレーニングが実施されており、その主な目的はゾウの健康管理およびゾウと管理者の安全管理であった。トレーニング時は声がけや接触を伴っていたが、直接飼育の個体に対してはより多様な手法が用いられていた。また一日の実施時間は、間接飼育の個体では30分未満であったのに対して、直接飼育の個体では1時間以上と、より長い時間をかけて行なわれていた(P<0.01)。以上の結果から、国内のゾウは全体的に社会的規模が小さく、多くの成獣メスにおいて社会的接触の機会の不足が懸念された。また、基本的に複数頭での利用が可能な施設面積を設定している欧米の基準に比べて、国内の施設は屋内外に関わらず面積が小さく、特に屋内展示室や寝室は単頭で収容する作りになっていた。一方、放飼場の複雑性が地面の材質に依存していたことや、ゾウの取り扱い方によってトレーニングにおける方法の選択肢や実施時間に違いが見られたことから、飼育施設や飼育管理には園間で大きく異なる部分も混在していることが明らかとなった。 第2章では、飼育環境に含まれる社会的要因、物理的要因および人的要因を明らかにし、それらの因子がゾウの行動にどのような影響を及ぼしているか検討した。7ヵ所の施設で飼育されている計12頭の成獣メスを対象に、各個体につき3日間のデータを収集するために、展示時間中に見られた11項目の行動カテゴリーについて、1分間隔の瞬間サンプリングで記録した。利用場所および管理者の関わりについても同時に記録した。環境要因については、互いに独立した因子として、社会的規模(社会的要因)、展示場の利用可能面積(物理的要因)、給餌回数およびトレーニング回数(人的要因)が抽出された。日中の休息は、社会的規模の水準が上がるに従い有意に高い割合が示された(β=0.780, P<0.01)。また展示場の面積が大きいほど、採食行動は有意に多く発現したが(β=0.687, P<0.05)、反対に移動の発現割合は少ない傾向を示した(β=-0.537, P=0.06)。一方、人的要因の一つであったトレーニングにおいても、有意ではないもののいくつかの行動と関連が見られた。しかし、複数施設の比較では、社会的要因や物理的要因が強く作用することから、人的要因による影響を明確に表せなかった。そのため、各飼育環境内において対象個体を特定し、長期的な調査を行なうことが必要と考えられた。 そこで第3章では、ゾウの社会性や精神的健康性に福祉的効果をもたらしうる、日常管理や管理者の関わりについて明らかにすることを目的とした。飼育環境の社会的要因および物理的要因による影響を排除するため、名古屋市東山動植物園において1年間の行動調査を行なった。 第1節では、アジアゾウの成獣メス(38歳)1頭を対象に、管理者がゾウに対して日常的に関わることで、個体の社会性に対する配慮となる可能性を検証した。1年のうち3ヵ月を1期とし、各期につき7日間、計28日間のデータを収集するために、前章と同様、展示時間中に見られた11項目の行動カテゴリーおよび利用場所について1分間隔の瞬間サンプリングで記録した。また、管理者の関わりは、指示を伴う「トレーニング」と指示を伴わない「ハンドリング」に分けて連続記録した。一日のトレーニングの回数や1回のトレーニング時間と、常同行動の発現頻度との間には有意な相関は見られなかった。ハンドリングと常同行動の発現頻度との関連性については、1回の接触時間との間には有意な相関がなかったが、一日の接触回数とには有意な負の相関が見られた(γs=-0.26, P<0.05)。よって、トレーニング時以外にも関わる時間を設け、1回の接触時間を長くすることよりも一日により多く関わることが常同行動を抑制する可能性が示された。また、ハンドリングの目的には、給餌が含まれており、常同行動の発現抑制に影響を及ぼしている可能性が考えられたが、給餌目的の接触頻度の高い日と低い日における常同行動の発現頻度に有意な差は見られなかった。以上から、管理者が給餌の有無に関わらず日常管理の中でゾウと関わる機会をより多く作ることは、社会的エンリッチメントとしても効果をもたらす可能性が示唆された。…

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小山, . (2014). 日本のゾウ飼育における福祉的管理法の検討. (Thesis). Azabu University / 麻布大学. Retrieved from http://id.nii.ac.jp/1112/00003784/

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Chicago Manual of Style (16th Edition):

小山, 奈穂. “日本のゾウ飼育における福祉的管理法の検討.” 2014. Thesis, Azabu University / 麻布大学. Accessed July 17, 2018. http://id.nii.ac.jp/1112/00003784/.

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MLA Handbook (7th Edition):

小山, 奈穂. “日本のゾウ飼育における福祉的管理法の検討.” 2014. Web. 17 Jul 2018.

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小山 . 日本のゾウ飼育における福祉的管理法の検討. [Internet] [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2014. [cited 2018 Jul 17]. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003784/.

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小山 . 日本のゾウ飼育における福祉的管理法の検討. [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2014. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003784/

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26. 平井, 徳幸. 24時間ウルトラマラソンランニングにおける尿中へのバイオピリン排泄の増加及び酸化ビリルビン代謝 : Elevated urinary biopyrrin excretion and oxidative bilirubin metabolism during 24-hour ultramarathon running.

Degree: 博士(学術), 2014, Azabu University / 麻布大学

 1936年に、Selye, H.によって提唱されたストレスの概念は、その後に修正が加えられて、現在では、「ストレスを招来する外的刺激(ストレッサー)が加わった場合に生じる体内の歪みの状態を指している」とされている。生体にストレッサーが作用すると、種々の内分泌ホルモンや脳内物質の分泌が亢進することは周知の事実である。他方、ビリルビンは、生体内で発生した過剰な活性酸素を消去し(Stocker, R., et al.: Science, 235, 1043, 1987)、酸化分解されてバイオピリンとなり、尿中へ排泄される(Yamaguchi, T., et al.: J. Biochem., 116, 298, 1994)。このバイオピリンは、外科手術をはじめとした種々の要因による酸化ストレス下で、その強さに応じて尿中への排泄量が変化することが報告されている(Shimoharada, K., et al.: Clin. Chem., 44, 2554, 1998)。しかしながら、バイオピリンの前駆物質であるビリルビンの由来については報告されておらず、24時間ウルトラマラソンランニングのような生理学的限界に近い有酸素運動下での酸化ストレスに関する医学的知見も少ない。 そこで本研究では、24時間ウルトラマラソンランニング選手を対象として、酸化ストレスマーカーである尿中バイオピリンの動態と各種の臨床検査値との関係について検討し、バイオピリンの前駆物質が、赤血球の生理的な破壊の結果生じた血中ビリルビンであることを示唆する結果を得た。また、尿中バイオピリンの測定意義についても言及した。 その研究成果の概要は以下の通りである。1.… (more)

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平井, . (2014). 24時間ウルトラマラソンランニングにおける尿中へのバイオピリン排泄の増加及び酸化ビリルビン代謝 : Elevated urinary biopyrrin excretion and oxidative bilirubin metabolism during 24-hour ultramarathon running. (Thesis). Azabu University / 麻布大学. Retrieved from http://id.nii.ac.jp/1112/00003792/

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Chicago Manual of Style (16th Edition):

平井, 徳幸. “24時間ウルトラマラソンランニングにおける尿中へのバイオピリン排泄の増加及び酸化ビリルビン代謝 : Elevated urinary biopyrrin excretion and oxidative bilirubin metabolism during 24-hour ultramarathon running.” 2014. Thesis, Azabu University / 麻布大学. Accessed July 17, 2018. http://id.nii.ac.jp/1112/00003792/.

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平井, 徳幸. “24時間ウルトラマラソンランニングにおける尿中へのバイオピリン排泄の増加及び酸化ビリルビン代謝 : Elevated urinary biopyrrin excretion and oxidative bilirubin metabolism during 24-hour ultramarathon running.” 2014. Web. 17 Jul 2018.

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平井 . 24時間ウルトラマラソンランニングにおける尿中へのバイオピリン排泄の増加及び酸化ビリルビン代謝 : Elevated urinary biopyrrin excretion and oxidative bilirubin metabolism during 24-hour ultramarathon running. [Internet] [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2014. [cited 2018 Jul 17]. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003792/.

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平井 . 24時間ウルトラマラソンランニングにおける尿中へのバイオピリン排泄の増加及び酸化ビリルビン代謝 : Elevated urinary biopyrrin excretion and oxidative bilirubin metabolism during 24-hour ultramarathon running. [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2014. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003792/

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27. 福永, 航也. イヌの薬物治療において薬物動態学的相互作用をもたらす因子に関する研究.

Degree: 博士(獣医学), 2014, Azabu University / 麻布大学

薬物治療中は他の薬物や食物の相互作用について考慮する必要がある。ヒトでは、併用薬、食餌、病態、経口投与補助剤、サプリメントなど様々な因子により薬物の体内動態が変化することが報告され、これらの情報をもとに適正な薬物治療が行われている。しかし、獣医療では、薬物相互作用を引き起こす因子に関する知見が非常に少ない。薬物相互作用により血中濃度が予測より増加あるいは減少することで、薬物の効果を過小評価したり、副作用を過大評価したりしてしまうケースがある。例えば、ゾニサミドはイヌのてんかん発作に対し有効性が高いことが前臨床試験において判明していたが、実際の獣医療ではてんかん発作を抑制しないというのが獣医師の見解であった。この矛盾は、獣医療でのてんかん発作に対する第一選択薬であるフェノバルビタールが薬物代謝酵素を誘導し、ゾニサミドがその誘導した酵素で分解されるという薬物相互作用が原因であることを本論文の第1章で明らかにした。 薬物相互作用を引き起こす因子は獣医療特有のものも多く、ヒトの情報が転用できない場合が非常に多い。ヒトのてんかんに対し広く用いられているバルプロ酸やカルバマゼピンは、イヌでは代謝が著しく速いため、1日に4-5回投与しなければ有効血中濃度を維持できない。そのため、イヌのてんかんにはフェノバルビタールが第一選択として用いられている。このことが、前述のイヌ特有の薬物相互作用を引き起こした。また、イヌはヒトとは異なり、毎日同じドッグフードを摂取する。ドッグフードの成分が薬物と相互作用を引き起こす場合、その作用は継続するため、イヌ特有の薬物-食餌相互作用が惹起される可能性が非常に高い。 本論文では、獣医臨床上イヌで薬物相互作用を惹起する因子を薬物動態学的観点から明らかにすることで、獣医療における適正な薬物使用法確立の礎を構築した。第1章 薬物-薬物相互作用:フェノバルビタールが抗てんかん薬ゾニサミドの薬物動態におよぼす影響とその持続期間 フェノバルビタールはイヌのてんかんに対し第一選択薬として用いられている。しかし、副作用などにより減量あるいは退薬すべき時には、ゾニサミドと併用あるいはゾニサミド単独投与に変更することが多い。本章では、これら2薬の相互作用の可能性について追究した。フェノバルビタール反復投与中にゾニサミドを経口投与すると、ゾニサミドの最高血中濃度および半減期はフェノバルビタール非投与に比べ減少した。この作用は、フェノバルビタール断薬後も10週間持続した。また、チトクロームP450(CYP)活性の指標となるアンチピリンの代謝は断薬後4週まで促進されていた。本結果より、フェノバルビタール反復投与時および断薬後10週間はゾニサミドの代謝が促進されることでその血中濃度が減少し、少なくとも断薬後4週間はCYP誘導が血中濃度減少のメカニズムとして関与していることが示唆された。第2章 薬物-食餌相互作用:尿pHコントロール食が抗てんかん薬フェノバルビタールの薬物動態におよぼす影響 イヌでは、尿石症の治療・予防に尿を酸性化する食餌やアルカリ化する食餌を用いる。また、これらの尿石症は抗てんかん薬投与時により多く誘発される可能性が示唆されている。本章では、尿pHコントロール食と抗てんかん薬フェノバルビタールの相互作用の可能性について追究した。尿をアルカリ化または酸性化する食餌を与え、フェノバルビタールを単回経口投与すると、フェノバルビタールの血中半減期は、尿をアルカリ化する食餌で短くなり、酸性化する食餌で長くなった。また、フェノバルビタールの尿中排泄率は、尿のアルカリ化により上昇し、酸性化で低下した。本章では、尿pHコントロール食がフェノバルビタールの尿排泄率を変化させ、薬物動態に影響をおよぼすことが明らかとなった。第3章 薬物-病態相互作用:僧帽弁閉鎖不全(MR)が新規心不全薬ニコランジルの薬物動態におよぼす影響 イヌの心不全治療(主にMR)にはACE阻害薬、ジゴキシン、ループ利尿薬、ピモベンダンが用いられているが、これらを併用しても十分な効果を得られない症例が少なくないため、新規心不全薬の開発が待たれている。MRは薬物の体内動態に影響を与えることが報告されているため、本章では、獣医領域で有用性が期待される冠血管拡張薬ニコランジルとMRとの相互作用の可能性について追究した。作出したMR犬にニコランジルを経口投与したところ、ニコランジルの血中濃度は投与量依存性に増加した。薬物動態学的解析の結果、ニコランジルの体内動態はMR犬とコントロール犬との間に差は認められなかった。MRがニコランジルの薬物動態には影響を与えないことが示唆された。第4章 薬物-経口投与補助剤相互作用:経口投与補助剤(ペースト、カプセルおよびオブラート)がゾニサミドの薬物動態におよぼす影響 獣医療では、ペースト状の食べ物、カプセルやオブラートなどの経口投与補助剤は、粉薬や苦い薬物、多数の薬物を投与するときに汎用されているが、これらが薬物動態におよぼす作用は不明であった。本章では、苦みが強いにもかかわらず長期間にわたり反復投与する必要のある抗てんかん薬ゾニサミドを経口投与した時に、これらの経口投与補助剤がゾニサミドの薬物動態に及ぼす影響について追究した。単回経口投与後のゾニサミドの吸収は、ペーストで包むともっとも速く、カプセル、オブラートの順に遅かった。ペースト、カプセルおよびオブラートで包むことはゾニサミドの吸収を遅らせることが明らかとなった。第5章 薬物-サプリメント相互作用:セントジョーンズワートが免疫抑制剤シクロスポリンの薬物動態におよぼす影響 シクロスポリンは、イヌのアトピー性皮膚炎に対し有効性が高い薬物である。セントジョーンズワートは、無駄吠えや分離不安などのストレス要因に対し有用性が認められているサプリメントであり、アトピー性皮膚炎で痒みに苦しむイヌにシクロスポリンとともに併用する可能性がある。本章では、セントジョーンズワートとシクロスポリンの相互作用の可能性について追究した。セントジョーンズワート反復投与開始から少なくとも1週後にはシクロスポリンの血中濃度は減少し、その作用は4週間持続した。小腸および肝臓のCYP mRNA量を測定すると、それぞれCYP2B11/3A12およびCYP2C21/3A12のmRNA量が増加していた。以上の結果より、セントジョーンズワートが小腸及び肝臓のCYP3A12量を増加することによってシクロスポリンの薬物動態に影響をおよぼすことが示唆された。 本論文では、イヌ特有に薬物相互作用を引き起こす因子について薬物動態学的手法を用いて追究した。その結果、併用薬、食餌、病態、経口投与補助剤、およびサプリメントがCYP量増加などを引き起こすことで薬物動態に影響を与える可能性があることが明らかになった。本論文ではイヌの薬物相互作用研究の重要性を示唆するとともに、獣医療における適正な薬物使用法確立の礎を構築した。

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福永, . (2014). イヌの薬物治療において薬物動態学的相互作用をもたらす因子に関する研究. (Thesis). Azabu University / 麻布大学. Retrieved from http://id.nii.ac.jp/1112/00003793/

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福永, 航也. “イヌの薬物治療において薬物動態学的相互作用をもたらす因子に関する研究.” 2014. Thesis, Azabu University / 麻布大学. Accessed July 17, 2018. http://id.nii.ac.jp/1112/00003793/.

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福永, 航也. “イヌの薬物治療において薬物動態学的相互作用をもたらす因子に関する研究.” 2014. Web. 17 Jul 2018.

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福永 . イヌの薬物治療において薬物動態学的相互作用をもたらす因子に関する研究. [Internet] [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2014. [cited 2018 Jul 17]. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003793/.

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福永 . イヌの薬物治療において薬物動態学的相互作用をもたらす因子に関する研究. [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2014. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003793/

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28. 三井, 正平. 人と犬のより良き関係に関する生理学的研究 : 相互コミュニケーションにおけるオキシトシンの役割.

Degree: 博士(学術), 2014, Azabu University / 麻布大学

イヌ(Canis familiaris)はオオカミから家畜化され、長きにわたり人にとって最も身近な動物として飼育されている。現在日本では1232万頭の犬が飼育されているといわれ、核家族化が進む現代社会において、情緒的なつながりを求める人の伴侶として不可欠な存在となっている。人はその友である犬について様々な角度から研究してきた。なかでも、彼らの心理状態を把握するために行動学的、または生理学的なアプローチを試み、彼らを理解しようと努めている。 一方、近年人においてパートナーや配偶者との接触により血中オキシトシン(Oxytocin:以下OT)が増加することや、マッサージ後の陽性感情に応じて血漿中OTが増加すること、人においてOTが幸福を感じるときに増加するといったこと報告され、リラックスおよび陽性感情といった心理上のメカニズムに関係があることが示唆されている。また、犬と人のpositive interaction(発話や接触を伴った交流)によって犬の血漿中OTが増加するとの研究報告があることから、OTは人を含めた動物の心理状態を客観的に評価するのに適していると考えられる。さらに、近年のマウスやラット、サル、人の研究からOTがつがいの形成や社会的認識、信頼、愛着、親和性行動、といった社会行動やいわゆる「絆」の形成に関与していることが明らかとなり、他個体との関わりに大きく影響することが明らかとなっている。そこで本研究では、行動や気質に関係するOT分泌について調査することで、犬の陽性感情について生理学的なアプローチを試みるとともに、人を対象とした異種間コミュニケーションにおける犬のOT分泌と行動の関わりを明らかにすることを目的とし研究を行った。第1章.血中OTの尿中への排泄ならびにコルチゾールとの関係について 第1章ではサンプル採取時の個体への負担を考慮し、非侵襲的に採取が可能である犬の尿中OT測定の適否を検討することを目的とし、血中OTの尿中への排泄時間を調査した。実験は犬の血中へOTを投与し尿中への排泄時間を調査した。本実験は頻回採尿のため、トイレトレーニングを施された未去勢のラブラドールレトリーバー(n=6)を用いた。血液と尿は投与30分前より採取し、投与直前、投与直後、投与終了後15分、以後30分毎に計4時間にわたり採取した。OT測定は福井大学統合生理学教室の協力を得て、Higuchiらの研究(1984)を参考にRIA法による測定を行った。 その結果、OT投与開始直前の平常時血中濃度は65.55±17.20pg/mlであり、血中のピークは投与終了直後であった。血漿中OTは、平常時に4.70pg/mlと非常に低い個体が存在しRIA法においても、これ以上血漿中濃度が低下すれば検出が困難になると考えられた。尿中OTのピークは血中への投与開始から1時間後であった。また、尿サンプルにおける実測値の最低濃度は49.50pg/mlと十分に測定範囲内であり、尿によるOT測定は血液採取時の種々の問題を克服し、個体の状況をより正確に表すものであると考えられた。また、同時刻の尿中コルチゾールを測定したところ、コルチゾールほとんど変化しなかったことから、外因性OTの血中投与は犬の尿中コルチゾールには影響しないことが明らかとなった。これらのことより以後、尿採取は刺激開始から1時間後とした。第2章.日常的な刺激による犬のOT分泌 犬の情動変化は行動観察やコルチゾールなどの測定によるストレス評価が主であり、陽性感情やリラックスの客観的評価は確立されていない。第2章では日常的な犬の陽性感情を誘起させる刺激によってOT分泌とコルチゾール分泌がどのように変化するか検討した。刺激は過去にラットや人において血中OT濃度を増加させることが明らかな摂食と運動、マッサージとした。摂食や運動、なでるといった行為は、トレーニングにおいても強化子として用いられることから、陽性感情を誘起させる重要な要素であると考えられる。なかでも、なでる行為は人が犬に与える社会的報酬として作用し、心拍数を減少させ、犬をリラックスさせる効果があることが報告されている。対照実験としてOT増加の報告がない水を与えたときの変化についても検討をおこなった。犬はトイレトレーニングを施された9頭を用いた。 その結果、摂食、運動、マッサージは有意に犬の尿中OT濃度を増加させた(摂食:p<0.05、運動:p<0.05、マッサージ:p<0.01)。対照的に飲水は尿中OT濃度に影響を与えなかった。これらのことから、RIA法を用いて尿中OTの測定は、非侵襲的に刺激によるOT分泌の変動をとらえられることを可能にすることが明らかとなった。一方、各刺激前後における尿中コルチゾール濃度は摂食のよってのみ有意に増加した。従って、犬の陽性感情の評価には、尿中OT濃度による評価が適切であると考えられ、非侵襲的に犬の陽性感情やリラックスを把握するバイオマーカーとしての尿中OT濃度測定の有用性が示唆された。第3章.人・犬間の相互コミュニケーションによるOT変化 第3章では人と犬の相互コミュニケーション時における両者の行動分析と交流前後の尿中OT濃度の変動を調査することで、異種間の親和行動やコミュニケーションにおけるOTの役割を明らかにすることを目的とした。実験は30組の犬とその飼い主を対象に行い、(1)安静(20分)、(2)飼い主と犬の交流(30分)および(3)安静(30分)で構成した。(1)の安静時に飼い主は実験室で過ごし、犬は別室で待機させた。(1)の安静時に飼い主には犬に対する愛着を測るLexington Attachment to Pets Scale(LAPS)に解答してもらった。人および犬の尿サンプルは(1)および(3)終了時に採取した。 両者の行動を元に、階層的クラスター分析を行った結果、被験者と犬の組み合わせはコミュニケーション時間が長く、頻度が多いHCグループと、コミュニケーション時間が短く、頻度の少ないLCグループに分けられることが明らかとなった。また、グループ毎の尿中OT濃度を交流で比較すると、HCグループにおいて犬、人ともに尿中OT濃度が上昇することが明らかとなり、LCグループでは犬において有意に低下し、人では変化しなかった。主成分分析と重回帰分析の結果から、犬においては「飼い主から犬への接触に関わる要因」が犬の尿中OT濃度を上昇させる重要な要素であることが明らかとなり(F(3.24)=3.78, p<0.05, 決定係数R2=0.32)、人においては「犬から飼い主への注視に関わる要因」(p<0.01)、「LAPS」(p<0.05)、「飼い主から犬への声をかける回数」(p<0.05)が尿中OT濃度に影響を与える要素であることが明らかとなった(F(3.24)=4.00, p<0.01,…

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三井, . (2014). 人と犬のより良き関係に関する生理学的研究 : 相互コミュニケーションにおけるオキシトシンの役割. (Thesis). Azabu University / 麻布大学. Retrieved from http://id.nii.ac.jp/1112/00003800/

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三井, 正平. “人と犬のより良き関係に関する生理学的研究 : 相互コミュニケーションにおけるオキシトシンの役割.” 2014. Thesis, Azabu University / 麻布大学. Accessed July 17, 2018. http://id.nii.ac.jp/1112/00003800/.

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三井, 正平. “人と犬のより良き関係に関する生理学的研究 : 相互コミュニケーションにおけるオキシトシンの役割.” 2014. Web. 17 Jul 2018.

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三井 . 人と犬のより良き関係に関する生理学的研究 : 相互コミュニケーションにおけるオキシトシンの役割. [Internet] [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2014. [cited 2018 Jul 17]. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003800/.

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三井 . 人と犬のより良き関係に関する生理学的研究 : 相互コミュニケーションにおけるオキシトシンの役割. [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2014. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003800/

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29. 阪上, 健人. バイオフィリア環境としての動物園の役割と人の心身への影響に関する研究.

Degree: 博士(学術), 2014, Azabu University / 麻布大学

Wilsonは、人間には遺伝的に動植物を含む自然に対する強い関心・愛着が組み込まれているとして、その人間が持つ生得的なものを「バイオフィリア」と呼んだ。本研究では、この自然や他の生物に対する人の生得的な関心を引き出すことのできる環境を「バイオフィリア環境」とした。Hedigerは、都市部への人口の集中は人々を自然から隔絶し、結果的に精神的欠乏へとつながることを指摘し、動物園を訪れることにより、その精神的に満たされない部分を解消することができると論じている。また、Daveyは、動物園に訪れることと人の本能との関係に関して「バイオフィリア」を引用することにより、人間社会のなかでの自然と動物との関わりにおける動物園の価値をさまざまな観点から論及している。たとえば、動物園における動物との触れ合いの効果やランドスケープなどの自然に近い展示方法には、人の持つ自然や他の生物に対する生得的な関心・愛着が密接に関係するとしている。さらに、動物園を訪れることと人の健康の関係についても述べ、その重要性を示唆している。しかし、動物園における人の健康に関する科学的研究は、未だ評価検討されていない。 本研究では、バイオフィリア環境として位置づけた動物園が人の心身に及ぼす影響を検討することを目的とし、以下の課題に取り組んだ。 第1章では、動物園を訪問することが人の心身の健康に良い効果があるのか、そして動物園の違いによりその効果に違いはあるのかの2点について検討した。東京都多摩動物公園(実験1)では大学生、横浜市立よこはま動物園(実験2)では20代を中心とした幅広い年齢層を対象とした。さらに、歩行の効果あるいは動物に対する視覚的な効果を調べるため、実験1の対照群として、動物を観ずに回る群を設けた。 第2章では、大学生を対象とし、動物園の比較要素として公園および映像鑑賞による人の心身への影響を検討した。このとき、動物園は動物と自然の双方を持つ環境として捉え、一方、公園は自然のみ、映像鑑賞はバーチャルな自然と動物の提供と考えた。 第3章では、近年、わが国において早急な対応を必要としている高齢化に着目し、動物園を訪れることによる高齢者の心身への効果を検討した。展示場を生息地域に類似させ、園内全体を使うことにより自然を表現している動物園に対し、水族館は魚類を中心に人工的な空間を提供しており、動物園とは異なった要素がある。そこで、第3章では、第2章(公園、映像鑑賞)で用いた比較要素に、新たに水族館を加えた。さらに、本章では、1年後の対象者の精神的健康状態を追跡調査した。 第4章では、一般来園者の高齢者を対象とし、その効果を検討した。本章の対象者は、第1から3章の対象者と異なり自らの意思で訪れている。 本研究の精神的評価方法としては、第1章ではWHO/QOL-26(Quality of Life)、第2から4章ではPOMS短縮版(Profile of Mood States-Brief questionnaire)を用いた。これらは精神的な変化を評価する最も一般的な心理尺度の一つであり、本研究では現場の調査に合わせ、記入時間による対象者への影響が少ない短縮版を用いた。WHO/QOL-26は、簡易的にQOLを測定可能なことから、健康管理ツールとしてさまざまな場面で活用されており、医療機関の臨床場面のみにならず福祉、教育現場などで用いられている。また、POMS短縮版は、対象者の一時的な気分や感情を測定することが可能であり、ストレス反応を反映するとされる陰性感情と陽性感情を評価することができる。さらに、性別・年齢の違いに対してもその信頼性が高い。身体的評価としては、従来、Andersonらの研究をはじめ、さまざまな研究で一般的に用いられている血圧等の心臓血管系測定に加え、第1章では歩数の測定を行った。また、第2から4章では新たに唾液中コルチゾールの測定を行った。  第1章 動物園を訪れることによる人の健康と生活の質(Quality of Life)への効果 2つの動物園で動物園に訪れることによる人の心身への効果を検討するため、実験1では、神奈川県の大学生ら(n=35, mean age: 20.5歳, 男性n=4, 女性n=31)、実験2では、20代を中心とした一般来園者(n=163, mean age: 31.2歳, 男性n=69, 女性n=94)を対象とした。身体的評価の結果、いづれの実験においても、訪問後に顕著な血圧の低下が見られた。精神的評価の結果としても、訪問後でいくつかの気分尺度項目の値が上昇する傾向があり、QOLの改善を示す結果が得られた。また、実験条件を合わせるため、同程度の歩行数が得られるようにした対照群(n=35, mean age: 20.3歳, 男性n=12, 女性n=23)では、精神的評価において身体的領域を表わす気分尺度とMean QOL(すべての気分尺度を平均した値)の値が明らかに低下した。 わが国の動物園は、全国に90園(日本動物園水族館協会加盟園)あり、その半数以上(59園; 65.6%)が都市部に存在しており、各園がそれぞれ展示方法や園内規模などの異なった特徴を持っている。同様な結果が得られた2つの動物園には、その展示方法や園内規模などの異なった特徴があるが、自然と動物を有するという点では基本的な違いはない。このことから、2つの動物園の異なった部分の影響は少ないものと考えた。以上より、動物園に訪問することは人の心身の健康へ良い効果があることが示唆された。  第2章 動物園と他施設の比較による人の心身の健康への影響 神奈川県の大学生ら(n=114, mean age: 21.5歳, 男性n=36, 女性n=78)を対象とし、動物園(よこはま動物園)、公園訪問および映像鑑賞による精神的身体的効果を検討した。その結果、精神的評価では、いづれの実験において気分尺度の値に改善が見られた。また、身体的評価においても、すべての実験後に血圧、唾液中コルチゾール値の明らかな低下が見られた。 以上より、動物園や公園への訪問、さらには動物の映像を鑑賞することは若い人々の心身の健康へ良い効果があることが示唆された。  第3章 動物園を訪れることによる高齢者の心身の健康への影響   ~他施設との比較による検証~ 近年、わが国では急激な高齢化の進行、さらには都市部における高齢化が懸念されており、高齢者の健康維持や疾病予防への対策が不可欠となっている。また、内閣府が行った年齢・加齢に対する考え方に関する意識調査では、「公平で安定的な公的年金制度の確立」や「高齢者の働く機会の確保」等に続いて、「健康づくりへの支援」があげられている。 本章では、高齢者(n=30, mean age: 68.0歳, 男性n=11, 女性n=19)が動物園(よこはま動物園)、水族館および公園訪問ならびに映像鑑賞による心身への効果を検討した。その結果、精神的評価では動物園でのみ明らかに良い変化が示された。身体的評価では、動物園と公園で訪問後に血圧が有意に低下した。また、唾液中コルチゾール値においても、動物園と公園で、訪問後に唾液中コルチゾール値が著しく減少した。一方、若い人々で同程度の効果のあった映像鑑賞は、高齢者においては明らかな変化を示さなかった。本章における追跡調査(n=28, mean…

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APA (6th Edition):

阪上, . (2014). バイオフィリア環境としての動物園の役割と人の心身への影響に関する研究. (Thesis). Azabu University / 麻布大学. Retrieved from http://id.nii.ac.jp/1112/00003808/

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Chicago Manual of Style (16th Edition):

阪上, 健人. “バイオフィリア環境としての動物園の役割と人の心身への影響に関する研究.” 2014. Thesis, Azabu University / 麻布大学. Accessed July 17, 2018. http://id.nii.ac.jp/1112/00003808/.

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MLA Handbook (7th Edition):

阪上, 健人. “バイオフィリア環境としての動物園の役割と人の心身への影響に関する研究.” 2014. Web. 17 Jul 2018.

Vancouver:

阪上 . バイオフィリア環境としての動物園の役割と人の心身への影響に関する研究. [Internet] [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2014. [cited 2018 Jul 17]. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003808/.

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Council of Science Editors:

阪上 . バイオフィリア環境としての動物園の役割と人の心身への影響に関する研究. [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2014. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003808/

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30. 藤本, あゆみ. イヌ脂肪組織由来間質細胞ADSCsから肝細胞様細胞への分化誘導と機能解析.

Degree: 博士(獣医学), 2014, Azabu University / 麻布大学

イヌでは肝炎、肝線推症、胆管炎などに起因する難治性の慢性肝疾患が多く認められる。現在小動物臨床においては、これら疾患に対し内科的治療や外科的処置が行われているが、病態が慢性化し肝機能が低下した状態では治療不応性であることが多く、代替治療法の開発が急務となっている。 ヒトの医療においては、肝硬変に対する根治的治療として臓器移植が挙げられるが、移植臓器とレシピエントとの拒絶反応や、長期の免疫抑制療法が必要であること、臓器提供者不足といった問題をはらんでいる。獣医療に至っては、ドナーの確保のみならず、移植医療に必須の白血球抗原の解析すら十分に行なわれていないため、移植医療は積極的には行われていない。 近年、障害臓器の再生を目標として、幹細胞を用いた再生医療の研究が進められている。幹細胞は、自己複製能と多分化能を持ち、体性幹細胞、人工多能性幹細胞(iPS細胞)及び胚性幹細胞(ES細胞)が含まれる。体性幹細胞は、iPS細胞やES細胞とは異なり、腫瘍形成や拒絶反応だけでなく、倫理的問題も回避可能であり、難治性慢性肝疾患の治療に用いる細胞源として最も有効である。そのため、入手しやすい骨髄や脂肪は小動物臨床において有用な幹細胞源であると考えられる。 申請者が所属する麻布大学内科学第二研究室では、これまでにイヌの骨髄細胞をEpidermal growth factor(EGF)および高濃度のHepatocyte growth factor(HGF)存在下またはヒト胎盤抽出液(商品名ラエンネック^[○!R])存在下で培養することにより、肝細胞の性状と機能を有する細胞に分化したことを報告した。しかし、一回に採取可能な骨髄細胞の数は限られており、臨床応用可能な数を確保し難く、継続的な細胞の確保も困難であると考えられる。また、牛胎仔血清を培地に添加することにより細胞移植時にレシピエント体内へBSEなどの病原体となりうる異常異種蛋白が混入する可能性があった。さらに、ラエンネックは組成がロット毎に異なるため、分化誘導成功率が約半分と低い結果が得られている。以上の諸問題から、他の幹細胞源の利用や、無血清培地での分化誘導法の確立が重要な課題であった。 一方、脂肪組織は、血管構成細胞、脂肪細胞、細胞外基質、そして間質細胞(Adipose tissue-derived stromal cells; ADSCs)から構成されており、幹細胞はADSCs中に含まれていると考えられている。ADSCsは骨髄由来間葉系細胞とほぼ同等の多分化能を持ち、採取細胞100個中1個の頻度で幹細胞を含有し、その数は骨髄の100~1,000倍多い。さらに、ADSCsは脂肪組織採取時の侵襲性が比較的低いため分離しやすく、培養増幅や凍結保存が可能であることから、骨髄細胞よりも臨床応用に有利であると考えられる。ヒトやラットではADSCsからの肝細胞分化が証明されているものの、イヌでは未だ証明されていない。 そこで、本研究では骨髄に代わる組織幹細胞源としてイヌADSCsを用い、肝細胞の機能を有する細胞へと分化誘導することとした。 第一章では、ADSCsから肝細胞へと分化誘導する培養方法を検討した。臨床的に健康なビーグル犬4頭から、麻酔下で鼠径部皮下脂肪組織を採取し、ADSCsを分離培養した後、HGF、EGF、Oncostatin MおよびDimethyl sulfoxideを添加した無血清の肝細胞分化誘導培地で28日間培養を行った。肝細胞へ分化誘導したことを証明するために、0代目8割confluent時の培養初期のnaïve ADSCs(nADSCs)と分化誘導開始から0, 7, 14, 21および28日目の分化誘導ADSCs(dADSCs)を用いて、定量的RT-PCRによるAlbumin mRNAの発現解析と、免疫染色によるAlbumin蛋白の検出を試みた。その結果、nADSCsと分化誘導0日目のdADSCsはどちらも線維芽細胞様であったが、7~28日目では多角の形態と明瞭な円形核を有する肝細胞様細胞(HLCs)が認められた。Albumin mRNAはnADSCs時にも発現しており、分化誘導後発現が増強した。しかしnADSCsと0~28日目のdADSCsで有意差は認められなかった。Albumin蛋白はnADSCsで陰性、0日目のdADSCsで陰性または弱陽性であったが、分化誘導後徐々に発現が増強し、28日目には陽性細胞の割合が最多となった。 第二章では、得られたHLCsがどの発生段階の肝細胞と類似しているか調べるため、性状解析を行った。 まず、肝幹細胞(HSCs)または前駆細胞(HPCs)と同様の性状を示すと考えられるイヌ肝細胞癌(cHCC)株化細胞を用いて、イヌのHSCsおよびHPCsの特異的マーカーの探索を試みた。イヌ肝細胞癌(cHCC)細胞株4株(930-599A、95-0112、95-1044、CHKS-rL)と、健常犬3頭から採取した成熟肝細胞を用いて、ヒトHSCsおよびHPCsのマーカーであるDlk-1、CD29、CD34、CD44、CD90、CD133の発現をフローサイトメトリーにより解析した。その結果、CD44、Dlk-1そしてCD133が4株のcHCC細胞全てで発現していた。CD29は95-0112以外の3株で発現が認められ、CD90は930-599Aの1株でのみ高発現し、CD34は4株全てで未発現だった。コントロールの肝細胞は全抗原未発現であった。以上の結果から、CD29、CD44、CD133およびDlk-1がイヌHSCsまたはHPCsのマーカーであると推測された。 次に、イヌADSCsが間葉系細胞集団であることを確かめるため、ADSCsの細胞表面抗原発現をフローサイトメトリーにて解析した。イヌADSCs 6検体を用いて、CD11b、CD14、CD29、CD34、CD44、CD45、CD73、CD90、CD105、CD133、Dlk-1、CK18の発現解析を行ったところ、CD29、CD44、CD90、Dlk-1が高発現していたのに対し、CD11b、CD14、CD34、CD45、CD73、CD105、CD133そしてCK18が未発現であった。以上の結果から、イヌADSCsが間葉系細胞集団であることが示された。…

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APA (6th Edition):

藤本, . (2014). イヌ脂肪組織由来間質細胞ADSCsから肝細胞様細胞への分化誘導と機能解析. (Thesis). Azabu University / 麻布大学. Retrieved from http://id.nii.ac.jp/1112/00003809/

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Chicago Manual of Style (16th Edition):

藤本, あゆみ. “イヌ脂肪組織由来間質細胞ADSCsから肝細胞様細胞への分化誘導と機能解析.” 2014. Thesis, Azabu University / 麻布大学. Accessed July 17, 2018. http://id.nii.ac.jp/1112/00003809/.

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MLA Handbook (7th Edition):

藤本, あゆみ. “イヌ脂肪組織由来間質細胞ADSCsから肝細胞様細胞への分化誘導と機能解析.” 2014. Web. 17 Jul 2018.

Vancouver:

藤本 . イヌ脂肪組織由来間質細胞ADSCsから肝細胞様細胞への分化誘導と機能解析. [Internet] [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2014. [cited 2018 Jul 17]. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003809/.

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Council of Science Editors:

藤本 . イヌ脂肪組織由来間質細胞ADSCsから肝細胞様細胞への分化誘導と機能解析. [Thesis]. Azabu University / 麻布大学; 2014. Available from: http://id.nii.ac.jp/1112/00003809/

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